監督:錦織良成
脚本:錦織良成
出演:中村麻美 濱田 岳 尾美としのり 竜 雷太 大滝秀治 田山涼成
これは名作ですね。しみじみ感動してしまいました。
どんな内容であれ、人が夢を持ち、夢を追い、そして周りの人達がその夢をかなえてあげようとする姿は感動的です。島根県の過疎の町の小学生たちが窓からかすかに見えた白い船に興味を持ち、その船長に手紙を書いて交流するようになり、そしてその船に乗りたいと思うようになる。ただ船に乗りたいと思うのであれば何もその船でなくてもいいはずだけど、自分たちで見つけて交流を進めてきたその船は特別なのです。
船は新潟と福岡を結ぶフェリー。島根沖は通過点でしかなく、船のほうからすればそんな小学校は存在すら知らなかったはず。しかし自分たちを見つけてくれた。自分たちに思いを募らせてくれた。もう決して無視しては通りすぎれない海域になってしまいました。船の乗組員たちにとっても、この小学校は特別な存在なのです。
小学生達の思いを大人たちは全力で支えようとします。船を大きく見せてあげたい。船に乗せてあげたい。そういった大人達の思いも膨らんでいき、学校のみならず町中の思いになっていく。自然で優しい描写です。子供達、大人達の心の動きがとても自然に伝わってくる。船が子供達を乗せて海原を走る、たったそれだけのことなのに、そこに子供達、大人達の思いがすべて結実しているが為に、その事実が僕らを深く感動させてしまうのではないでしょうか。少なくとも僕はあそこで一緒に手を振りたかったよ。
過疎の小学校の教師と言う自分の仕事に疑問を持ち始めていた若い女教師、子供のころに父親を海で亡くしている老祖父、東京から漁師になるために移転してきた家族、若い人が減っているために子供達が習い守ろうとしているその町の伝統芸能、子供達だけが知っている手作りの秘密基地。そんな細かいエピソードやエッセンスが至るところにうまくちりばめられています。それらがみな一つ一つとても素晴らしい。僕はこの映画は大絶賛。心からいい映画でした。