「SHINOBI」☆☆
監督:下山天
脚本:平田研也
出演:仲間由紀恵 オダギリジョー 黒谷友香 沢尻エリカ 椎名桔平 升毅 坂口拓 虎牙光揮 木下ほうか 伊藤俊 りりィ 寺田稔
戦乱期を終えて太平の時代に入ったばかりの徳川幕府の時代。いまは戦うことなく暮らしていた伊賀の跡取り朧と甲賀の跡取り弦之介は偶然出会い愛し合うようになっていた。いつの日か共に暮らせる日を夢見る二人。しかし忍の存在を恐れた家康は、伊賀甲賀お互いの陣営から5人ずつの戦士を選出し戦い、戦えという命令を出した。そしてその勝敗の結果により時期将軍を決定するという。朧と弦之介の二人は愛し合いながらも否応なく戦闘への参加を余儀なくされていく。
この映画のタイトルを聞いて最初に思い出されるのは日本初の映画ファンド。一般投資家から一口10万円で投資を募り、数億円を集めて制作費の一部としてこの映画は作られました。映画がヒットしDVDが売れればそれに見合った金額が投資者にバックされます。しかしコケれば最低保障以上の元本は回収できません。損益分岐点は興行収入で約20億円とのこと。年間ベストテンクラスですかね。まあまあ高いハードルです。さてそこまで届くでしょうか。
僕も実はこのファンドに参加するかどうか考えました。映画に投資するなんて、映画ファンとしては夢があるじゃないですか。DVDには投資者の名前がクレジットされるというのもファン心理をくすぐりますよね。これが劇場でクレジットされるというのなら更に参加者は増えたんではないでしょうか。僕も大きく心が動いたと思います。
でも結局僕はこのファンドに参加しませんでした。10万円を実は用意するところまでしたんですけどね。いろいろあってしませんでした。そして鑑賞したいま、それが正解だったとホッとしています。もしかしたらそこそこヒットして多少の色がついてお金が帰ってきたかもしれません。でもこの全く思い入れの持てない映画に自分の名前がクレジットされなくてよかったと言うのが本当の気持ちですね。
忍者の派手な戦闘シーンはその映像テクニックは確かに凄いのかもしれませんが、その内容は忍術合戦と言うよりは演芸合戦。相手を倒すことよりも、それを見ている人たちを楽しませることに重点をおいたエンターテイメント魂あふれる戦いっぷりに、まあ僕も楽しませていただきました。何十本も伸びる鞭状の武器とか、顔を変化させるとか、妖術で体内中がボロボロになるCGとか笑わせていただきました。でもそれはドラマチックな悲恋には向きません。
愛し合う二人も戦いの中で出会って恋に落ちるのなら盛り上がるけど、単に偶然に出会って過程の描写なくもう愛し合ってて、伊賀と甲賀の関係についての悩みの描写もこれだけ希薄では、あまり盛り上がりません。戦いたくないけど戦わなくてはならないという緊迫感も希薄。愛と一族後継者としての立場の狭間で揺れる描写もない。弦之介の最後の行動も後継者としては失格でしょう。それ以前に後継者の命令を部下たちがほとんど守らないっていうのは忍としてどうなの?
後先考えない先代の頭たちといい、甘甘な家康といい、忍術の活かし方を知っているとも思えない忍者たちといい、みんななんか頭悪すぎじゃない? それにしても椎名桔平はどうしてあれで死んだんだ?
ただし弦之介がその能力を発揮して敵を切りまくるシーンはすごかった。ギャグめいた妖術よりもこの映画に必要だったのはやはりこういった剣術でしょうね。忍術合戦よりも剣術合戦がよかったな。
2005.10.10
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