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クレージーキャッツ 日本一ボックス (東宝2006)

数年ほど前に発売されて以来ずっと欲しかった植木等の日本一シリーズ初期作品集をやっと購入しました。外箱には「クレージーキャッツ日本一ボックス」と記載されていますが、植木等の日本一ボックスとして欲しかった。1963年から1966年までの「日本一の色男」「日本一のホラ吹き男」「日本一のゴマスリ男」「日本一のゴリガン男」が収録されています。これ以降も何本か作られるのですが、アラフォー植木等が年を食ったり、時代が変わったりしたためか、あまり面白くないので、私にはこの四本で十分。と言いたいとこですが、これ以前の「ニッポン無責任時代」と「ニッポン無責任野郎」も欲しくなった。

1980年前後、大学生活の後半から、卒業したけど就職せずに夜間バイトしながら昼間映画を見ていた不安で胸一杯の時期に、よく浅草の東宝で植木等のオールナイトを見ました。と記憶していたのですが、私のウェブサイトのオールナイト記録によると、テアトル池袋や池袋文芸坐でも植木等のオールナイトを見ているし、浅草では記憶しているほどは見ていない。

私の年間トップテン」によると、「日本一のゴマスリ男」が1979年の邦画3位、「ニッポン無責任野郎」が1980年の7位、「日本一の色男」が1983年の8位になっています。クレージーキャッツ全体のは、谷啓主演が多かった気がするし、植木単独主演作ほどは面白く感じたことはなかったです。

今回、まだ「日本一の色男」と「日本一のホラ吹き男」しか見ていませんが、後者の最初、オリンピック候補選手たちが真剣に練習している競技場に、呑気に踊って歌いながら登場する植木等に爆笑せずにいられよか。「日本一の色男」は、とても気安く女性と知り合いになれる植木がうらやましい。ただ、主人公は女好きじゃなく、化粧品のセールスのために女性に接近しているだけで、意中の人は別にいるという設定なので、プレイボーイと言われる人たちほど不快感を与えない。草笛光子の芸者なんか、かなり色っぽくアタックしてきて、私なんかイチコロだけど、植木はまったくへっちゃらで、たんに化粧品を売ることしか考えていない。丸顔の可愛い団令子が女性陣の中では主演級で、その後の作品で植木の相手役となる浜美枝は植木が接近する数名の女性のうちの一人でしかない。団令子は、引退してから苦労して、数年前に亡くなっちゃったなあ、と思いながら見てました。植木の会社の同僚として久里千春(久住小春じゃないよ)が脇役で出ていて、この人のしゃべり方は歯切れがよくて明るくて、とても気持ちがいい。最近のインタビューを見つけました

「日本一のホラ吹き男」には監督古澤憲吾に関する短いドキュメンタリーが付いていて、彼が戦時中に海軍の航空隊にいて特攻隊志願だったから、植木の映画は特攻精神による映画だとか解説していました。そうか、日本一シリーズは呑気で気楽な男の話ではなく、戦争の代わりに高度成長期の企業に自分を捧げて特攻していく男を描いているのか。植木さん自身も真面目な方で、二日ほど前に「徹子の部屋」の回顧特集で、「スーダラ節」なんか歌えるかと最初は思ったと語っている昔の植木さんが出てました。

化粧品会社、家電会社ときて、いよいよ「日本一のゴマスリ男」(1965)では自動車販売会社。今も同じ場所と建物で営業を続けているヤナセを借りて撮影しています(そのヤナセが当時も今もほとんど変わっていないことを解説しているオマケ付き)。ゴマをすり続けてスイスイと出世していく男を演じていて、部長に気に入られると課長をほったらかしにし、社長に気に入られると部長をほったらかしにする調子よさが痛快。自動車セールスウーマンを演じる浜美枝が抜群に素敵。中尾ミエと藤田まことが助演していたり、加藤茶がチョイ役で出ていたり、初代水戸黄門様などの重役陣も厚みがあって、配役が豊か。

「日本一のゴリガン男」(1966)の浜美枝は髪型が野暮ったくて「ゴマスリ男」ほどはイカサない。これまでのシリーズで植木の直属の上司を演じて、植木の調子よさを見て「バカ」とつぶやく人見明が、ここでは植木と「シビレ節」などを歌って踊るのが愉快。最近の彼のインタビューがオマケに付いていて、「一緒に歌わせてもらったのがうれしかった」と本当にうれしそうに語っています。ほかにも古澤監督や由利徹のことなどを語っている、この15分ほどのインタビューはうれしい。今回の舞台は総合商社。この総合商社は、社長(おなじみ進藤英太郎)が国会議員でもあり、さらに不況のためリストラ中だという設定は、最近でも通用しそう。ただ、そのせいもあってか、話が少々複雑になって、植木はこれまでほどスイスイといかなくなり、映画自体も痛快さが薄れているような気がします。(シネシャモ日記2010年2月6日と7日を転載)
Nikkatsu Noir (Criterion Eclipse Series 17)
日活のアクション映画5本。詳細はこちらで

乳母車 (日活2006)

以下は、終りのほうの一部について書いているので、これから映画を見ようとしている人は読まないでください。

「生みの親がその子を育てないで、この世のどこに真実があるの?」

宇野重吉の愛人、新珠三千代が弟の石原裕次郎にこう言って、宇野との間にできた赤ちゃんを働きながら自分が育てることを決意する。宇野の妻、山根寿子も、宇野から離れ、バーのホステスとして自立することを決意する。宇野は、何か煮え切らないことをモゾモゾ言うだけなので、娘の芦川いづみは父親のそばにいてあげようと決意する。

以上は、石原と芦川が召集した会議の結果。夫婦と愛人を一堂に会させるなんて、なんて大胆な!会議の前の階段のショットが秀抜。宇野が階段の中ほどまで上がると、先に来ていた山根と芦川が二階から見下ろし、新珠と石原が一階から見上げ、この二組の視線の間で宇野は身動きできなくなる。

石原と芦川は、赤ちゃんが可愛くてしょうがないので、会議を開いたわけだが、二人は当初、芦川の両親が赤ちゃんを引き取るのが経済的に最良の策だと考えていたのだ。これはひどい!親の愛をまだよくわかっていない大学生の考え方か。自分で育てることを決意した新珠は上述の言葉を弟の石原に言うわけだが、石原が素直に賛成したところから見ると、彼らもやはり本当はそれが一番良いことと思っていたのかもしれない。(2006年7月16日のシネシャモ日記から転記)

Late Spring (Criterion 2006)

80年代の前半、「大学は出たけれど」と私が悩んでいた頃、小津安二郎が大好きでした。「晩春」を最初に見たのは東京の国立(くにたち)公民館で1981年2月のことです。同じ年の3月に銀座の並木座で見て、1984年3月に下高井戸に2回見に行っています。だから、今回見るのは22年ぶり。

少し前に、小津のシンポジウムで吉田喜重氏が「晩春」の父娘には近親相姦の匂いがすると発言したとかいう新聞記事を読んだことがあって、そのときは「賢い人はいろいろこじつけたがるんだなあ」と思いましたが、久しぶりに見ると確かにその気配が感じられます。たぶん吉田氏は深い分析をされていると思うのですが、私は単純に原節子がミスキャストじゃないのかと考えます。叔父さんや父親が再婚するのを汚らしいと思ったり、小学生と無邪気に遊ぶには、原節子は色気がありすぎるし、大人すぎる。「秋日和」の司葉子や「秋刀魚の味」の岩下志麻なら納得する。

原節子の友人を演じる月丘夢路の美しさにうっとりします。小津の映画では、「彼岸花」の山本富士子や「秋日和」の岡田茉莉子など、主役の女性より、友人のほうが生き生きと描かれていることがあります。まったく記憶がなかったんだけど、月丘夢路が笠智衆のおでこにキスしちゃうのにはドキッとしました。

杉村春子がお寺か神社の境内で財布を拾うシーンは、いつ見ても大爆笑です。忍者ハットリくんのような顔をした高橋豊子、善人役でも何かたくらんでそうな三島雅夫、チョイ役でお気の毒な桂木洋子や坪内美子なども登場します。

笠智衆が原節子に対して結婚について語っている内容は直接すぎるような気がするし、結婚式の夜、果物をむく笠の目に涙が浮かぶのも演出過剰に思えます。結婚式の夜、酔っ払って帰ってくる笠を見せるだけの「秋刀魚の味」のほうがより自然に父親の悲哀が伝わってきます。

もう一枚はヴィム・ヴェンダースの「東京画」で、80年代の終りに有楽シネマで見たけど、面白かった記憶がないので、あまり期待していませんでした。期待しなかった分だけ面白かったです。小津に関する映画としてみると肩透かしを食らうけど、ろうで食品サンプルを作る様子やパチンコ屋を物珍しそうに眺める外国人のドキュメンタリーとして見れば面白いです。いつものように、乗り物から撮影した風景が快感です。(2006年5月18日にシネシャモ日記に書き込んだものを転記しました。)

風船
洲崎パラダイス・赤信号 (日活2006)


芦川いづみ目当てに川島雄三監督の2作品のDVDを購入しました。いずれも1956年に封切られた作品です。作品の出来としては「洲崎パラダイス・赤信号」のほうが良いと思いますが、芦川いづみファンとしては「風船」のほうがはるかにうれしいです。

「洲崎パラダイス・赤信号」は、まず、三橋達也と新珠三千代の流れ者カップルが勝鬨橋からバスで洲崎に行くまでの風景が良くて、ぐっと私のハートをつかみました。その後も、チンドン屋、大衆演劇、子供たちのチャンバラなど、昭和の風情が感じられるだけで満足しそうです。二人は「洲崎パラダイス」という赤線地域にたどりつくわけですが、実は、溝口健二の「赤線地帯」のように赤線自体を舞台にしているのではなく、赤線地域の玄関口にある小さな飲み屋が主な舞台なのです。

話の構成が面白いです。飲み屋で働き始めた新珠三千代が客の愛人になってしまい、どこかのアパートに引っ越してしまうので、三橋達也が空腹でフラフラしながら神田のラジオ街を捜し歩く。それが終りのほうで逆転しまい、女が男を捜し歩く。最後は、二人とは直接関係ない意外なエピソードで終わる。

飲み屋の女将を轟夕起子が、客を河津清三郎が演じています。芦川いづみは、三橋達也が出前持ちとして働き始める蕎麦屋の店員です。三橋達也に好意を持っている気配が感じられる程度で、中心の話にあまり関わってこないのが残念。ただ、飲み屋で轟夕起子と会話するあたり、後年の「陽のあたる坂道」や「あいつと私」を思い起こさせ、舞台が赤線地帯であれ高級住宅地であれ、演技の質が変わらないのが面白いです。

「風船」は、カメラ会社の社長の森雅之、その息子の三橋達也、その愛人の新珠三千代、ナイトクラブ経営者の二本柳寛、そのナイトクラブで歌う北原三枝が主要人物だけど、彼らが関わるエピソードの描き方が中途半端で、本当の主人公は、芦川いづみ演じる、森雅之の娘で三橋達也の妹なんじゃないかと思ってしまうほどです。彼女の役柄は、小さい頃小児麻痺にかかり、片手が少し不自由になり、頭ものろくなった少女で、片足が不自由だった「陽のあたる坂道」と似ています。「陽のあたる坂道」同様、監督も本人もそういう設定をときどき忘れてしまうらしく、彼女が出てくるほとんどのシーンでそのハンディキャップを感じさせないのがご愛嬌。

北原三枝がナイトクラブでシャンソンを歌うシーンで、彼女がローラースケートをはいて踊りながら歌っているのに仰天します。ただ、見事なフランス語の歌は、あきらかに吹替えです。一方、芦川いづみは、唱歌を歌いながら高級住宅地の坂道を散歩するのですが、これはご本人の歌声だと思います。というのも、松竹歌劇団出身だし、彼女が歌って踊るミュージカル映画もあるらしいから。「裏町のお転婆娘」や「お転婆三人姉妹・踊る太陽」をぜひ見たい。(2006年5月6日にシネシャモ日記に書き込んだものを転記しました。)

進め!ジャガーズ 敵前上陸 (松竹2006)

前田陽一監督、小林信彦脚本、ジャガーズ主演の1968年作品。珍妙。三遊亭円楽が笑えます。曲をしっかり聴かせて欲しかった。(2006年4月、HMVから購入)

西鶴一代女 (日本版DVD)

数奇な運命をたどる女性お春の物語。過去2回見て、非常に悲しい物語だという印象があったので、再見するのがつらかったのですが、意外と前半はコミカルな要素もあって面白かったです。ただ、後半の落ちぶれていく様子があまりにみじめなので、悲しい物語だという印象のみが残ります。

身分が下の男性(三船敏郎らしくない)と密通したために追放されるお春と両親を遠くのほうから撮影しているシーンがあります。お春たちや見送る親戚も大げさに嘆き悲しんだりせずに、淡々と行事が進行していきます。若い頃はこのシーンに何の感情もわかなかったかもしれないけど、今は、出て行く側、送っていく側の心情をあれこれ想像してしまって、切なくなります。

前半の彼女は若くて器量が良いから、逆境になっても、まわりから取り立てられて、その状況下では、わりと良い立場になります。たとえば、追放されてからの落ち着き先で、大名の側室に迎え入れられ、跡継ぎを生みます。その後、遊郭に売られても、太夫というトップクラスの遊女になります。このあたりは痛快なので、彼女を狂言回しにして、まわりの男社会を痛烈に批判する喜劇として一貫させればよかったのにと思ったりもします(シャーリー・マクレーンの「何という行き方!」みたいになるでしょう)。

大名の側室を見つけるのに、通りの腰掛に女性をずらっと座らせて、端から品定めする場面が好きです。大名の注文が細かすぎるので、ホクロがあるとか、足のサイズがダメとかいう理由で、結局全員不合格になるのですが、これをワンショットの移動撮影で一気に見せてくれます。

進藤英太郎の呉服屋の女房、沢村貞子の頭のてっぺんがはげているというエピソードは、よく憶えています。それが何で亭主にばれてしまうのかは忘れてしまっていたのですが、お春が猫に付け毛を取ってこさせるよう仕組んだのでした。たぶん、こういうコミカルなエピソードは井原西鶴の原作にあるんじゃないでしょうか。

宇野重吉の扇子屋の女房になるあたりから悲劇一色になります。日本の母親の代表的存在である田中絹代が寒空の下で泣き崩れるシーンは正視に耐えません。田中絹代が逃げたり、追いかけたりするのを少し離れたところから移動撮影する箇所が二つほどありますが、「雨月物語」で彼女と幼い子供が野武士に襲われるシーンを思い出して、胸が締めつけられます。

彼女は夜鷹として道でのたれ死ぬのだとばかり思っていたら、そのあとにもう一ひねりありました。悲惨な境遇の女性の話というと、韓国映画の「風の丘を越えて−早便制(ソピョンジェ)」という映画があるのですが、あのパンソリを歌う旅芸人が悲惨な境遇を突き抜け、俗世間を超越した存在になって、すがすがしい印象を残してくれたのに対して、お春の場合は、とってつけたような終わり方で、やりきれない気持ちが残ってしまいました。前者の場合、芸の道に生きることに身を捧げたために救われたのでしょう。(シネシャモ日記2006年10月2日)

七人の侍 (Criterion DVD)

昨日は雨で町内会の草刈が中止になったので、自分の仕事を早めに終らせ、夕方から3時間半の「七人の侍」を見ることができました。1982年10月にフジテレビで放映されたものを見て以来です。野武士との戦闘シーンって2時間を過ぎるまで始まらなかったんですね。壮絶な戦闘シーンが印象的だったので、わりと早くから戦い始めているような記憶が残っていました。でも最初の2時間があったから戦闘シーンが生きてくるのだろうし、ヒューマンな作品になったのでしょう。

音声が日本語なので英語字幕を出す必要はないのだけど、左ト全らのセリフが聴きづらい箇所がいくつかあるので、次は英語字幕の助けを借りて鑑賞するつもりです。アメリカの評論家たちの解説を聞きながら見ることもできるようです。

DVDの外箱は紙製で、DVD3枚が収められた内箱と解説書が収められています。解説書は55ページほどで、6人の批評家によるエッセイとアーサー・ペンとシドニー・ルメットによる賛辞が収められています。各々3ページほどです。さらに、1993年に行った三船敏郎と野上照代の対談から三船が「七人の侍」について語っている部分を5ページにまとめたものも収められています。

DVDが収められている内箱は四つ折で、横に広げると、一番左にチャプター番号と見出し、それから黒、白、赤のDVDが並びます。本編は1枚目と2枚目の途中まで収録されているので、オマケも本編と同じ長さぐらい収録されているのでしょう。オマケはまだ見ていませんが、オマケと解説書を読んでもう一度鑑賞するとさらに面白くなるような気がします。

注: リージョン1なので、通常の日本製DVDプレーヤーでは再生できません。 (シネシャモ日記2006年9月11日)

DVDのオマケ

Akira Kurosawa: It Is Wonderful to Create 約1時間
東宝から発売されている日本版DVDには各々の作品に関するドキュメンタリーが収められているらしく、「黒澤明〜創ると云う事は素晴らしい」はそのシリーズ名のようです(他の作品に関するものはもっと短いらしい)。このボックスセットに収められているのは日本版DVD「七人の侍」に収められているのと同じものだと思います。「七人の侍」に関するドキュメンタリー自体のタイトルは「「七人の侍」すべてはシナリオにあった」です。シナリオ、参加した人たちのインタビュー、「七人の侍」からの映像で構成されており、映画の流れどおりに進行するのでわかりやすいです。進行役は油井昌由樹です。宮口精二、土屋嘉男、脚本の橋本忍、照明さん、小道具さんらがインタビューを受けています。みんなとても楽しそうに当時を振り返っており、黒澤明の映画を作ったのではなく、黒澤明と映画を作ったと語っているような印象を受けました。各々が苦労しつつ、みんなが一丸となってできた作品なのでしょう。

My Life in Cinema 約2時間
日本映画監督協会は「我が映画人生」という監督インタビューのシリーズを制作しているらしく、これはそのうちの一つで、1993年に大島渚が黒澤明にインタビューしたものです。見る前は名監督二人の対談だと予想していたのですが、大島渚は聞き役に徹しており、内容は黒澤作品のことのみでした。黒澤邸の居間のような場所で、黒澤明はアロハシャツを着て、くつろいだ様子ですが、大島渚はスーツを着て、緊張しているようです。ほとんど二人だけしか写っていないのですが、黒澤明が語る内容が面白いので、飽きません(とはいえ、2時間ぶっ通しはきつそうなので、30分ずつ区切って見ました)。黒澤明が影響を受けた映画として「ラルー」という作品を挙げていました。初めは何の映画のことがわからず、そのうちアベル・ガンスの映画だということがわかり、さらに鉄道の映画だということがわかって、「鉄路の白薔薇」(La Roue)だと気づきました(大島渚も最初わからなかったらしく、途中で気づいたようです)。それにしても、このビデオ撮影によるインタビューは、どこで発表するために作られたのでしょうか。テレビで放映されたのでしょうか。


"Seven Samurai": Origins and Influences 約1時間
このDVDのために作られたドキュメンタリーです。日本の侍や「七人の侍」に影響を与えた時代劇などについてのドキュメンタリーで、映画からの抜粋や7人ほどの評論家のインタビューで構成されています。日本人は佐藤忠男だけで、他はアメリカ人のようです(ドナルド・リッチーもいます)。佐藤忠男の箇所のみ英語字幕を表示することができて、他の人は字幕がないので、リスニングだけに頼らなければならず、チトきついです。でも、内容が日本のことだし、挿入されている映像などから、何をしゃべっているのか、なんとなくわかります。(シネシャモ日記2006年9月17日)

青い山脈

「青い山脈」のDVDを購入しました。といっても、1949年のキネ旬で、小津の「晩春」に次いで2位になり、黒澤の「野良犬」より上位にある今井正監督、原節子、杉葉子ら主演の名作ではありません。1963年の吉永小百合と浜田光夫の「青い山脈」です。1949年のは前後編あわせて約3時間ですが、こっちは1時間40分ほど。


オマケの予告編からすると、1963年の正月映画らしい。併映は何か。Google で検索して見つけた「日活、映画製作再開以降の年度別お正月映画」によると、1963年正月に上映され、併映は「いつでも夢を」だそうな。えっ!?吉永小百合と浜田光夫コンビの二本立てってありうるのだろうか。吉永小百合は1962年に「キューポラのある街」で好演し、橋幸夫とのデュエット曲「いつでも夢を」のヒットによって暮れの紅白に出演し、飛ぶ鳥を落とす勢いだったにちがいない。

でも、私のお目当ては吉永小百合ではなく、芦川いづみ。1949年のでは原節子が演じた女教師を演じています。クレジットタイトルでは、出演者の一番最初に「吉永小百合、浜田光夫、田代みどり、高橋英樹」と出て、一番最後に「芦川いづみ、南田洋子、二谷英明」と出るので、あきらかに若手スターを前面に出して、彼女はサポートする感じ。でも、話の中心にいるのは芦川と吉永という保守的な学校の雰囲気になじめない先生と生徒で、この清純派の先輩と後輩が主演であることは間違いない。

ただ、芦川いづみは女教師という適役をもらいながら、なんかさえない。もともとおとなしい人なのかもしれないけど、27歳になって若い頃のはつらつさが消えちゃって、本当に地味な人になっちゃったのかなあ。生真面目な役だからかなあ。元気いっぱいの吉永小百合と比較しちゃうからかなあ。他の出演者では、芸者の南田洋子が良い。「パイナップル・プリンセス」田代みどりはまだこのとき14歳だったのか。高橋英樹は、1963年7月公開の「男の紋章」でスターの地位を確立したそうだから、半年前の「青い山脈」のころはまだイメージが定まっていなかったらしい。彼はいつもきちんとした髪型と格好をしている印象があるけど、「青い山脈」では少しぼさっとした髪型で無精ひげを伸ばしているのでワイルドに見えるし、「ガンちゃん」というユーモラスな役柄なので、とても好感が持てます。彼の出演作を調べてみると、1963年から1970年ぐらいまでかなりの数の仁侠映画に主演しており、東映だけじゃなく日活でも数多くの仁侠映画が作られていたことにビックリ。毎年10本ほどの作品に主演しているのも今からは考えられない。

役員会が思ったより長い。ここには高橋英樹以外の若手が出てこずに、昔からの人や助演者たちに活躍の場を与えています。藤村有弘、北林谷栄、三島雅夫、下元勉、左ト全、高橋とよ、近藤宏、井上昭文、中村是好、織田政雄らが演じる教師やPTA役員が、芦川いづみの女教師が正しいか、生徒たちが正しいかを議論するのです。

この前見た「真昼の死闘」もそうだったけど、色がとても鮮やかです。技術には詳しくないのですが、デジタル処理すれば、オリジナル以上に鮮やかになるのでしょうか。ワイドスクリーンは、テレビの向こうにもう一つテレビがあるような感じで、私のテレビの小さい画面では少々見づらいのですが、昔テレビで左右ちょん切られたのを見るよりは良いと思います。というのも、監督(西河克巳)らがていねいに構図を決めているのがよくわかるからです。ただ、引きの構図から寄りの構図に移るときに、カットを割ればスムーズにいくのにと思える箇所で、ズームを使っているのがチョクチョクあるのに違和感を感じました。たぶんこの頃流行だったのでしょうが、ドキュメンタリー風な作品には似合うけど、ていねいに構図を決めている作品だと唐突な感じがします。

1949年の名作は20年ほど前にレンタルビデオを借りて見たきりなので、おぼろげな記憶しかないのですが、1949年のより1963年のほうが古臭く感じます。民主的な考え方を1949年に主張するのは新しかったかもしれないけど、1963年だとちょっと苦しい。生徒がキスしたかどうかでもめるのも、なんだかなあ。何よりも古臭いのが、おなじみの主題曲を歌う神戸(かんべ)一郎の歌い方で、1949年のサントラをそのまま使用しているのかと思ったぐらいです。神戸一郎がこの時何歳かと調べたら、なんと24歳という若さでした。イギリスではビートルズが「プリーズ・プリーズ・ミー」でブレイクしようとしているときに、こんな歌い方でいいのか!(2006年9月6日のシネシャモ日記から転記)

陽のあたる坂道
あいつと私

石原裕次郎主演作というより、芦川いづみ共演作2本。「あいつと私」は、20年以上前にテレビや映画館で見たときより、はるかに色がきれいで感激。

「陽のあたる坂道」も20年ぶりに見ましたが、昔見たときよりも感動しました。昔は芦川いづみしか見てなかった気がするけど、今見ると、石原裕次郎、北原三枝、小高雄二、千田是也、轟夕起子、山根寿子、川地民夫という主要メンバーがみんな素晴らしい。

千田と轟の夫婦と小高、石原、芦川の兄妹が住む豪邸と、大学生北原三枝が一人で暮し、山根・川地親子が二人で暮す安アパートが対比されているんだけど、私は安アパートにしびれました。川地が北原を「おねえちゃん」と呼ぶことのできる暖かい雰囲気の場所です。豪邸でピアノを囲んで歌うよりも、この安アパートで三味線伴奏に歌い踊るほうが断然楽しい。

山根寿子が良い味出してます。裕次郎の生みの親で、息子の川地民夫と二人で暮らしている役なんだけど、まだ37歳ぐらい。川地民夫もいい。これがデビュー作で、ジャズ好きの青年を初々しく演じています。彼が歌うロカビリーなんてヘタッピーでどうしようもないんだけど、それもまたご愛嬌。裕次郎の兄役の小高雄二がひとり損な役回りですが、最後うまく退場するので後味の悪さは感じません。

ま、しかし、なんといっても芦川いづみです。高校生役がピッタリだし、「ジュニアそれいゆ」から抜け出してきたようなお嬢様風ドレスや制服がお似合いです。白黒の映像もいいけど、彼女の服だけカラーにしてほしい。

3時間半の大作を、重くもならず軽くもならず、見事にまとめあげた田坂具隆に感心しました。安アパートの新年会で歌い踊る人々を猫が棚から眺めているところへ裕次郎が廊下から部屋に入ってくるのをとらえたワンショットなんて惚れ惚れします。

PS. 猫の使い方がうまい。佐藤勝の音楽も良い。(2005年10月)
仁義なき戦い The Yakuza PapersHome Vision) リージョン1

「仁義なき戦い」の米版ボックスセットです。全5作なのにDVD6枚組。オマケの1枚にはウィリアム・フリードキン、英語字幕翻訳者などのインタビューが入っているようです。米アマゾンのマーケットプレイスで、信頼できるOverman2000という業者から新品を9千円ぐらいで購入。注文から10日もたたないうちに届きました。

まず薄い金属でできている外箱に参りました。中味を取り出し、観音開きのように開いていくと、DVD6枚が横にずらっと並び、壮観。5作すべてのポスターが掲載された20ページ足らずの解説書のほかに、どの組に誰が所属しているかを1946年から1970年までたどった顔写真つき系図が付いています。

1枚目を少し見てみると、本編の他に全5作の予告編と「現代やくざ」と「仁義の墓場」の予告編が付いていました。言語は日本語のみで(吹替えはないってこと)、英語字幕を表示することができます。英語字幕を消すと、日本で見る日本映画と変わらなくなりますが、残念ながら、通常の日本製プレイヤーでは見ることができません。(以上、ポルカ亭に書き込んだものをまとめました。)
雨月物語 Ugetsu (Criterion)

溝口健二の「雨月物語」です。日本映画なのに、こっちはリージョン1で、日本製プレーヤーでは見ることができません。二枚組で、もう一枚には新藤兼人の「ある映画監督の生涯」が収められています。ブックレットも渋くて、上田秋成の原作の英訳などが収められています。

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