監督:及川 中
脚本:後藤法子 及川 中
出演:平山 綾 市川実日子 宮崎あおい 石垣佑磨 成宮寛貴 阿部進之介 青山知可子 西田尚美
例えばみんなで遊びに行く。とても楽しい時間を過ごし、思い出を共有することができました。しかし一人一人の思い出の形は実は少しずつ違うのです。その人がいた微妙な位置、微妙なタイミングでその思い出は少しずつずれていくはず。またほぼ同じ位置でその時の出来事を感じていたとしても、そのとき感じた印象などはその人が注目したポイントなどによって違うはず。誰一人として完全に同じ記憶を共有する人はいないのです。
でも映画はその出来事を確定した角度で確定したタイミングでのみ描写するのが普通。観客の記憶はほぼ同一化されています。ほぼ全員がひとつの出来事を同じ映像の向きとタイミングで記憶するのです。ひとつの出来事はそこにいた人分の記憶の形があってしかるべきなはずなのに。
この映画で面白かったのは、ひとつの出来事をいくつかの視点でいろんな角度から描いて、それぞれの人の印象を描写し分けている点。そりゃそうなんだよね。主人公が道で会った友人と会話して、別れたあとの主人公の行動を映し続けたとしても、その友人の時間がそこで止まったわけではない。校庭で知人ともめる。それを遠くで見ている人だっている。当事者以外だってそれを見ていろんなことを感じ取ってしまうはず。その出来事に関与した人、その出来事を目撃した人、全ての人に感情があるはずなのです。ついつい忘れてしまうことなのだけど。
この映画はほぼ4部構成で、最初の3部はほぼ同じ時間軸を登場人物ごとの視点で描いています。同じシーンが何回か違う視点で出てくるのがとても面白いです。最初の描写であまり意味のなかったセリフが次の描写では実は結構重要な意味を持っていたことが分かったり、一旦途切れたシーンの続きを改めてみせてくれたり。このあたりはなかなか面白いなあと思いました。(他にも同じようなことをしている映画もあるだろうけど)
しか〜〜〜〜し。お話自体は特に惹かれるところはなかったです。特に軸となる平山さんと成宮君のパートがつまらないんですよね。なんかありふれている感じ。それよりは石垣くんや市川さんの描写が面白いと思う。でもなんかみんながみんな似たような悩みを持っているというのもなあと思いますけどね。
平山綾(現あや)さんと言えば、僕の中では少し前までは「ウォーターボーイズ」の少し活発なヒロインで、最近は毎週金曜日のお楽しみ「あたしんち」のエンディングテーマを唄っているアイドル歌手。どちらも印象を強く残してはいるのだけど、うまいな〜この子とはいかんせん言えずにそのポジションのキャリアを積み上げているのが現状です。可愛いとは思うんだけどね。
この映画ではその彼女がヒロイン。主要6人の登場人物のうち、彼女が全ての核となってみんなの感情が動いていくのですが、やはりそのポジションにはちょっとツライかなあというのが正直なところ。彼女は脇でさりげなく光るタイプじゃないかと改めて思うのでした。
それよりもやはり印象ピカイチなのは市川さん。僕にとっては彼女のための映画です。「とらばいゆ」に引き続きよかったなあ。「仮面学園」でお気に入りだった石垣君を久々に見れたのもちょっと嬉しかったけど。宮崎さんは言うに及ばずですね。素晴らしい女優さんになりそうです。