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by はる
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2004年5月以降 人目のご訪問者です。('96.8〜'04.05・・・130,000人位)

「ヴィタール」☆☆☆☆

監督:塚本晋也
脚本:塚本晋也
出演:浅野忠信 柄本奈美 KIKI 岸部一徳 國村隼 串田和美 りりィ 木野花 利重剛 鈴木一功 中島陽典 村松利史

 事故で記憶を失った青年が医学生として解剖実習にあたるが、その献体となった女性は、偶然か必然か彼と共に事故に遭い命を落とした恋人であった。彼はその実習にのめりこんでいくうち、虚実の混ざりこんだ世界に紛れ込んでその恋人との時間を過ごすようになる。

 ひとつだけ(じゃないけど)なんか基本的なところで分からなかったんですが、事故で記憶を失ってから大学受験をしなおして医学生になったんですよね? 入学式の描写とかあった気がするし。でももしかしてもともと医学生だったのが事故があってそれでも在籍し続けていたということ? そうだとしても(どちらにしても)事故から解剖実習までは結構時間が経っているよね。最低数ヶ月、もしかしたら1、2年。献体って、そんなに長いこと解剖までに時間がかかるもんなんでしょうか。正式に荼毘にふされるまで、死んでから何年もかかるの? そうだとしたら、やはり家族としては献体など、そうとうな、想像を絶するほどそうとうな決心が必要だね。仮に家族が死に際してそう望んだとしても、僕にはその同意はできそうにありません。
 しかし医者というのは、これだけのこと(解剖実習)をみな経験して存在しているわけなんですね。僕などから見ると、もはやその行為は神の領域としか言えません。これだけの領域を経験していて、もし人格者でない医者がいるとしたら、僕には受け入れられません。いや、世間には間違いなくそういう医者もいるでしょうが。

 塚本監督の世界観にはいつもながら唸らされてしまうよね。人体解剖という一歩間違えばめちゃくちゃグロイだけの題材になりそうなものを、これだけ美しく、悲しく、素敵なラブストーリーとして昇華させていくのはすごいですね。まあたしかに僕なんぞにはそこで何が行われているのか、完全に理解することはできているかどうかもよく分からない異次元感も充満していて、事故で失ったものと得たものハザマでどんどん暴走していく主人公に同調や共感を得ることはまずできないのですが、それでも幻想的な世界に一人とどまり恋人を待つ死んだはずの彼女の美しさなどにはクラクラしてしまうわけです。映像美。それにつきますね。
 ようするに神の領域に近づくべく行為のなかで、死んだはずの彼女との邂逅というまさに神の領域に足を踏み入れる主人公の姿には、やはり神を重ねてしまうのです。映画全体をなにかワンランク上のものが包んでいるような印象すら受けます。やはり凄い。

 浅野君は相変わらず自然な存在感がいいなあ。新人のヒロイン二人もなかなか魅力的でした。


2005.3.15


 

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