「アイ・ラヴ・ユー」


監督:大澤豊 米内山明宏
脚本:岡崎由紀子
出演:忍足亜希子 田中実 岡崎愛 不破万作 西村知美


 とてもよく出来た感動作でした。ろう者たちとその家族、周りの人たちの生活を描いた映画ですのでいくらでも暗くも重くも出来るテーマですが、この映画は全くそんなことはなく、適度に笑わせながらそして心に残る感動がいたるところにちりばめられている映画でした。一応主人公の女性や友人達が参加する劇団の公演というクライマックスが用意されていますが、そこばかりに感動が集約されているわけではなく、映画全編の中で少しずつ少しずつ感動がたまっていく映画でした。それだけ描かれているろう者たちの力強さが印象的です。
 また、お話の一番の核となっているとも言える障害者の母親と健常者の小学生の娘との絆の描写は充分泣かせていただきました。主演の忍足亜希子さんももちろんいいのですが、お嬢さん役の岡崎愛ちゃんが、子役ならではの無理の無いのびのびした名演技を見せてくれます。とにかく素晴らしいです。

 この映画の最大の話題性は、ろう者の主人公を演じた忍足亜希子さんが実際にろう者であることでしょう。映画の中で語られることは、ろう者のような障害者でも決して不幸などではなく、個人個人として強く明るく生きていくことができることについては、決して健常者と違わないと言う事でしょうが、映画に映されているものだけを見る限り、主演の方が実際にろう者である必要性は感じられません。しかしながらこうして実際にろう者の方と健常者が力を合わせてこれだけの大仕事をやり遂げたことを見せられると、映画の中で語られる事は、2倍3倍の意味を持って我々に伝えてくれる事ができるのです。
 私のまわりには大きな障害を持った方はいませんが、実際に障害者の方に接する機会のある方はこういう映画を観て考えを多少なりとも変えるのでしょうか。それとももう最初から分かっている事なのでしょうかね。なんにせよ、世間の中で大きな意味を持つことの出来うる力を持った映画だと思いました。とにかく多くの人に観てもらいたいです。

 ところでこの映画、静岡県豊田町が制作に参加し、舞台もロケも豊田町で作られました。そのため静岡県内では東京よりもひと足早く公開され、ちょっとだけ嬉しい気分でした。(笑)