監督:田中光敏
脚本:横田与志
出演:椎名桔平 菅野美穂 池脇千鶴 佐野史郎 柴咲コウ 田中邦衛 いしだあゆみ
うん、これは素晴らしかった。僕のツボです。
序盤から椎名桔平さん演じる小三馬の言動には謎と違和感が満ち溢れています。なにか秘密があるようでもあり、なにか深い考えがあってそのように振舞っているようでもあり。なんで彼はこんななんだろう、何を考えているんだろうと思っているうち、どんどん彼の魅力、映画の魅力に惹き込まれてしまいました。終盤に明かされる彼の行動の本質は「ああやっぱり」と言うところですが、それは物語自体の本質ではありません。ひとつのしかけにはなっていますが、それだけではないですね。
何人かの女性が彼に化粧を施されていきます。その一つ一つのエピソードの積み重ねで話は進んでいくのですが、その一つ一つがみな素晴らしい。特に序盤の夫婦の話は泣けちゃったなあ(逮捕された仁科貴さんが出ているシーン。そりゃ、あれは逮捕くらいで削れないわな)。また岸本加代子さんのエピソードもよかった。池脇千鶴さんといしだあゆみさんの関係とかも泣けちゃうし。いや、僕はこんなに涙腺弱かったかと言う感じです。(^^;)
大正時代というのは時代背景が中途半端でよく分かりませんね。(^^;) 昔なんだけど武士がいるわけでもなく、最近なんだけど近代化されているわけでもない。一番イメージがわきにくい時代かもしれません。そのため時代と言うものをほとんど考えない鑑賞になり、その分物語に没頭しちゃいました。あの時代設定はうまいです。原作はもう少し古い時代とのことですが、少なくとも僕にはベストでした。
小三馬に想いを寄せる純江を演じる菅野美穂さんがいつもながらいいですね。伝わらない想いを偲ぶ姿は泣けるし、化粧されるシーンも実に美しい。他の出演者も多彩で良かったですが、やはり彼女でしょう。
ところでこのお話、別に化粧師でなくても似たような話は作れそうですね。例えば料理人。一番のもてなしは、本人が心をこめて作ることだ、とか。例えば占い師。占いなんかに頼らないで、自分で道を切り開かなくては、とか。または男娼なんてどう? 彼に抱かれると必ずいいことがある、とか。一番気持ちいいのは本当の愛があることだ、とか(^^;)。
これは菅野さんの弟子入りの話が作れなくてだめかな。(笑) でも化粧師と言う一般的でも無し、しかしその必要性がありそうななそうな技術者と言うのが微妙な味わいがありますね。GOOD!