「休暇」☆☆☆☆
監督:門井肇
脚本:佐向大
出演:小林薫 西島秀俊 大塚寧々 大杉漣 柏原収史 菅田俊 利重剛 谷本一 宇都秀星 今宿麻美 滝沢涼子 榊英雄 りりィ
死刑囚を収容する拘置所に勤務する平井は、シングルマザーの美香と結婚することになった。時を同じくして死刑囚・金田の執行命令が下る。その執行の”支え役”を務めると、1週間の休暇がもらえる。新しい家族との時間を得るために、平井はその役割を買って出る。
日本の死刑執行の様子を克明に描写した映画を観たのは「13階段」に続いてこれで2回目。それぞれの死刑囚の宮迫さんも西島さんもその刑に至るにはそれに相当するであろう重い罪を犯してきたのでしょうが、その刑が執行されるに至ってはどちらも彼らの死を痛ましいものとして観客が受け入れさせられるように描かれています。僕らは「死刑囚」にはその罪の重さから怒りや憎しみしか持てないのが常で、哀れみや同情などの感情を持つことは少ないのですが、こうして刑執行に際して見せる彼らの姿には少なからず心が動かされます。
そしてどちらの映画もその刑を執行する人々の心の重みを描いているのが実に印象的です。確かに刑務官の方々は直接的に彼らの恨みがあるわけではなく、人の命を終わらせることを楽しみにしているわけでもない。業務として、義務としてその「殺人」をしなくてはならない。その苦しみや悲しみはとても重いものなのでしょうが、実際にそれに当たった人でないと分からないでしょうね。きっと想像を絶するものではないかと思います。
僕はそもそも死刑は最高刑としては適していないと思っています。死んですべてを終わらせるというよりは、生きて罪を償い続けるべきだと思っています。言うなれば終身刑が理想的かと。こういうのを観てしまうと更にその思いは強くなります。他人の苦しみを伴う死をもってという以外の、罪の償い方はないものでしょうか。
ところで死刑執行の日って、あんなふうに訪れるんですね。考えたことも無かったことだけど、執行の直前まで本人にも知らされないとは思ってもみませんでした。いつ来るか分からないその日を待たなくてはならないというのは、死刑囚の刑執行までの日々はやはり過酷です。
映画のほうはその苦しみをあえて受け入れる代わりに新しい家族との時間を確保しようとする主人公の刑務官の姿が、更に重みを増しています。本当にその役目を務めたのがよいことだったのかはよく分かりません。休暇があったほうがよいのは分かりますが、無かったらうまくいかないわけでもないでしょう。しかし彼はその選択をした。それで自分の苦しみ悲しみを増したのは間違いなく、その答えが出るのはきっとずっと先のことか、もしかしたら答えなんて出ないかもしれないんでしょうね。
でもラストのあの家族の姿はとてもよかったです。とてもいろいろなことを考えさせてくれる、いい映画でした。
(静岡東宝)
2008.6.22
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