「美しい夏キリシマ」


監督:黒木和雄
脚本:松田正隆 黒木和雄
出演:柄本 佑 原田芳雄 左 時枝 牧瀬里穂 石田えり 小田エリカ 中島ひろ子 寺島 進 香川照之 山口このみ 甲本雅弘

 「キネ旬1位」でなければまあたぶん観ていないでしょう。それ以前に地元で公開もされていないかもしれないね。キネ旬1位に限らず、何か賞をとると言うことは、それだけ観客の層を広げるのは間違いない。まあ悪いことではないですね。そう考えると、同じ映画に賞が集中するより、いろんな映画にいろんな賞が散らばるほうがいいのかな。
 ただキネ旬の投票結果特集号を見ると、外国映画には投票したけど日本映画で投票には参加しないかたちでベストテンをあげている人がいた。あの人のランキングが票になっていたら実は1位は逆転しているのだ。この映画のキネ旬1位は運に救われている。他では賞を取ってないし、おかげで僕はこの映画を観ているのだ。いいことか、悪いことか。(逆転したはずの映画は他でも作品賞を取っている「赤目四十八瀧心中未遂」だしね)

 前置きが長くなったのは、この映画自体にあまり感想がないから。良くも悪くもキネ旬1位と言う感じ。えっよく分からないって。僕もですけどね。(^^;)

 戦争は直接的に人を殺すだけでなく、間接的にも様々な悲劇を生む。共に空撃され自分だけ生き残り、親友を見殺しにしたと思いこむ少年。夫亡き後生きるために駐屯兵と関係を持つ母親と、それを知り苦しむ娘と息子。特攻で死に行く運命にある恋人をただ見送ることしかできない女。身内すべてを失い、遠い親戚宅でただ悲しい日々を送る幼い少女。家族のために自分の望まない、足の不自由な帰還兵の元へ嫁ぐ女。
 彼らはみな戦争の被害者であり、ただどうすることもできずに生きていくしかない。特に親友を失った少年はその妹に出会うことでますます自分がどうしていいのか分からなくなっていく。その姿は悲劇的であり、観るものの心を打つのは間違いないでしょう。

 でもさあ。かと言って、それ以上のものはないのよね。大きな感動も、大きな涙も誘わない。ただ淡々とした描写が続くのみで、さほど心に残る映画ではなかったです。評価の高さがイマイチ分からない私なのでした。

 やはりキネ旬で新人賞をとった主人公デビューの柄本佑君はうまいのかどうかやはり分からず。しかしお父さん(柄本明さん)にはそっくりだねえ。(^^;)
 僕が一番印象に残ったのは中島ひろ子さんかな。石田えりさんは久しぶりに見た気がしますね。

 キリシマの風景はきれいでした。