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「俺は、君のためにこそ死ににいく」☆☆

監督:新城卓
脚本:石原慎太郎
出演:徳重聡 窪塚洋介 筒井道隆 岸惠子 前川泰之 中村友也 多部未華子 木村昇 蓮ハルク 宮下裕治 古畑勝隆 田中伸一 渡辺大 長門裕之 勝野洋 遠藤憲一 石橋蓮司 中越典子 桜井幸子 戸田菜穂 宮崎美子 寺田農 的場浩司 伊武雅刀 江守徹 

 太平洋戦争末期。敗色濃厚な日本は爆弾を抱えて飛行機で敵戦艦に体当たりをする特攻戦術を決行することを決める。志願し死ぬために飛び立つ多くの若者たち。特攻隊の基地となった九州知覧基地での近くにはそんな彼らを暖かく見守った女性がいた。

 個人的な映画観賞ルールとして、「観る前に偏見を持たない」ことは重要事項として肝に銘じています。だからこういった爆弾を抱えた可能性を感じいる映画であっても(笑)まずは観てみたい気持ちのほうが強く持てるし、いい映画であれば素直にいい映画だったと思えるような態勢を整えているつもりです。
 しかしそれも映画がいいものだったらこそ正しいルールだと確信できるものであって、結局こんな映画に当たってしまうとその気持ちも揺らいでしまいますなあ。人の信頼を揺るがす映画ですなあ。(^^;)

 特攻で死んだ人達を描きたかったのか、死ねなかった人達なのか、それとも見送った人達なのか。いずれもですかね。でも結局どの視点に身を置いても、感情も感傷もわいてきませんでした。感情移入する前に飛び発ち、そのくせ飛んだはずなのにまたそのまま戻って来たりするから、悲しむタイミングがつかめないのかな。当時本当にそうだったのかもしれないけど、死ににいくはずの人達がほとんど悲愴感のようなものを見せないのも一因でしょう。彼らには死ににいくことが正しいことだと思っている節がある。それは間違っているんだという視点が全くないので、明らかに僕らの感情との差異が浮き彫りになってしまうのです。
 あと最大の泣かせ演出になるべくシーンが、ほんの5年前に同じように”知覧の母”をテーマにして作られた健さんの「ホタル」と全く同じだというのには度肝を抜かれました。それと戦後の沖縄の男のエピソードの中途半端さは何?

 ついでに言えばやっぱりこの映画のタイトルはいただけないね。俺って誰? 君って誰? ためになっているの? 少し酔ってないか?(^^;)

 しかし特攻というのは人類史上最大級に愚かな戦術だなあと改めて思う。もちろんそれに参加していって死んだ人も、そういう戦略の実現を決断せざるを得なかった人たちのことも、ひとりひとりについては悲劇といわざるを得なく、責め立てる要因はほとんどありません。それを当然のように思っていたり面白がっていたりしていたら別だけど、たぶんほとんどの人はそうではないでしょう。でも人の命の重さとそれによってもたらされる効果の大きさ(小ささ)を比較して、特攻ほど無駄な戦術はやはりないですよね。死ぬよりも生きるほうが大きな効果があるのは、普通の人が普通の状態にあれば誰でも分かることだから。

(静岡東映)

2007.5.30


 

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