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「心中エレジー」☆☆☆☆

監督:亀井 亨
脚本:永森裕二
出演:眞島秀和 小山田サユリ 豊原功補 中村優子 嶋田久作 並木史朗 三浦誠己 播田美保 松尾 崇 奈良坂 篤

  
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 日常にやりきれない思いを抱えながら不動産屋で働く京子は、ある日部屋を借りに来た万代に共に夕方の2時間を過ごしてくれないかと誘われ、戸惑いながらもその部屋で共に過ごすこととなる。足りないものを埋めあうように求めあう二人だったが、あるときから京子を中傷するFAXやチェーンメールが出回るようになる。万代も仕事や家庭でやりきれない悩みを抱えており、やがて二人は心中する道を探し始めていく。

 最近少し流行っているのかもしれないけど、この映画も同じ場面を何度か視点を変えて映すことでそのときに実はこうだったと新たな驚きを見せてくれる手法をとっています。例えば一人でいたと思っていたことを他の人が実は見ていたとか、誰かが部屋に投げ込んだ石が、誰が投げたのかをあとからきちんと見せてくれるとか。何気ないシーンが実は重要な意味を持っていたことが後から分かっていくというのは、実は結構刺激度が高く快感だったりします。僕はこういう手法は好き。
 主人公は4人いて、上に書いた不倫カップルとそれぞれの配偶者。視点は最初は不倫の女から男へ移り、その後男の妻、女の夫と移っていくに連れてどんどん新しい事実が明らかになっていきます。しかも完全に同じことだけをなぞって行っているのではなく、視点が変わるごとに話も全体的に少しずつ進んでいくのが面白いじゃない。1〜3の話の後に2〜5の話、その後1〜7の話をして3〜8の話をして最後に7〜10の話をする感じ。エー数字はかなりいい加減ですが。この映画の構成は僕はとても面白かったです。

 ただ別にそれがなければ苦しい話だよね。僕はあまり人生に悩んだりしないほうなので(幸せだなあ)、ここで描かれるようなイライラ感から世界を滅ぼしてしまうがごとく苦しみぬいてしまう感覚がどうにも分からなくて、ましてやそういった二人が出会ったからといって心中のほうに心が進んでいくというのには更に分からないことが多いです。二人で生きる、は分かるけど、二人で死ぬ、は分からないです。

 しかし主演の4人はみなそれぞれ素晴らしいなあ。冒頭で風呂場で泣きむせぶ小山田サユリさんの細い背中にはいきなり目を見張るものがありますね。

2006.5.27


 

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