「寝ずの番」☆☆☆
監督:マキノ雅彦
脚本:大森寿美男
出演:中井貴一 木村佳乃 笹野高史 岸部一徳 長門裕之 富司純子 木下ほうか 堺正章 田中章 土屋久美子 真由子 石田太郎 蛭子能収 高岡早紀 桂三枝 笑福亭鶴瓶 浅丘ルリ子 米倉涼子 中村勘三郎
間違いなくこれはテレビでは観れません。観れたとしてもカットしまくりで面白くないでしょう。ビデオやDVDで観るならいいかもしれないけど、こんなバカなエロ話は一人でこっそり観るよりは劇場で大人数でスカッと笑い飛ばすほうが絶対楽しいと思うよ。間に合うならぜひ劇場にて。
上方落語の重鎮、笑満亭橋鶴が亡くなる直前「”そそ”が見たい」と言う。弟子たちは最後の望みとして弟子の橋太の若妻、茂子を説得し橋鶴の顔上にまたがらせ”そそ”を見せてやるが、それは大きな勘違いであった。そうして橋鶴は死に、弟子たちや妻たちは最後の別れの前に、遺体を前として昔話に花を咲かせていく。思わぬ盛り上がりを見せる”寝ずの番”の夜。しかしそれは始まりでしかなかった。
そもそもエロ話には二つあり、自らが経験していないがために憧れ興奮するタイプのものと、自らの経験を基にしたその行為そのものを笑い飛ばすタイプのものです。若いうちは話し手も聞き手も経験値が高いことは少ないので前者の話になることが多く「〜なんだって」「うぉーやりてー」でおしまいになるのですが(笑)、年が上がって経験値が増していくごとにだんだんと話が後者よりになって「おれはこうだった」「あいつがこうした」「誰でもそうする」と言った直接的な描写でみんなで笑っておしまいになります。
まあこれはどんな話のテーマであっても同じことで、知識に偏りがある間柄での話と共通の知識がある間柄での話のパターンは違うものだもんね。誰かが教えて誰かが聞くと言うよりは、両方が同じレベルでああだこうだと言い合うほうが楽しいことも多いでしょう。
だから若いうちのエロ話もいいけれど、年取ってからのエロ話はもしかしたらもっともっと楽しいかもしれないよ。館内のほとんどは僕よりも年上の年配の方々ばかりで、しかも夫婦と思わしき二人連れが多かったのですが、ちょっとした艶話のごとにあちこちから爆笑する声が聞こえてきました。たぶん若い人はこの映画でああは笑えないんじゃないかな。
最初に死んでしまう長門裕之さんが死体としても絶大な存在感を示してとても素晴らしい。助演男優賞のひとつくらいあげて欲しいですね。あと唯一と言っていい直接描写的なエロチックモードで登場する高岡早紀さんが印象深いなあ。
まあ同じようなパターンが続くので終盤だれてきてしまうと言えなくはないのですが、それでもほとんど笑って過ごせる楽しい映画でした。
2006.5.10
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