「鏡の女たち」


監督:吉田喜重
脚本:吉田喜重
出演:岡田茉莉子 田中好子 一色紗英 山本未来 北村有起哉 三條美紀 犬塚 弘 西岡徳馬 室田日出男


 映画全体を覆う非常に重い雰囲気は悪くは無い。大きな動きのほとんど無い絵の作りも、昂揚感を押さえきった音楽も、極小人数に押さえられた登場人物達も、画面に神経を向けつづけさせるのには素晴らしい効果を生んでいます。いい緊張感をもって映画に入りこんでいることができたように思います。

 ただ面白かったかと言うと、そんなには。(笑)

 20年以上も行方不明だった娘かもしれない記憶喪失の女と、その母親とその娘かもしれない、3代の女たちのお話。記憶喪失の女は幼女誘拐を繰り返すが、それが20数年前の失踪に起因している可能性がある。彼女は本当に娘なのか、そして20数年前、なぜ彼女は失踪したのか。
 一見サスペンスで謎解き映画かと思わせるのですが、実はそんなことはない。娘の失踪だけに重きを置かず、母親の戦争(広島)体験とリンクさせた展開にシフトしていきます。しかし僕には、この関係がいまひとつ解らなかったんですよね。(^^;)
 娘の失踪がその母親の体験に起因するものならまだ解るんだけど、別にそういうことはない。母親の体験した事実とそれに対する思いの深さ、その体験を聞いて体験を共有して女3代で理解し合うなどという意味合いはわかっても、それが何を解決し、またそれによって彼女たちがどう変わっていくのか、なぜその後の行動に出るのか、などという点については、どうにも解らなかったです。

 観終わっても謎が残るし、微妙にすっきりしない映画でありました。