「精霊流し」


監督:田中光敏
脚本:横田与志
出演:内田朝陽 池内博之 酒井美紀 高島礼子 山本太郎 仁科亜季子 蟹江敬三 椎名桔平 田中邦衛 松坂慶子

 きっと”古き良き映画”を目指したんだと思う。でも見事にそれには失敗し、ただの古臭い映画になってしまった感じがする。視点が優しさを通りすぎて、ただただ甘いのだ。

 親の世代と子供の話と、若い3人の恋愛話が交差するような作りではあるのだけど、前者はともかく後者はまったくその気持ちの流れが伝わらない。あの三角関係はなんなのよ。内田さんは始終はっきりしないし、池内さんはマザコン部分が強すぎて酒井さんへの気持ちはどの程度なのかホント良く分からんし、酒井さんはなんかふらふらしているだけの印象を受けてしまうしね。決着のつけ方も決して同調できない。
 母と子の愛情については、その隠された真実が単純ながらも意味深いものなので心に響く。あぁ、だとすると、ここで映されている表現以上に愛情は深いなあと思わせることは思わせるね。だからそれだけにもう少しストレートに心に届くような映像にして欲しい感じ。観終わってからよ〜く考えると、というところだし。
 序盤に母と子のしばしの別れと言う感動的なシーンを配しているのがいいような悪いようなものになっている気もします。あそこでいきなり盛り上がりすぎて、その後が正直たるいのだ。あの絵作りはやはりクライマックスでしょう。実際のクライマックスたる”精霊流し”のシーンを含めて、あの映像を超えることが最後までに結局できていないのです。

 良かったのは椎名桔平さん演ずる社長のエピソード。人情にあふれながらもギャンブルに溺れて身を崩しかける男を好演。あれは泣けた。

 あと内田さんが劇中歌っていた曲は僕は好きな感じ。僕の音楽の趣味の根源は70年代フォークソングなのよね。だから「精霊流し」と言う曲も僕は名曲だと思うよ。

2004.2