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by はる
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2004年5月以降 人目のご訪問者です。('96.8〜'04.05・・・130,000人位)

「ぐるりのこと。」☆☆☆

監督:橋口亮輔
脚本:橋口亮輔
出演:木村多江 リリー・フランキー 倍賞美津子 寺島進 安藤玉恵 八嶋智人 寺田農 柄本明 木村祐一 斎藤洋介 温水洋一 峯村リエ 山中崇 加瀬亮 光石研 田辺誠一 横山めぐみ 片岡礼子 新井浩文

 翔子とカナオは結婚してしばらくして子供が生まれるが、その子を失う悲劇に見舞われる。それをきっかけに翔子は少しずつ心の均衡を失っていくが、それを受け止めようとするカナオの愛情が彼女を支えていく。

 夫婦愛を描いた映画ではあるけど、観終わって最後に一番強く残る感情は、宅間守(がモデルと思われる劇中の裁判被告人)への怒りでした。死刑を告げられてなお、遺族へ暴言を投げかけるその姿はおそらく本当に見られた状況であろう、非常に心かきむしられる場面になっていました。しかもそれが映画の終了間際に映し出されるがゆえに、映画全体の評価を左右するがごとく強い印象を残しています。これを書いている今も、再び怒りがこみ上げてきています。
 もちろん、これはそれに至る映画の流れそのものが、あまり心に残らないものだったからにほかありません。たぶんこの映画って、それなりに評価されるのではないかと思います。でも僕にとっては時折登場する、「出来はよさそうなのに特に面白いわけではない映画」の一本でした。きっと僕は、こういう長い年月をたどる物語があまり好きではないんだな。最近ちょっとそう思う。この映画にしたって、10年間も描く必要なんてあるかね。結婚して数年後くらいに子供のことがあって、奥さんが苦しんだ末に旦那が支えて幸せになるってのを1年くらいの話で十分のような気がする。それを10年かけて描くことで、その合間が希薄になっているのがこの映画ではあまりうまくいってないんじゃないかな。
 あと旦那が法廷画家をしている意味合いがあまり感じられない。職業として描くのはいいのだけれど、上の書いた例のようにそこで扱われる事件の数々がほとんどが現実のものをモデルにしているためにあまりにも生々しくなってしまい、法廷のシーンになるたびに夫婦愛の物語からどんどん外れていってしまうのです。例えば子供を殺した異常性の高い犯人の姿や、お互いを「あれ」「Mさん」と呼ぶ被告と証人の姿などは非常に衝撃的なのだけど、これが印象的過ぎて物語のなかでは逆に浮いた印象を強く感じさせてしまっています。バランスが悪いのです。

 いくつかある長まわしのシーンはどれも力を感じて素晴らしい。それらを見事にこなした役者ではないはずのリリー・フランキーさんの演技には驚かされました。木村多江さんもいいね。ところで加瀬亮くんの役柄はあの映画のパロディか?(^^;)

(静岡シネギャラリー)

2008.8.16