「博士の愛した数式」☆☆☆
監督:小泉堯史
脚本:小泉堯史
出演:寺尾聰 深津絵里 齋藤隆成 吉岡秀隆 浅丘ルリ子
”博士”はかつて数学の研究者で大学で働いていたが、事故により記憶が80分間しかもたない障害を持ってしまう。その身の回りの世話をするために、家政婦としてが派遣されてくる杏子。毎日同じ事を聞かれるなどの不都合はあるものの、杏子はその人柄や知識に対してだんだんと好意を持っていく。やがて杏子の息子”ルート”も博士の家で過ごすことが多くなる。
成長したルートが授業で想い出を語る形で映画は進みます。えー授業で何言ってんだよと最初は思ったのですが、だんだんと映画が進むにつれて、その授業内容の素晴らしさに非常に感嘆しました。僕もあんな授業を受けてみたかった。最後にお礼を言う生徒がいるけど、あれは僕らの気持ちを見事に代弁していました。
もともと僕は理系で数学も好きなほうだった(成績がよかったかどうかはともかく、、、)ので、この授業で教えてくれた内容は非常に興味深く楽しいものでした。完全数も友愛数も知ってはいたけど、あんなに丁寧に教えてもらったことはないし、もう十年以上も忘れていた言葉でした。しかしe(自然対数の庭)のπ(円周率)i(虚数)乗が−1になるオイラーの等式というのは知らなかったなあ。こんな美しい式があるなんてすごい! やはり数学は発明でなく発見ですねえ。
さて物語のほうは記憶障害を持つ人と人間らしく接することの美しさをベースに、その障害を持つことの本人や家族の苦しさ、そういう境遇であっても幸せは確実に存在するということなどを全くもって優等生的に描いたもので何の毒もなくちょっと平坦気味。僕は上記のような楽しみ方をしていたのでOKでしたが、退屈に思う人もいるでしょう。
しかし80分しか記憶がもたないというのはどういう状況なんでしょう。ちょっと想像できない。認知症じゃないんだから記憶以外は問題ないわけで、理解力や想像力はあるわけだから自分がそういう症状だということは説明されれば理解できるんでしょう。あきらかに80分以上前のことは覚えていないということもよく分かっているでしょう。結構つらい。例えばこの映画を観ていたとしても終わりのほうになると最初のほうはほとんど覚えていられないわけだ。そのうち観たこと自体忘れてしまう。
おっでもちょっと待て。例えばめちゃくちゃ面白い映画があった。ほとんどの映画は初めて観るときが一番面白い。何回観ても初めて観るときの喜びが待っているなんて、それはそれで素晴らしいことかもしれないね。僕がもしそういう障害を持ったら、そういう幸せも残しておきますか。
2006.1.31
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