「口裂け女2」☆☆☆☆☆
監督:寺内康太郎
脚本:寺内康太郎 佐上佳嗣
出演:飛鳥凛 川村ゆきえ 岩佐真悠子 真山明大 谷口賢志 草野康太 林未紀 Erina 中野英雄 斎藤洋介

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陸上部で活躍する高校生の真弓は憧れの先輩には想いは告げられない悩みはあるものの、仲のよい家族と幸せに暮らしていた。そんななか一番上の姉の差幸子が結婚する。姉の広い部屋がもらえることも嬉しい真弓だったが、初めてその部屋に寝ることになったその夜、幸子のかつての恋人の鈴木が部屋に忍び込む。
イヤ、これはまたまた参りました。この題材でここまで物悲しく、切なく、そしてショッキングでしかも完成度の高いものを見せてくれるとは思いませんでした。ちょっと唖然。
まずなにより構成が見事だよね。「リング」の貞子にしても「呪怨」の伽椰子にしてももともとその存在は悲しみに満ちたもので、世間の理不尽な偏見や迫害、突然の凶行による死などがその存在を邪悪なものとして怨念を生み出すとしている話が多いのですが、この映画でも同じように主人公に襲い掛かる不幸の連鎖が悲劇の引き金になっていく様子が描かれています。しかしその描写が半端なく丁寧で感情移入度が高いですね。非現実な部分が大きい題材でありながらそこで描かれるリアリティの高さが素晴らしい。
単純にこれでもかこれでもかと不幸を重ねていくのではありません。序盤では青春ドラマ、ホームドラマであるかのように主人公と家族のごく普通の普段の生活を描き、その後訪れたとてつもない不幸を背負いながらの苦しい日常を描きつつ、その生活の中で主人公が小さな幸せを見つけていこうとする。しかしそれが訪れそうになったときにまたそれが実はかなわないと言う現実を突きつけていくことで悲劇性はどんどん高くなっていきます。僕は何回か泣きそうになりました。
それから2度同じ構図を描きながらも状況が違うことでその同じカットが持つ意味合いが全く違う様子を見せる演出力も素晴らしい。主人公が憧れていた先輩の後ろを追いかけるように歩く構図の意味合いの違い。姉が家の中に付いた汚れをふき取る作業の意味合いの違い。さっき見たはずの同じような場面なのに。
足が速く、コップに入った醤油に確認もせずに口をつけてしまう主人公を描くなど、伏線もうまい。そして何より”間”がいいんだよね。さりげないカットにつながれた重要なショットや、一見平穏な状況に突然訪れる衝撃、何かありそうと思わせて何も無いのかと思った瞬間にやっぱり、のようなつなぎのうまさ。
本当に何もかもがうまくて印象に残らないシーンは皆無なほど。怖いわけではなく驚きも無い、ホラーとしては物足りないと思われてしまう可能性のある映画だけど、ジャンルを超えた必見の大傑作です。ひとかけらも文句なし。
ところで引っかけもなくだましどころも無い映画ですが、最大のフェイクが最初と最後に出てくるテロップにありました。多くの人はだまされ、そのうちほとんどの人はだまされたことにすら気づかないかもしれません。僕は気になって調べてそれが分かりました。見事にだまされましたよ!
(DVD)
2009.4.6
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