「蝉しぐれ」☆☆☆
監督:黒土三男
脚本:黒土三男
出演:市川染五郎 木村佳乃 今田耕司 ふかわりょう 石田卓也 佐津川愛美 原田美枝子 緒形拳 加藤武 大滝秀治
「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」と名作2本を送り出した山田作品に続く、藤沢周平原作小説の映画化。宣伝文句によると藤沢文学最高傑作とのこと。構想から制作、公開まで10年以上かかっているそう。
山田監督の2本は設定や構成が似ていてリメイクやらマンネリやら言われたけど、それでもそれぞれに光り輝くものをもったどちらも名作に仕上がっていました。似た部分は山田監督のカラーであり、寅さんにも似たマンネリズムの美しさとも思え、あまり気になりませんでした。
しかしこうして他の監督によって作られた3本目は、またしてもほとんど同じような設定と話の流れをもった映画でした。こうなるともう、藤沢周平っておんなじような話しか書けないのか?と勘違い(なんだろうね)を引き起こさざるを得ない状況ですね。僕はこの3本が同一の原作小説から作られたと聞かされてもたぶん信じるよ。3本とも、剣術に優れた下級の武士が断り切れない無理難題に引き出されてそれを乗りきり、それと並行して身分や立場の違いから成就は難しいと思える恋をする、という話でしょう。おんなじじゃん。
これがマンネリズムの巨匠である山田監督の作品ならまだ分かる。でも別の監督がこんなものを撮ったらそれは単なるトレースであるという評価は免れないでしょう。構想期間の間に追い抜かれてしまったのかな。だとしたら悲運ですね。
この映画の一番不親切に思うのは、時間の流れ方がよく分からないことでしょうか。気がつくと1年やら数年やら経っていることがセリフの内容から推察できるのだけど、それが唐突で驚くこと3回くらい。特にクライマックスからラストシーンまで5年かもしかしたら10年くらい経っているような感じなんだけど、セリフで説明されるまで全然分からなかった。直後かと思ったよ。
あとこれは僕の認識不足でよく分からないんだけど、あんなことしでかした主人公がそのまま平穏に暮らしていけるもんなのかね。
かといって悪い映画というわけでもなく、子供時代の父親との別れや幼馴染二人で台車を押すシーン、大人になって再会したのち、夜道で抱き付き合うシーンなどはとてもよかった。全体的にはそこそこ退屈せず観れました。
出演陣もなかなかみなよかった。子供次代の二人もよかったし、ふかわくんや今田くんもほどよいアクセントとなっててよかったよ。
2005.10.12
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