「北の零年」☆☆☆
監督:行定勲
脚本:那須真知子
出演:吉永小百合 豊川悦司 柳葉敏郎 石原さとみ 石橋蓮司 石田ゆり子 香川照之 渡辺 謙
いや、間違いなく日本映画史上のベストアイドルのひとりであろう吉永小百合様をどうこういうつもりはありません。あなたは素晴らしい。名演技です。で、でも、このキャスティングは無理があるでしょう。役柄的には最初は間違いなく30歳そこそこ、もしかしたら20代後半から、終盤でも40に届くか届かないか位の年齢なんじゃないでしょうか。50代後半の小百合様の役柄ではないと思うのですが、、、。
2時間48分の超大作で吉永さん主演であれば、最初は若い役柄であってもそのうち歳をとって吉永さんの実年齢に近づくくらいの時が流れる大河ロマンなのかと思っていたらわずか6、7年のお話。主人公を演ずるべきは30代後半から40代前半くらいの人じゃないとちょっと苦しいです。いや、だから吉永さんは悪くないのよ。キャスティングが悪いんだってば。
でもふと考えてこの役ができるいまの女優さんって誰?と考えるとこれだけの大作だと年齢的なものプラス”格”を兼ね備えた人を考えなくちゃならなくて、ん〜、黒木瞳さんくらいしかいないじゃん。おぉ、同日公開の「東京タワー」の主演だ。じゃなきゃ原田美枝子さんあたりはどうだ。あとは若干格不足かも知れないけど(失礼)高島礼子さんか、ちょっと若いけど常盤貴子さんあたり。小泉今日子さんや南野陽子さんはちょっとイメージが違うし(演じる力はあると思うけど)。うぅ、この年代、あまりいないじゃん。ってことで結局吉永さんになっちゃうのかねえ。(^^;)
余談が過ぎました。
振り返るとなかなかよかったです。特に前半はとても面白く、泣かせポイントがいくつかあるんですが見事にはまり何回も泣いてしまいました。特に中盤、過去を思い出していまの幸せを泣く豊川さんの演技にはどっぷりと涙でした。 北海道の景色は美しく、オープンで建てられたセットもなかなか素晴らしい。豪華な出演者の顔ぶれも魅力的で見ごたえがあって飽きさせません。2時間48分という長尺にはあまり感じませんでした。
ただ終盤ちょっと失速気味かな。クライマックスたるみんなで力を合わせて馬を守ろうというシーンにはやや盛り上げよう、泣かせようという意思のあざとさが満ち満ちていて、逆に冷めてしまった部分がありました。ラストの展開もなんかちょっとわざとらしくくさい感じがしてしまいました。
あと渡辺謙さん演じる主人公の夫の行動にはちょっと共感できません。描かれていない物凄いドラマが彼にはきっとあったのでしょうが、その重さが全く伝わらない描き方になってしまっているため、彼の苦悩がよく分からず、たんなる不誠実男に見えてしまうのはまずいでしょう。娘の石原さとみさんが怒るもの無理はありません。あれじゃあ一生娘は父親を許せないままでしょうね。
あと香川さん演じる悪徳商人も、最後に少し見せる姿によってなんか中途半端なキャラクターになってしまっているような気がするのが残念。どうせなら徹底的に悪い奴でいくのか、じゃなきゃ実は信念の男だったというような描き方をして欲しかったです。
ってポロポロ気にいらない部分が出てくるのは出てくるんですが、それってみんな後半や終盤の話。前半は本当に面白くって泣ける話だったので、全体的に見ればまあまあよかったほうなのかなあとも思います。惜しかったですね。
ところでイナゴのシーンは去年公開された「新しい風」にも全く同じようなシーンがあったのでよっぽどこの時期の北海道開拓を描くにはどうしても外せない出来事なんでしょうね。後追いになってしまったのが気の毒。って「新しい風」を観た人の人数って、、、だろうからまあいいのか。(^^;)
しかしまあこれって行定監督の映画か? オーソドックスに無難にまとめているように思うけど、行定っぽさ(ってどんなんだかもよく分かんないけど)とか全然感じないし、いままでのラインナップからするとかなり異色。これはチャレンジなのかな。今後どういった映画を撮っていくつもりなんでしょうかね。
2005.1
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