監督:井坂聡
脚本:
出演:黒木瞳 陣内孝則
例えばスポーツ新聞などで「〜と語気を荒げた」「〜と平静を装ったが不満は明らかだ」みたいな文章をよく見ます。これらの表現を僕はあまり信じないのですが、それは表現者の主観のフィルターがどの程度まで影響を与えているかがサッパリ分からないからです。実際にそのセリフのシーンがニュースで流れてたりすると全然語気を荒げている様には見えなかったりするし。(あと”親しい関係者”、誰だよおまえ〜とか(笑))
そのためそう言う文章での創作的表現に疑問を持つことはたやすいのですが、TVなどのニュース映像では実際にそこにあるものが映っているだけあって、疑問を持たずに信じ込んでしまう可能性は文章よりはかなり高いと言えるでしょう。それでも実際は会話の中の一部分だけを取り出したり、多数の人がいる中で一人だけを切り取り写し撮ったりすることで、全く事実とは違う印象を観た人に与える事ができるのですね。その事を認識しながらTVニュースを観たりはやっぱりしてないもんなあ。例えば上記の「語気を荒げた」だって、TVでは映ってはいないその次の瞬間にものすごい怒りの表現をしていたのかもしれないわけだし。だとしたら何を信じていいのやら。ある意味情報を受け取る側はとても無力ですね。
この映画で面白かったのは、自分で間違いを犯したと認識していながらもそれを正当化する(ように見せかける)ための技術を持った主人公がそれを駆使して必死に動こうとするところ。映像素材から自分が不利になろう部分を切り取る事で自分の不利を隠そうとする。最後にはそんな事しても覆す事のできない状況に追い込まれてしまっても、パニくった頭ではそれに気付かずにひたすら自分のしてきた技術で自分のしてきたことを正当化しようとする。その彼女の追い込まれていく様子がなかなかリアルでとても面白かったです。確固たる自信があった人がそれを崩されるときっととても脆いものなんですよね。
またちょっと笑っただけで犯人であるという印象を与えるに充分な映像を流された男が、本当は罠にかかったのか実は本当に犯人なのかがある程度まではわからず、その展開もはらはらさせてもらって良かった。この男の叫びは心に染みましたね。陣内さんはさすがにいつもながらうまいです。なかなか見応えがある面白い映画でした。よいです。
でもラストはちょっと力技過ぎる気もするけどね、、、。(^^;)