「大河の一滴」


監督:神山征二郎
脚本:新藤兼人
出演:安田成美 渡部篤郎 セルゲイ・ナカリャコフ 倍賞美津子 三国連太郎

 この映画の内容からこのタイトルの意味を推察するとしたら、人生と言う大きな河の流れも、様々な細かい出来事の一滴、一滴からなっているんだ、と言うところでしょうか。すなわちその一滴一滴を大切に生きていくのが、人生なのだ、と。
 ここで描かれているのはさほど珍しい方ではない家族と、彼らにまつわる人々。そしてさほど珍しいほうではない出来事の数々。ただしそれらが普通よりは短いスパンで一気に来たためにさほど普通ではないような出来事に感じてしまうところ。落ち着いてバラバラに見れば、親の病気やそれに付随する家族の反応も、決断力の無い女性が二人の男性の間で気持ちが揺れ動くのも、哀しみを負った友人の行動や夢を追おうとする外国人青年の姿も、みんなドラマとしては珍しいものではないよね。単にそれらが一気に来るからドラマになってしまうだけなのだ。要するにそれだけ、展開が詰め込みすぎで不自然なんですよね。一つ一つの出来事の意味を深く考えるヒマ無く次の出来事が襲ってくる。ある意味ジェットコースタームービーだよ。(笑)
 そんなだから、逆に僕はこの映画、全然退屈しませんでした。この不自然さの中でも物語に不覚にも引き込まれた、というか、引きずられたままドラマを楽しんでしまいました。いやあ、やられましたよ。ずるい映画です。

 ところで妙に頭に残るセリフ。外国人青年の言う「戦争は誰も幸せにしません」。なんせロシアのアフガン侵攻へのメッセージなのだ。僕が観た時(9/7)にはまだあのNYの大事件は起きていませんでしたが、 いま振り替えるとこのセリフへの感慨が10,000,000倍くらい激増です。あぁ、なんか忘れられない映画になっちゃうかも。