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「世界は彼女のためにある」☆☆☆

監督:保坂大輔
脚本:保坂大輔
出演:坂ノ下博樹 布瀬谷香 津田寛治 諏訪太朗 小田部千夏 堀江慶 浅野麻衣子

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 高校生坂ノ下には交際している同級生のカヲリがいるが、彼女はいじめを受けていた。しかし坂ノ下はそれを知っていながらも彼女を救う勇気を持てずにいることを悩んでいた。それでも純真なカヲリは坂ノ下を一途に愛している。ある日坂ノ下が突然死んだという。悲しみにくれるカヲリの元に、坂ノ下からの交換日記のメッセージが届く。それによると彼はいま、大きな使命のために姿を隠しただけで、いずれ帰ってくるという。いったい坂ノ下の身の上に何が起きているのか。

 想像を絶する物語が展開します。このストーリーを予測しうる人はおそらくいないでしょう。どこへ向かうのか全く分からないまま怒涛の勢いでストーリーは進み、しかしながらきちんと到達点に着地して終わるのはなかなかすごいです。
 メインはラブストーリーです。特にカヲリの純粋な想いがこの映画を支えていて、彼女がいじめの苦しみの中でどれだけ坂ノ下を愛しているか、また彼がいなくなったときにどれだけ彼を求めているかが描かれています。その過程で坂ノ下に起きていること、彼女が受ける衝撃的な体験が描かれています。
 もちろん怒涛の展開は突拍子もなく、泣いちゃったり感動したりするようなものではないのですが、その根底に流れる彼らの想いだけは感銘するに値するものです。ただその展開の衝撃度(笑劇度)があまりにも高すぎて、そういうものに気がつくのは観終わってからになってしまうことでしょう。

 しかしまあ、よくこんなこと考え付いて、よくこんなものまじめに作っちゃうようなあ。この映画は映画美学校の卒業制作で作られていて、かなり自由度の高い条件のもとで作られたものだと思います。DVであることも含めて良くも悪くも自主制作っぽさに満ち溢れていて、そのチープっぽさが逆に妙な味わいになっちゃっているのも事実でしょう。純然たる商業映画ではなかなかできない世界ですよねえ。
 津田寛治さんは先日観た「独立少女紅連隊」での役柄と似ていて、そう考えると突飛な設定で大真面目に演じることでちょっとおかしい世界を構築していることで両者は似た味わいを持っているともいえます。
 あと最高に素晴らしいのが諏訪太郎さんの使い方でしょう。いや、この役は諏訪さん以外にはもう考えられません。諏訪さんをキャスティングした時点でこの映画の半分は成功したものなのではないでしょうか。

 しかしカヲリはともかく、坂ノ下くんは17歳になる高校生にはちょっと見えないのはご愛嬌。(笑)

2006.1.18


 

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