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映画天国

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Icons of Screwball Comedy



Icons of Screwball Comedy, Vol. 1 (Sony 2009)

今日は、この前届いたDVD "Icons of Screwball Comedy" について書こうと思ったんだけど、前置きが長くなって、残り時間が少なくなりました。各DVDに2作品ずつ入った2枚組が2セット出ているので、計8作品。で、Vol.1 の最初のDVDに入っているのがジーン・アーサー主演の二作品。ジーン・アーサーって、キャプラ作品でゲイリー・クーパーやジェームズ・スチュアートの相手役ってイメージしかなかったのだけど、これらを見て、すてきなコメディエンヌだなあって思いました。"If You Could Only Cook" (1935) と "Too Many Husbands" (1940)で、もしかしたら日本公開されていて邦題もあるかもしれないけど、それは後日調べることにします。後者は、死んだと思っていた夫のフレッド・マクマレーが一年後に帰ってきて、その間、マクマレーの親友メルビン・ダグラスと結婚してしまっていて、てんやわんやというお話。前半は面白いけど、後半だれます。お金持ちたちが好きにやってらあって感じ。当初混乱していたジーン・アーサーは自分のために二人の男が争うのに興奮します。女性ってそういうもの?もっと面白くて好きになったのが、"If You Could Only Cook"。著名な自動車デザイナーのハーバート・マーシャルが会議で争って、むしゃくしゃして公園のベンチに座っていると、となりで仕事探しのために新聞を見ていたジーン・アーサーに仲間と間違われて、夫婦のふりをして執事と料理人として雇われるというお話。雇った側がギャングの親分で、その手下がライオネル・スタンダー。例の顔と声で強烈なアクセントをつけてくれています。で、この悪漢たちが気のいい連中だというのはよくあるパターンですが、やっぱり見てて面白いし、ジーン・アーサーとハーバート・マーシャルも安定した演技なので、心地よく見ることができます。監督はウィリアム・サイターなんですが、コロンビアは外国に売り込むときにキャプラ作品としたために、キャプラが怒ったんだけど、そのおかげでジーン・アーサーを知ることになり、「オペラハット」「我が家の楽園」「スミス都に行く」に彼女が出る結果となったのでした。(シネシャモ日記2009年8月27日)

DVD2枚組 "Icons of Screwball Comedy, Vol. 1" の1枚目にはジーン・アーサー主演作が2本収められていましたが、2枚目にはロザリンド・ラッセル主演の "My Sister Eileen" (1942) と "She Wouldn't Say Yes" (1945) が収められています。どちらも監督はアレクサンダー・ホールという人で、コロンビア製作配給。

1940年の「ヒズ・ガール・フライデー」が決定的だったのか、美人だけど、大柄で男まさりで、色気をあまり感じない。スクリューボールコメディは、ドタバタしたロマンティックコメディだと私は思っているのだけど、「マイ・シスター・アイリーン」は、「ヒズ・ガール・フライデー」同様、ロマンティック度の低い、ほぼ完全なドタバタコメディ。オハイオからニューヨークに物書きと女優を各々目指してやってきた姉妹が、グリニッジビレッジの変な地下室に住む羽目になり、そこに界隈の変な人物たちが入れ替わり立ち替わり乱入してくるというお話。少し高い所にある窓のすぐ外は街路で、猫や散水車の水が入ってきたり、酔っ払い中年二人がのぞき込んで、寝ようとしている姉妹をからかったりする。一応鉄格子はあるけど、実に過ごしにくい部屋。グリニッジビレッジという土地柄とエピソード集なのが現代的だけど、部屋がいかにもセットだし、この部屋だけで成り立つ作品なので、もともと舞台劇だろうと思っていたら、やっぱり、ニューヨーカー誌のエッセイを元にした舞台劇でした。シュールな域にまでは達していないけど、相当楽しめるドタバタ映画です。

"She Wouldn't Say Yes" は、ラッセルが精神分析医で、自分の感情をコントロールすることを重視しています。彼女の相手は人気のある四コマ漫画家で、漫画のニキシーというイタズラ天使が耳元で口笛を吹くと人間の抑圧が解ける。たとえば、中年男性がメリーゴーラウンドに乗りたくてしょうがないんだけど、大人だから我慢していたら、ニキシーがやってきて口笛を吹くので、男性はメリーゴーラウンドにのってご満悦。だから、当然、漫画家がお堅いラッセルを柔らかくして結ばれるという展開になります。ただ、ラッセルは最初から堅物には見えないし、恋愛が先行しても特に色っぽくなるわけではないので、女性が次第に変化していく様子は楽しめない。一番いけないのは、相手役の男性がリー・ボウマンという全然知らない俳優で、魅力も感じないこと。ケイリー・グラントならもっと面白くなっただろうに。(2009年8月30日)
Icons of Screwball Comedy, Vol. 2 (Sony 2009)

で、今日は2枚組 Icons of Screwball Comedy, Vol. 2 の1枚目のDVDに入っているアイリーン・ダンの二本について。原題は "Theodra Goes Wild" と "Together Again"。1936年と1944年の作品。各々「花嫁凱旋」と「再会」という邦題があるので、ちゃんと日本で劇場公開されたのでしょう。なんと、「花嫁凱旋」は、アイリーン・ダンとケイリー・グラントによるスクリューボール・コメディの大傑作「新婚道中記 The Awful Truth」の一年前の作品じゃありませんか。アイリーン・ダンはもう十分に面白いじゃありませんか。田舎の読書クラブのおばさんたちは、今から考えるとどおってことない性描写が含まれたベストセラー小説におかんむり。ところがそれを書いたのが読書クラブに所属しているアイリーン・ダンで、品良くごまかしているが、そのうち我慢しきれなくなり、自分の正体を明かし、田舎町で派手派手に凱旋パレードをするというようなお話。アイリーン・ダンって、顔が少々長いからか高畑淳子に似ていると思ったし、表面的には上品ぶっているのに、内面では男を求めているって感じも似ている。酔っぱらって羽目を外してしまうシーンがあるけど、それも似ている気がする。相手役はメルビン・ダグラス。私は年取ってからの生真面目な役柄しか印象になかったから、アイリーン・ダンやジーン・アーサーやガルボの相手役として軽妙洒脱な都会派のプレイボーイ役を演じているのを見ると、なんか変な感じ。監督はリチャード・ボレスラフスキーというポーランド出身の人。撮影のジョセフ・ウォーカーや音楽監督のモリス・ストロフは、この前見たジーン・アーサーやロザリンド・ラッセルの作品でもそうだったので、この頃のコロンビアのこの手の作品ではおなじみの人たちのようだし、たぶんほかのスタッフも同じ人たちなんだろうから、ある程度の面白さは保証されているようなもの。

アイリーン・ダンとシャルル・ボワイエは以前にも「邂逅 Love Affair」(RKO, 1939) や「明日来りなば When Tomorrow Comes」(ユニバーサル、1939)で共演しているので、まさに「再会 Together Again」。ただ、シャルル・ボワイエはこの手のコメディには重すぎる気がする。全体的に「花嫁凱旋」や「新婚道中記」よりもおとなしめのコメディで、アイリーン・ダンも、少々おばさんになって、上品な美しさが出てきました。夫の市長が数年前に亡くなったので自ら市長になった未亡人を演じているのだけど、やっぱり内面では男を求めているという、彼女にとってうってつけの役柄。夫の銅像が公園に建てられていて、その銅像に雷が落ちて、首が落ちるのが傑作。そこで、アイリーン・ダンがニューヨークに出向いて、彫刻家のシャルル・ボワイエに銅像を作りなおしてくれるよう依頼しに行きます。ボワイエが彼女を食事に連れて行ったクラブでは違法なヌードショーをやっていて、彼女の上着が汚れたのでレディーズルームで上着を脱いで黒人女性の従業員に汚れを落としてもらっているときに警察が乗り込んできて、ヌードダンサーだと間違われた彼女が連行されていくのが傑作。これも撮影がジョセフ・ウォーカーで、音楽監督がモリス・ストロフ(作曲は別の人)。プロデューサーと脚本家のバージニア・バン・アップ Virginia Van Upp は、ロザリンド・ラッセルの "She Wouldn't Say Yes" でもプロデューサーと脚本家だったので、どういう人なんだろうと調べたら、コロンビアの大将ハリー・コーンの息子と結婚したのでプロデューサーの地位を得たみたいなことがIMDbに書いてありました。「ギルダ」もプロデュースしたのか。(シネシャモ日記2009年9月1日)

"Icons of Screwball Comedy, Vol. 2" の二枚目にはロレッタ・ヤング Loretta Young の主演作が二本収録されています。"The Doctor Takes a Wife" (1940) と "A Night to Remember" (1943) で、どちらもコロンビア作品。後者は、タイタニックを扱った同じ原題の1958年の映画があるけど(邦題「SOSタイタニック」)、全然違う映画。ロレッタ・ヤングは、1947年の「ミネソタの娘 The Farmer's Daughter」でアカデミー主演女優賞を獲得している女優さんで、目と口が大きくて私の好みじゃないし、相手役も各々レイ・ミランドとブライアン・アハーンで地味。

"The Doctor Takes a Wife" は、独身女性の勧めというようなベストセラーを書いたロレッタが医学部講師のレイと結婚したと誤解される。ロレッタはその誤解を利用して今度は結婚生活を描いたベストセラーを出すことに決め、レイは結婚のおかげで教授に昇格する。そのため、二人はロレッタのアパートに同居して疑似夫婦を演じるが、そこにレイの父親やら婚約者やら教授連中やらが訪れてきて、てんやわんや。医学部の先生の役はもともとケイリー・グラントのために書かれたらしいが、同じ年の「ヒズ・ガール・フライデー」のせいかどうか、レイ・ミランドが演じることになったらしい。ケイリー・グラントとロザリンド・ラッセルだったら、とても面白かったに違いない。監督はアレクサンダー・ホールで、この "Icons of Screwball Comedy" シリーズでは、ロザリンド・ラッセル主演の "My Sister Eileen" と "She Wouldn't Say Yes" も監督しています。ほとんどコメディばかり作っている人のようで、一番有名なのは「幽霊紐育を歩く Here Comes Mr. Jordan」(1941)。

""A Night to Remember" was a film to forget" (「忘れえぬ夜」は忘れるべき映画)って The Columbia Story の最初に書いてありました。若夫婦がグリニッジビレッジのアパートの地下に引っ越すのだけど(前年の "My Sister Eileen" と同じような設定)、なんか怪しげなアパートで、殺人事件に巻き込まれます。誰が犯人かを当てるミステリーは、日本語字幕があってもよくわからない私なので、その部分はどうでもよいけれど、コメディとしてまあまあ楽しめました。撮影はジョセフ・ウォーカーで、この Icons of Screwball Comedy のほとんどを担当しているし、「幽霊紐育を歩く」と「ヒズ・ガール・フライデー」もそうだし、「或る夜の出来事」「オペラハット」「スミス都へ行く」などのキャプラ作品もそう。この手のコロンビア作品をすべて担当していたのかな。

というわけで、Icons of Screwball Comedy は大満足のDVDなのでした。(シネシャモ日記2009年9月6日)

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