「月光の囁き」


監督:塩田明彦
脚本:塩田明彦
出演:つぐみ 水橋研二 草野庚太


 面白かったです。高校生カップルのSM的目覚めという題材はハッキリ言ってキワモノだし、一歩間違えればただのギャグにしかならないのだけど、この映画は上質かつ繊細なラブストーリーでした。
 やはり観る前は、多少は笑ったり、心でニヤニヤしたりする描写があるのではないかと思っていましたが、そういう展開にはほとんどなりませんでした。少女のブルマーの香りを嗅ごうと、トイレの音を録音しようと、好きな彼女のアノ声を聴かされるのを耐えていようと、少女の足にキスしようと、それらの少年の姿に笑う事はありませんでした。真正面から自身の変態性と向き合う事を余儀なくされ、Mに目覚めていく少年とSに目覚めていく少女の姿は、「こんなやつらいねえよ」と思う事では無く、「こういう奴らもいるのかもしれない」と思わされてしまいます。
 少年の気持ちは根本的なところで多少ずれているだけで、少女を想う気持ちは純粋で一途で力強くもあります。ある意味あそこまで好きになれるというのも大変なものです。とても切なくて、しかも緊迫した恋愛映画でした。
 主演の二人もとても役にはまっていて、すばらしかったですね。特につぐみさんのちょっと焦点のずれたような瞳がとても迫力があってゾクゾクしました。
 難を言えば、少年の性癖が少女にばれるシーン。なんであの娘はあんなに勘がいいねん。あの引出しを開けようとしたり、あのテープを再生したりなんて、普通思わないんじゃない?(^^;)