監督:杉本達
脚本:「未来日記」プロジェクト
出演:佐藤友香 鶴野太朗 三島邦起 柳沢慎吾 山田花子
「映画版」とは言え、TVで観ている「未来日記」の新作2時間スペシャル版をそのままフィルムに落として劇場で流しているものでした。
日記どおりに行動しつつもセリフや行動は本人任せという大前提のルールをはじめ、日記の渡し方やそれに対する反応の写し方、一人のときの隠し撮り(?)も、画面での日記の見せ方も字幕の入れ方もナレーターの入れ方もまったくTVといっしょ。映画版ならではのオリジナル性はほとんど感じられず、何も映画にしなくてもいいのに、という気はやっぱりします。大きなスクリーンで百何十人でいっしょに観るTVバラエティというシチュエーションには、なんとなく違和感を感じてしまいました。ただその点だけをクリアしちゃえば、何も問題なくこの「未来日記」の世界に入り込んでいくことはできました。
このドラマでもなければドキュメンタリーとも言いにくい「ドラメンタリー」(@いとうせいこう氏)なるもの、好きな人にはたまらない面白さを持つのですが、はまれない人にはなに馬鹿なことやっているんだろう的な危うさを併せ持ちます。ある意味、人の感情をもてあそんでその反応を見て楽しむという、とてつもない悪趣味な世界でもあります。
この映画版の主人公たちは高校生。撮影が進むうち、彼らは(たぶん)本当に恋をします。しかし少年少女たちが恋をしているのに、その想いを大人たちが封印させ、意に反した行動をとらせたりするのです。わざわざ強制的につらい選択を迫ったりもします。観ていてかなり切ないです。ドラマとしての別れ以上に、その演技者たちの葛藤に心が動かされるのです。大人たちの仕打ちに耐える少年少女たちの姿が時には見られます。それがこの「未来日記」の本質であり、よいところでもあり悪いところでもあるのです。やっていることは批判の多い「電波少年」と何ら変わりはないのよね。
しかし僕は「未来日記」も「電波少年」も大好き。(笑) 設定や演出よりも、出演者たちのがんばる姿が好きなのです。
この映画もTV版が好きな人ならほぼ間違いなく面白いでしょう。出演者3人の少年少女たちも非常に好感度が高く、とにかく応援してあげたくなるし。特に多くの男は「島の彼」に感情移入しまくりでしょう。世の男たちよ、彼の姿に涙しよう。そして世の女たちよ、決して馬鹿にするなかれ。(笑)
そう言えば明らかにビデオ撮影の映画なのだけど、今まで観た数本のビデオ撮影映画の中ではピカイチに映像がきれいでした。たしかにロングではいかにもビデオっぽいブレが見られましたが、アップなどのカットでは非常にクリアな映像が見れました。もう少し技術が進んでお金をかけられるようになれば、ビデオ撮影の映画も気にならなくなりそうな予感がありますね。