「パッチギ!」☆☆☆
監督:井筒和幸
脚本:羽原大介 井筒和幸
出演:塩谷 瞬 高岡蒼佑 沢尻エリカ 楊原京子 尾上寛之 真木よう子 小出恵介 波岡一喜 オダギリジョー 光石研
怒られるかもしれませんが、正直言っちゃうと僕は在日の方々について感心をほとんど寄せていませんでした。理由はなく、ただ身の回りにそういった方々がいないから実際にその存在に触れてこなかったからです。もちろん授業などで習った記憶もありません。ときおり「GO」とか「潤の街」といった映画でその苦しみを知るくらいでした。おそらくは日本の近代史のなかでも重要な意味合いを持つテーマであるのでしょうが、僕が興味を持つほどのインパクトを与えられてこなったことは確かです。
だからこの劇中のように在日のお年寄りから「君は我々の何を知っているんだ。お前らは何も分かっていない。」などと責められても、そのまま何も知らない、分かっていないことを認める以外にありません。僕はこの話がピンときません。この映画を観ただけで、在日について深く考え、歴史に想いをはせ、過去の日本の罪を憂うなどということができるほどに、僕はこの事柄を噛み締めることができません。基本ができていないのです。
だから先のお年寄りから責められるシーンにおいても、「なんでこんなときにそんなことで責められなくちゃいけないんだろう」という気持ちのほうが強いです。あのタイミングはもっと別のことに悲しむべきで、その件はもっと別の時に突きつけるべきなんじゃないかと思うんですけどね。主人公の少年は日本人だということ以外、全く関係のないことなんだから。彼の方は在日に意識を持たずに接しそこにいるのに。でもそれでもあのときに彼を責めなくちゃならないだけの理由があるのは分かる。ただその理由にピンと来ないんです。僕が在日の方の気持ちを完全に理解する日は間違いなく来ません。
基本的な部分としてもうひとつ、私はこういった喧嘩喧嘩ケンカ!みたいな描写に、ほとんど胸が弾まないんですね。活き活きした高校生たちの姿に心踊る人は踊るんでしょうが、私はあまり踊らないんです。一つ一つのケンカに大きな意味があるならまだしも、あっちゃこっちゃで目が合っただけとか、ただそこにいたのを見つけたからだけみたいにケンカしまくっているんじゃ、全くのめり込むことはできません。あぁ、またかという感じ。
だいたいなんであんなにケンカがエスカレートしていくのか分かるような分からないような感じだし、いくとこまでいっちゃったはずのケンカがなんであんな形で最後収束するのかが分からないです。あそこまでいったらあんなさわやかな顔していられないと思うんだけどね。あと男の子たちの顔が最初覚えられないので、誰と誰(どのグループとどのグループ)がケンカしているのかがいまひとつ把握できず。在日生徒とケンカしていた日本の高校生は主人公たちと同じ学校なの? それすら分からなかった。
それからこの映画は僕が事前に想像していた話とは全く違ってて、僕は在日の少女に恋をした主人公は抗争に巻き込まれて彼女の兄貴にも目を付けられているけど、決死の覚悟で「イムジン河」を唄うことで認められて恋をつかむか結局ダメかみたいな話を想像していたのですが、全然そんなことなくて、主人公は抗争とはほとんど関係なく、彼女の兄貴とも別にケンカなんかしない。意を決して「イムジン河」を唄う理由も恋とは違う。恋愛ベースの青春映画かと思っていたら、この映画は在日、ケンカ、恋愛の3本柱からなっていました。おかげで若干ばらついている感じがしていますね。
主人公は最後に重い命題を突きつけられるものの、それ以外はさほど大きな困難は与えられず、それよりも在日の少年たちやその家族たちの方が大きな問題を抱えていて、しかしその問題は僕なんかには実感できるものではないのでやはり思い入れを持って観ることができませんでした。
まあたしかに最後の主人公の彼の熱唱は涙をさそい感動的なのでそれなりの満足感はあるんだけどね。あと中盤の少女のフルートとのセッションもよかった。音楽はやはり心を打ちますね。
しかしオダギリ君。アンタ凄いなあ。(笑)
2005.2.21
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