二人三脚のホームページで情報発信
☆文と写真・薗部英夫(「みんなのねがい」2001年7月号)

 長方形に仕切られたステンドグラスのような水田の向こうに残雪の山が広がる新潟平野。その真ん中を流れる信濃川の支流沿いに鈴木さんのお宅はあります。パートナーの理香さん(26歳)とともに待っていてくれました。
 じつは、昨年11月の「IT基本法」をめぐる国会で、私は参考人を要請され、重度の脳性マヒ者の彼から寄せられた電子メールをもとに、つぎのような意見陳述を行ったのです。
 

IT基本法策定での意見内容。「30歳頃、足で文字を書けなくなったので、足でキーボードを打ってワープロを使いはじめました。42歳で障害が重度化して、座ることができなくなり、寝たきりとなりました。もうだめかと思いましたが、科学技術の進歩を思うと、どんな障害でも入力できる機器は開発できると信じることにしました。いまは、あきらめるのではなく、人を介してもいいからと考えて、介護人と二人三脚で自分のホームページをつく
り、介護情報を発信しています」。
 そして、「こうしたたくさんの人たちの願いや希望に、IT基本法はどう応えているでしょうか」と。


---「バイオ」と「ソーテック」の2つのパソコンをつないでテレビ画面を見ながら操作してるんですね。一日どれくらい使っていますか?
鈴木 長い時は5、6時間かな。昔は立位の姿勢でいられるのが1日3時間くらいが限界だったけど。
理香 パソコンやってると、長くやっちゃうんですよ(笑)。
鈴木 俺が3、4日、本を読んで勉強して。理香がいてくれるときに具体的にどうしたいのか教えないといけないから。ホームページのアイデアも3日くらい考えて、理香がいる時に操作・実行する。その繰り返し。電子メールも「口述筆記」してくれる。インターネットの醍醐味は自分で情報発信することができること。自分の考えや自己主張は、みんなのデータベースになるんだから。
理香さんは鈴木さんの言語障害のある言葉を聞きとり、「ダブルクリック」「初期画面」などのパソコン用語を理解しながらキーボードを巧みに操作します)
---まさに「二人三脚」の作業ですね。
 全障研第27回新潟大会(93年)で福祉タクシー実現のレポートを出すことになって、ちょうどその頃、自分で入力することができなくなって。それで必要にせまられて、ノート型ワープロを買って、入院していた病院に持ち込み、当時は高校生だった理香にベッドサイドで「口述入力」してもらった。それが二人の共同作業のはじまりだった。
 ボランティアはありがたいんだけど、「確実性」が弱い。それと、パソコンの操作を頼むとなると、だれでもいいというわけでもない。パソコンがわかる人だと「おしつけ」がでてきてしまう。だから、俺のホームページづくりは理香でないとだめなんだ。
---
新津の街のホームページにも鈴木さんのページが掲載されてますね。
鈴木 ハード部分をサポートしてくれる人が2人いて、その一人は、俺のホームペー
ジを読んでメールをくれた人で、街のホームページ運営者のシステムエンジニアだっ
たんだ。そういう「縁」はありがたいね。

---IT施策で望むことは
鈴木 パソコンを日常生活用具に認めてほしい。パソコンは拡張性があるから便利なんだ。「財政構造改革」で福祉予算を削るのではなくて、継続性をもったIT政策を求めたい。


ITと障害者問題資料
http://www.nginet.or.jp/box/it/index.html