「幸福の鐘」


監督:SABU
脚本:SABU
出演:寺島 進 西田尚美 篠原涼子 益岡 徹 塩見三省 鈴木清順


 ただ歩き続ける主人公が自分の意思に関わらず、いろんな出来事に次から次へと遭遇する。これはジェットコースタームービーです。しかしこのジェットコースターは時速5Km。多少の逆走はするにせよ、上下運動や回転などは全く無く、周りの景色に見惚れるわけでもない。ただノロノロと前に進むだけ。そんなの、全然面白くないよ。

 主人公が何を考えて、何をつかんでいくのか、なぜ歩いているか、なぜ何も話さないのか、全く分からない。次々に起きる出来事に対する感じ方もよく分からないし、そもそも何か感じているのかも疑問。最後に急にキャラが変わったように見えるのもイカンです。
 展開はギャグマンガのそれ。ギャグの一つ一つのアイディアはべつに悪いとは思わないけど、その見せ方はやはり失敗としか思えません。映像をだらだら流しつづける中でふっと間を外して見せるギャグではないのです。あれらのギャグは場を盛り上げておいてドッカ〜ンと行くタイプでしょう。集中力を高めてから外すのが正解。長回しや間の伸びた展開の中では苦笑にしかなり得ません。全然笑えなかったです。
 もちろんそれは映像に力があればうまく行ったのかもしれません。でも僕にはただダラダラした撮りっぱなしのものにしか見えなかった。早く次に進めよって感じの連続でした。
 それに時間の進み方自体おかしくない? 劇中では説明無かったけど、資料によると2日間の出来事らしい。そんなわけないジャン。火事から表彰までとか、留置場から刑務所までとか、事故から宝くじまでとか、そんな当日や次の日に進む話じゃないでしょう。いいかげんだなあ。

 海外で賞(ベルリン国際映画祭でNETPAC賞=最優秀アジア映画賞)を取っていることからもこれが好きだという人もいるでしょう。でも僕にはダメ。最後に好きな西田尚美さんがなごみ系演技で出てきてちょっとホッとしたけど、それ以外は見るべきものがない映画でした。僕の中では最低ランクです。やはりSABU監督には、時速50km位の中速ジェットコースターが似合っていますね。