「河童のクゥと夏休み」☆☆☆☆
監督:原恵一
脚本:原恵一
出演(声):冨澤風斗 横川貴大 田中直樹 西田尚美 松元環季 植松夏希 なぎら健壱 ゴリ
小学生の康一が川辺りで拾ったのは数百年の間土の中で眠っていた河童だった。人間の言葉を話す河童に戸惑いながらもクゥと名付けて一緒に暮らすことになる康一と家族達。共に旅行するなど楽しい夏を過ごす康一とクゥだったが、やがてその存在が世間に知られることになる。
感動しました。さすが原恵一監督です。しょっぱなからハードでつらい展開をつきつけられてスイッチが入り、その後じっくり丁寧に描かれる、優しくて少しツラさも合わせ持つこの友情物語に一息もつけないほど惹き込まれてしまいました。見事。
クゥが家に来たときの家族それぞれの反応はあまりに解る気がして笑ってしまった。そりゃあお父さん早く帰ってくるよねえ。出ていきそうになったら必死で止めるよねえ。興味はあるのになんか面白くない幼い妹の描写は見事なほどリアル。小さな女の子がいる家の人なら分かるでしょう。彼女の言動ひとつひとつにはずいぶん笑いました。また子供だけで旅に出るのを見届けて涙するお母さんの気持ちなんて親の立場になって本当によく分かるなあ。
社会に対する風刺的描写もかなり鋭く唸らされました。携帯電話を構えたままクゥを追いかけまくる民衆や家をグルリと囲むマスコミや野次馬の醜さ。もう河童など住むことのできない現代の日本。苦しむクゥを更に苦しめる人達。いじめや子供には踏み込めない大人の事情等も描かれ、かなりキビシイです。
そんな中で筋の通ったキャラクターのクゥは本当に愛らしく、どんどん好きになってしまいました。クゥに本当に幸せになってもらいたいと思ったし、クゥが喜べばこちらも幸せでした。
間違いなくここ数年に観たアニメではベスト。生涯でも10本に選び入れることになろう傑作です。ただしちょっと丁寧過ぎて長いかな。あとあんな下調べも段取りも打ち合わせも全くないテレビ生番組なんてありえないでしょう。そこが残念でした。
(MOVIX清水)
2007.8.15
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