Carole Lombard: The Glamour Collection
キャロル・ロンバードといえば、ホークスの「特急二十世紀」(1934)とかルビッチの「生きるべきか死ぬべきか」(1942)に主演している女優さんぐらいのイメージしかないし、そうした映画を見る際にも、彼女の映画を見るというより、ホークスやルビッチの映画を見るという気持ちのほうが強い。
ほかにもヒッチコックの「スミス夫妻」(1940) やグレゴリー・ラ・カーバの「襤褸と宝石」(1936, My Man Godfrey)
を見たことがありますが、さほど印象に残っていない。スクリューボールコメディの傑作と言われている後者は、ひどい画質の字幕なし輸入VHS
しか見ていないからかもしれないけど。現在は、カラー化されたものと白黒版が一緒になった画質の良いDVDが出ているようだから、そのうち見てみたい。
私の大学時代に「面影」(1976、Gable and
Lombard)という映画が公開されました。当時はまったく興味なかったので見ていませんが、原題から察するにクラーク・ゲイブルとの恋愛を描いたもので、実際二人は1939年に結婚します。しかし、ロンバードは、1942年、戦時国債公募運動のために飛行機でアメリカを回っていたときに墜落事故のために33歳で死亡しました。
彼女はクールビューティーだけどコメディのセンスがあるという魅力的な女性で、日本でも人気が高かったのか、1939年からの数本を除いて、ほとんど日本公開されていたらしい。というのも、キネ旬の人名事典には30本ほどの邦題が並んでいるから。
10日ほど前に "Carole Lombard: The Glamour Collection" という2枚組で6本入りのDVDが届きました。"Man
of the World" (1931, 街の紳士)、"We're Not Dressing" (1934, 恋と胃袋)、"Hands
Across The Table" (1935, 春を手さぐる)、"Love Before Breakfast"
(1935, 処女散歩)、"The Princess Comes Across" (1935, 姫君海を渡る)、"True
Confession" (1937, 真実の告白) の6本が収録されています。
「春を手さぐる」の、なんとか玉の輿に乗ろうとするマニュキアリストがとても似合っていました。「新婚道中記」や「ヒズ・ガール・フライデー」でもフラれてしまう可哀そうなラルフ・ベラミーは、車いす生活の元パイロットで、ここでは紳士的な好感のもてる人物を演じていますが、やはり、いつもどおりの結果に終わってしまいます。彼女をゲットするのは、のん気だけど頼りがいのあるフレッド・マクマレーで、名前に三世が付いているので金持ちの息子だと推測したロンバートがアタックするのだけど、実は父親が破産したばかりだし、本人はボンボン育ちなので働く気が全然ない。マクマレーは、少し前に購入したクローデット・コルベールのボックスセットの中でも何本か相手役を務めていましたが、ユーモラスで包容力のある男性を自然に演じていて感心します。
「姫君海を渡る」は、題名から、お転婆王女の道中記だと思っていたのですが、ミステリー風コメディでした。スウェーデンの王女がハリウッド映画に出演するというので大西洋を渡る豪華客船は大騒ぎだけど、本当は王女じゃなくて、売れない女優が成りすましているだけ。ロンバード演じるガルボっぽい王女が笑わせてくれるし、例によってマクマレーがしっかりと相手役を務めています。が、船に乗り込んだ殺人鬼は誰かというミステリーの部分に重心が移り始めると、お定まりのパターンになって、興味を失ってしまう。売れない女優が王女を演じているシチュエーションをもっと生かしてほしかった。
ロンバード作品はほとんど日本公開されていると書いたけれど、彼女の傑作の一本 "Nothing Sacred" (1937)
は日本劇場未公開で、テレビ放映時の「無責任時代」という邦題しかないらしい(植木等じゃあるまいし)。(シネシャモ日記2010年1月31日から転載)