「地獄」


監督:石井輝男
脚本:石井輝男
出演:佐藤美樹 斉藤のぞみ 小野裕美 前田通子 丹波哲郎


 非常に興味深く観る事ができました。事前に聞いていた情報では、連続幼女殺人事件犯、犯罪多発カルト教団、毒入りカレー殺人犯など、いくつかの罪人らの悪行とそれらに対する地獄の責め苦を描写するとあったと思っていたのですが、実は他の者達は添え物に過ぎず、ほとんどの時間を”宇宙真理教”なるカルト教団の悪行三昧を紹介する事に費やされていました。
 ”宇宙真理教”の悪行はなぜか映画を観る前からほとんどの観客にとってネタバレ済みの事ばかりです。しかしこうして改めて映像として観させられることには大変意義があると思いました。”宇宙真理教”のような馬鹿でどうしようもない集団が現実に存在するのかどうかは知りませんが(?)、 現実にいるとしたらいかにそれが醜くチンケな存在であるかが明確に映し出されていました。物事に対して認識を改める事も大切ですが、認識を更に深める事が重要な事もあると解ります。
 地獄での描写もおぞましく目をそむけそうになる責め苦からなぜか笑ってしまうようなものまで多彩ですが、たしかに地獄って、昔からああいうものに描かれがちですね。今回もあえてあのベタベタの地獄描写を選んでいるのでしょう。メインはやはり地獄の描写ではなく、現世での彼らの生業なのです。

 それにしても凄い内容です。とにかく映画を観ている間中怖くて仕方ありませんでした(苦笑)。これだけ挑発的だといつ映画館が襲撃されても場内でサリンが蒔かれてもおかしくありません。早く映画が終わってくれないかと思ってドキドキしました(^^;)。 ビデオで観る分にはなんの問題も無く面白い映画ですが、劇場で観るのは緊張しましたね。

 しかしどのくらいの悪人から地獄に行くのでしょうか。僕だって細かい犯罪(キセルとか会社の備品の横領とか立ちションとか(笑))だったらしたことあるし、心の中では結構酷いことを思ったりもするし、他人を傷つけたりしたこともあるかもしれない。これからは心を入れ替えてまじめにやりますから地獄には連れて行かないで下さいね。お願いします〜、閻魔様。