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シネシャモ
Treasures from American Film Archives
2004年5月 第14回上映
Treasures from American Film Archives (「アメリカの映画アーカイブからの宝物」)は
National Film Preservation Foundation (「全米映画保存財団」)が美術館やアーカイブから集めた50本の映像を4枚のDVDに収録したものです。
ドキュメンタリー、ニュース映画、前衛映画、アマチュア作品、ホームムービー、アニメ、産業映画、サイレント映画、劇映画など雑多なものが収納されたオモチャ箱のようなボックスセットです。
DVD1枚につき2時間半ほどで、全体で10時間を超えます。4枚のDVD各々にテーマはないのですが、各々、ほぼ古い作品順に並んでいます。
映像ファンに絶対のオススメ。日本のアマゾンが1万円あまりで販売しています。コードがリージョン1と記載してありますが、オールリージョンで、日本製プレーヤーでも再生できるはずです。(こちらでどうぞ)
150ページほどのブックレットがついており、各作品について詳細に解説しています。
特記以外、サイレントで白黒です。サイレントの場合は、DVD化の際に上品なピアノ伴奏を加えています。どういう曲を演奏しているか、各作品ごとにブックレットで述べています。 |

PROGRAM
1
- The Original
Movie (1922) 8分
トニー・サーグ Tony Sarg が監督した影絵アニメ。ハリウッドの映画制作を茶化したユーモラスな作品。
- Early Films from the Edison
Company
エジソンによるごく初期の作品。
- Blacksmithing Scene (1893)
30秒
鍛冶屋がトンカチやっている姿をとらえたもの。ドキュメンタリーではなく、スタジオで撮影され、エジソンのスタッフが鍛冶屋を演じています。
- The Gay Shoe Clerk (1903) 70秒
母と娘が靴屋にやってくる。娘は、男性店員に靴を履かせてもらっているとき、ドレスのすそを上げて足を見せる。二人はキスをする。それに気づいた母親が店員を傘で殴る。娘がすそを上げるところでクローズアップが挿入され、前後のフルショットとマッチしているという映画話法の発展上注目すべき作品。題名の「ゲイ」は当時「女たらし」という意味で、現在の意味はないのですが、偶然にも、娘を演じているのは男性でした。
- Three American Beauties (1906)
40秒
フィルムに直接色を塗ったカラー作品。赤いバラ、ドレスがオレンジの女性、赤いストライプのアメリカ国旗という3つのショットで構成。各々のショットはディゾルブによって次のショットに移行します。
- Princess Nicotine; or, The Smoke
Fairy (1909) 5分
バイタグラフ社の特撮映画。タバコの妖精がニコチン中毒者にイタズラする。二重露出や一コマごとの撮影など、さまざま技法を使用し、可愛い小さな妖精を実に見事に再現しています。
- The Confederate Ironclad (1912)
16分
1910年代初期には南北戦争を題材にした映画が盛んに作られました。南北戦争(1861-1865)の50周年だからです。たぶん、グリフィスの「国民の創生」は、その集大成だったのでしょう。この作品は、Kalem
という映画会社が制作した1巻物で、Keneal Buel
という人が監督しています。途中、汽車が出てきて、「キートンの大列車追跡」を思い起こさせますが、一番興味深いのは映画のタイトルにある南軍の甲鉄艦船で、鉄の塊のような不気味な船が北軍の小型砲艦とどこかの川で戦っていたなんて、初めて知りました。その戦闘シーンは、実にちゃっちいものですが。
- Hell's Hinges (1916) 64分
ウィリアム・S・ハートという長い顔の西部劇スターの作品を初めて見ました。トーマス・H・インスが制作をしています。若い牧師が妹と一緒に無法の町にやってきて、宣教活動を始めるが、自ら酒におぼれ、自分の教会に火をつけるまでに至る。ハートは無法者の一人だったが、牧師の妹の天使のような微笑に心をゆすぶられて、宗教に目覚め、無法者たちをやっつける。妹がさほどきれいではないので、物語に説得力がありません。リリアン・ギッシュのように可憐であったならと思います。
- The Fall of the House of Usher (1928)
13分
「アッシャー家の崩壊」は、フランスのジャン・エプスタンが同じ1928年に作ったものが有名ですが、このアメリカの前衛映画も素晴らしい作品です。James
Sibley Watson, Jr. と Melville Webber
が作りました。ゆがんだセットが「カリガリ博士」を思わせるし、映像トリックによってシュールな感じも出しています。ポーの原作を知らないと、チンプンカンプンかもしれませんが、ストーリーを知っていれば、いろいろ工夫しているのが分かるし、ときどきハッとするような効果を出しています。字幕なしのサイレント作品で、チープな電子オルガンの伴奏が雰囲気を出しています(もちろん、DVD化の際に加えたもの)。
- Groucho Marx's Home Movies (1933ごろ)
2分
マルクス兄弟のグルーチョ・マルクスの家族を撮影したホームムービー。トレードマークの口ひげがないグルーチョが小学生ぐらいの娘と息子と一緒に出かけるのを奥さんが見送っている。家族の仲が良いことがよく分かる。
- Running Around San Francisco for an
Education (1938) 90秒
教室がサンフランシスコ中に分散しているために女子大生が次の授業を受けに行くのに時間がかかるので、短大を作る計画を支持して欲しいと訴えた政治的な宣伝映画。トーキー。
- Tevye (1939) 17分
イディッシュ語による100分ほどの映画のダイジェスト。19世紀のウクライナが舞台で、ユダヤ人の娘がキリスト教徒と結婚するのを父親に反対される話。トーキー。
- Cologne (1939) 14分
大好きな作品。ミネソタ州の田舎町の風景、行事、人々を16ミリで撮影したアマチュア映画です。1937年から2年間この町で仕事をした医者夫婦が町を離れる際に作ったものらしく、町をいとおしむ感じが出ています。サイレント作品で、奥さんがノートに日記のように手書きしているのを字幕に使用しています。何十年後かに、この夫婦の娘さんが発見し、ミネソタの歴史協会に寄贈したので、このように一般の目に触れることができます。こんな素晴らしいアマチュア映画が世界中にどれだけ眠っていることだろう!
- Private Snafu: "Spies" (1943)
4分
バッグス・バーニーやダフィ・ダックで有名なアニメーション作家、チャック・ジョーンズがアメリカ軍のために作った教訓的アニメ作品。脚本はスース博士。お酒を飲んだ兵卒がスパイのホステスに軍事機密をばらしたために、ヒットラーにやっつけられ、地獄に落ちるという話をスピーディかつコミカルに描いている。白黒トーキー。
- OffOn (1968) 9分
フィルムとビデオを合成した画期的な前衛映画。作者は Scott Bartlett
という人。顔、体、鳥などの映像をさまざまに処理したサイケな作品。カラーで電子音が入っています。
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PROGRAM 2
- Paper Print Copyright Deposits
サイレント初期には、著作権を証明するために、フィルムを巻紙にプリントしたものを当局に提出していたようです。それらはしばらく忘れられていましたが、第二次大戦後に発見され、フィルムに再プリントされました。
- Star Theatre (1901) 80秒
大きな劇場が解体される様子をコマ落として撮影したもの。
- Move On (1903) 75秒
路上で野菜や果物を販売している人たちを撮影。彼らが屋台を動かし始めると、警官がやってきて、そのうちの一人に対して怒り出す。これは偶然か、はたまた演出か。
- Dog Factory (1904) 4分
シュールな作品。預かった犬を箱に入れてハンドルを回すと、腸詰ウィンナーのような細長いものになって出てくる。飼い主が連れ戻しにくると、その細長いのを箱に入れハンドルを回し、もとの犬に戻す。映像トリックを使用せずにワンショットで撮影しているので、もともと寄席で上演されていたものかもしれません。
- The Lonedale Operator (1911) 17分
グリフィスの短編。ブランチ・スイートが駅で事務をしていると、金庫をねらった強盗二人組が事務所に押し入ろうとする。電信でそれを知った恋人の機関士が機関車に乗って救出に向かう。それを交互に見せてサスペンスを盛り上げるのはグリフィスお得意の手法。彼女は、機転を利かせ、レンチをピストルに見せかけ、強盗を寄せつけない。ピストルが実はレンチだということをクローズアップで見せるのが話法の発展上画期的なことだったようです。
- Her Crowning Glory (1911) 14分
アメリカの最初のコメディ映画スター、ジョン・バニー John Bunny の主演作。ジョン・バニーは太った中年男性で、1910年に映画界入りしたときすでに47歳でした。それ以前に20年間舞台に立っていました。死亡する1915年まで約150本の短編に出演しました。フローラ・フィンチ
Flora Finch というやせっぽちの女性がよく相手役を務めており、「バニーフィンチ」シリーズと呼ばれていたそうです。この作品は、8歳の娘を甘やかし放題のやもめのバニーが厳格な家庭教師フィンチを追い払う話です。
- The Toll of the Sea (1922) 54分
1920年代初期にカラー映画があったとは!現像したフィルムに手書きで色を塗ったカラー映画は昔からあったけど、これは最初からカラーで撮影したものです。ただ、二色式とかで、赤と緑だけが強調されています。女性やアジアを蔑視したストーリーがいただけません。中国人女性がアメリカ人男性と恋仲になりますが、男性は仕事の都合上アメリカに帰ってしまいます。女性には男の子が生まれます。女性は男性が中国に戻ってくるのを待ち焦がれていましたが、数年後、男性はアメリカ人女性の妻を連れて戻ってきます。中国人女性は、父親にそっくりな男の子を中国で育てるのはかわいそうだと思ったのか、このアメリカ人夫婦に子供をあげます。という、中国人の女主人公がかわいそうなだけの腹立たしい作品です。
- Accuracy First (1928ごろ) 5分
ウエスタン・ユニオンという電報会社が社員教育用に作った16ミリ映画で、字幕のデザインを含めて、かなりよくできています。キーパンチャーがうっかり打ち間違えたために、株式取引に関する電報の依頼主が大損をするというエピソードを社員に見せて、注意を促す作品です。キーパンチャーが細長い紙に穴を開け、それを送信し、受信側がそれを解読するという電報会社の仕組みが分かって面白いです。
- West Virginia Documentaries
- West Virginia, the State Beautiful (1929) 8分
ウエストバージニア州のあちこちを断片的に撮影したアマチュア作品です。
- One-Room Schoolhouses (1935ごろ) 1分
小学校の様子を撮影したとても短い作品です。
- Early Amateur Sound Film (1936-37) 4分
この頃としては非常に珍しいトーキーのホームムービーです。二人の可愛い娘と犬一匹に囲まれて、父親が幸せそうです。ということは、母親が撮影しているのだろうか。それともカメラを固定しているのかな。いずれにせよ、微笑ましい。
- Composition 1 (Themis) (1940) 4分
カラーが渋い。Dwinell Grant という人の抽象映画。丸と四角と鉛筆ぐらいの太さの線が動く。なんか人間味があるし、けっこう凝ってます。
- The Battle of San Pietro (1945) 33分
ジョン・ヒューストン監督が米軍のために作ったドキュメンタリー。1943年12月、イタリア中央のサンピエトロにおける連合国軍のドイツ軍に対する戦いを描いた作品です。英語のナレーション入り。
- Negro Leagues Baseball (1946) 8分
Reece "Goose" Tatum (1921-1967) という黒人の野球選手がプレーする様子を延々と撮影したもの。やたら手が長い一塁手で、軟体動物のように動きがまったくしまらないけど、ちゃんと捕球する。ボールを返球するふりをして、左肩にボールをのせるといった曲芸のようなこともします。このボックスセットでは、通常サイレント作品にピアノ伴奏をつけていますが、この作品にはジャズのコンボを使用しています。
- Battery Film (1985) 9分
このボックスセットの中で一番新しい作品だと思います。Richard Protovin とFranklin
Backus という人の作品。人気のないニューヨークの冬景色とスケッチ画のようなアニメを交互に見せる実験的作品です。中国系アメリカ人バイオリン奏者の
Jason Kao Hwang という人の音楽も含めて、全体的に淋しく悲しい雰囲気が漂っています。
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PROGRAM 3
- The Thieving Hand (1908) 5分
バイタグラフ社制作の愉快な短編。街頭で物乞いをしている片腕の男が通りがかりの男性に親切なことをしたので、その男性が「手足販売店」で腕を買ってくれる。ところが、その腕はもともとスリの腕だったので、自分の意に反して人々の持ち物を盗んでしまう。彼は刑務所に入れられるが、同じ部屋にそのスリがいたので、腕が勝手に動いて、元の持ち主の肩にスッポリはまる。一コマごとの撮影や透明ワイヤを使った特殊撮影もので、グロテスクかつシュール。腕が意に反した動きをするのは、キューブリックの「博士の異常な愛情」を思い起こさせます。
- White Fawn's Devotion (1910) 11分
当時世界最大の制作会社だったフランスのパテ社が初めてアメリカで作った作品。アメリカ先住民が監督した作品としては、残存する映画の中で一番古いものだろうということです。白人の夫が遠征するのを嘆いたインディアンの妻が自殺する。幼い娘は、父親がナイフを拾うのを見て、父親が母親を殺したと誤解し、インディアンの祖父に報告する。インディアンたちが彼を捕まえて処刑しようとしたとき、実はまだ死んでいなかった妻がやってきて、誤解が解け、めでたし、めでたし。というバカバカしい話ですが、インディアンたちが白人の夫を追跡するシーンは、けっこう上手にできています。
- The Chechahcos (1924) 86分
アラスカを舞台にした長編映画。メロドラマやアクションなど、いろんな要素が交じり合った上出来の娯楽作品です。題名はイヌイット語で「土地に不慣れな者」という意味で、「チーチャウコズ」と発音するようです。1890年代後期のアラスカのゴールドラッシュを背景にしています。同じ背景の「チャップリンの黄金狂時代」は1年後の作品で、この映画に影響を受けた可能性もあるようです。とにかく、雪景色、氷山、急流といった資源の景色が素晴らしい。犬を10匹ぐらいつなげた犬ぞりを効果的に使ってます。主人公の男二人の友情も微笑ましいです。
- Japanese American Communities (1927-32) 7分
第二次世界大戦前の日系アメリカ人社会を撮影したアマチュア映画。恥ずかしげにチャールストンを踊る少女たち、野球をする若者たち、仏教の集会にやってきた人々、その集会のためにお弁当を作っている主婦たち、たぶん撮影者の息子たちであろう幼い兄弟などが写っています。この10年後に、この人たちは日系人強制収容所に入れられるのだろうか。
- Rare Aviation Films
- The Keystone "Patrician" (1928) 6分
20人乗りの飛行機の安全性を宣伝する映画を2本つなげています。リンドバーグが大西洋を渡った翌年で、飛行機に乗るということが一般の人々に浸透していなかったようです。1本目は男性が乗り込んでいましたが、2本目は33名の若い女性が乗ります。その33名が搭乗前に、飛行機の前で一列に並び、みんなで足を45度ぐらい上げて、よろよろしながら美脚を見せてくれるのが微笑ましい。昔も今も、宣伝には若い女性がつきもの。
- The Zeppelin "Hindenburg" (1936) 7分
1937年に爆発事故を起こした飛行船ヒンデンブルグ号をその前年に撮影した貴重な映像。アマチュアが撮影しているのに、最初に少しカラー映像が出てきてビックリ。撮影者は休暇中のアメリカ人家族で、ヒンデンブルグ号に乗ってドイツのフランクフルトからアメリカのニュージャージー州に帰るようです。格納庫に掲げられたナチの大きな旗、室内の優雅な感じ、眼下の海、着陸地の様子などが写っています。
- We Work Again (1937) 15分
パテニュースがアメリカ政府のために制作した黒人の再雇用に関する不況時代のドキュメンタリー映画です。失業率が高く各地で暴動を起こしていた黒人に対し、いろんな雇用機会があることを教えて、希望を与えようとするものです。最後の4分間は若き日のオーソン・ウェルズが舞台演出した黒人版「マクベス」を撮影したもので、非常に貴重です。ナレーションと音楽入り。
- La Valse (1951) 6分
ジョージ・バランシンという有名な振付師によるバレエを撮影した16ミリ。ダンサーはタナキル・ル・クラーク
Tanaquil Le Clercq という女性と Nicholas Magallanes という男性。ラベルの「優雅で感傷的なワルツ」に合わせて踊っていますが、もともとサイレントで撮影されたものです。1994年からニューヨーク公立図書館がサイレントのダンス映画にピアノ伴奏を付け始めるプロジェクトを開始し、この作品にもピアノ伴奏が付けられています。
- The Wall (1962) 10分
ベルリンの壁に関するドキュメンタリー。米国広報・文化交流局(U.S. Information
Agency) が制作しましたが、市民に対する連邦政府のプロパガンダを禁止する法律によって同局の映画は1990年まで一般公開できなかったそうです。東側の人たちが建物の窓から西に逃亡する様子、東西に分かれた家族が鏡や照明器具の光で合図しあう様子、家を取り壊して鉄条網を設置する様子、犠牲者をみんなが追悼する様子など、保存してあったフィルムをうまく編集した、緊張感のある作品です。ナレーション入り。
- George Dumpson's Place (1965) 8分
Ed Emshwiller という多彩な芸術家の作品。いろんなガラクタを拾ってくる貧しい黒人の雑役夫 George Dumpson の家を撮影したもの。「彼は芸術家だと思う。私の定義では、芸術家は世界を再構成し、自分の内面に似た世界を作る人だからだ。」バックの音楽は、Stuart Scharf(ギター)、Jay Berliner(ギター), Bill Lee(ダブルベース)が演奏するジャズ。
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PROGRAM 4
- Peepshow Kinetoscopes from 1894
エジソンは、当初、映画をスクリーンに上映するのではなく、個々がコインを入れて映画をのぞくという機械(キネトスコープ)で金もうけをたくらみました。以下は、そのキネトスコープ用の非常に短い作品です。
- Luis Martinetti, Contortionist 30秒
曲芸師が吊り輪を利用して体を自由にくねらせています。「燃焼系アミノ式」のCMで使用するには、ちょっとグロテスクすぎ。
- Caicedo, King of the Clack Wire 25秒
こっちは、綱渡り師がロープの上でジャンプしています。これならCMに使えそう。
- Interior New York Subway (1905) 5分
ニューヨークの地下鉄が開通してから半年後ぐらいに撮影したものです。動いている電車の先頭から前方をワンショットで撮影しています。たぶん記録として撮影したんだろうけど、偶然にも光と影による抽象映画になっており、ミニマルなビデオアートを見ているようです。これを撮影したGWビッツァーは後年グリフィスのカメラマンとして有名になります。
- The Land Beyond the Sunset (1912) 14分
非常に貧しい少年が慈善団体主催のピクニックに参加し、一人ボートに乗って夕陽に向かって船を漕ぎ出します。遠くのほうでボートが水面を漂うラストの詩的な映像は少年の自殺を予感させます。都会での社会派ドラマ、田舎でのおとぎ話、最後の詩的映像と、1巻の短編のわりに豊かな内容です。
- I'm Insured (1916) 3分
ハリー・S・パーマーというアニメ作家の作品です。ペンを持った自身の手が背景の建物を描いています。コマ落しで撮影されているので、あっという間に完成します。そこからアニメが始まります。保険に入った男が死のうと試みるがうまくいかないというおなじみの話ですが、線画による手作りの味わいがたまりません。
- Snow White (1916) 63分
実写版「白雪姫」です。パラマウント社の前身のフェイマス・プレーヤー社制作です。ウォルト・ディズニーが1937年にアニメの「白雪姫」を作るきっかけとなったは、15歳のときにこの作品を見たからだそうです。主演のマーゲリット・クラーク
Marguerite Clark は忘れ去られている女優さんですが、当時はメアリー・ピックフォードをしのぐ人気があったそうです。147センチと小柄で、すでに30歳を超えていたけど、半分の年齢の少女を活発に可愛らしく演じています。
- Beautiful Japan (1918) 15分
大正時代の日本で撮影した2時間の記録映画から抜粋したものです。Benjamin Brodsky
という人が世界を回って映画を撮影し、それを利用してアメリカで講演会を開いていたようです。横浜での大きな船の進水式、アイヌの儀式、洪水後の街の様子、ユーモラスな日本舞踊を可愛らしく踊る少女、芸者たちの踊りと演奏などを紹介しています。
- Rural Life in Maine (1930ごろ) 12分
家族が農作業をしている様子をメイン州に住むアマチュアの女性が撮影したものです。
- The News Parade of 1934 10分
映画館で長編映画の前に上映されるニュースです。1934年の重要な出来事をまとめています。ヨーロッパでの暗殺事件、インドと日本の自然災害、豪華客船の火災、リンドバーグの子供の誘拐事件、デリンジャーの射殺、アメリカのストライキなどが登場し、最後は、ダム建設など、ルーズベルト大統領のニューディール政策に関する映像によって愛国心を盛り上げています。
- Rose Hobart (1936) 19分
Joseph Cornell という芸術家のコラージュ作品。「ボルネオの東」というユニバーサル社の冒険映画を勝手に編集して、ストーリーのないシュールでエロチックな前衛映画を作り上げています。題名のローズ・ホバートは「ボルネオの東」に主演している女優の名前で、彼女が写ったショットばかりをつなげているので、きっと彼女に対するオマージュなんでしょう。「ボルネオの東」はトーキー映画ですが、それからの音声や音楽は使用せずに、レコード屋の売れ残りコーナーで見つけた Nestor Amaral のサンバ音楽を使用しています。
- The Autobiography of a Jeep (1943) 10分
第二次世界大戦中にアメリカ政府が制作したジープ紹介作品。「ジープの自叙伝」というタイトルどおり、ナレーションはジープの一人称です。自分の生い立ち、高級車に対するコンプレックス、水中やデコボコ道での苦労、陸軍で鍛えられてタフになったこと、友人の兵士たちが行くところならどこへでもついて行くことなどを真面目にしゃべっているのがユーモラスだし、そのナレーションに合った面白い映像を使用しています。面白く見せながら愛国心を高める、よくできたプロパガンダ映画です。
- Marian Anderson: The Lincoln Memorial Concert (1939) 8分
黒人女性オペラ歌手の有名なコンサートを撮影したものです。「アメリカ革命の娘たち」という婦人団体が彼女のコンサートを開催するのを拒否したため、その団体の会員だったフランクリン・ルーズベルト夫人が脱退し、一般市民の間で論議が巻き起こりました。それで、リンカーン記念堂の前でコンサートを開くことになり、7万5000人が集まり、ラジオでも数百万人が聴きました。1曲目の「アメリカ」を歌う場面が収録されていますが、1番のみ映像があり、2番以降は音声のみです。
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村長 粟村彰義 (アワムラ アキヨシ)

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