第四話から登場しているモレノには、なんと視線で相手に催眠をかける技があります。といっても映画の中で催眠をかけるのはメイドの女性とイルマだけだし、催眠をかけられてモレノを好きになったイルマは途中から催眠とは関係なくモレノを愛しているように見えるので、この催眠というのはダンディなモレノの男性としての魅力をてっとり早く表現したものかもしれません。
今回は、アメリカで大金を盗んだ男女のカップルがパリに逃亡し、その大金を隠すのですが、それをヴァンパイア一味とモレノ一味が狙うという話です。実はフィリップとマザメットのコンビが早々とその大金を見つけているので、一味同士が無駄な化かし合いをしているだけです。簡単な話をややこしくして、30分を1時間に伸ばした感じで、少々まどろっこしいです。
ヴァンパイア大王が伯爵に扮し、一味の女性が伯爵夫人に扮します。イルマは男子のスーツを着て、彼らの息子の子爵に扮していますが、イルマは男装が似合いません(なぜかズボンの裾が短い)。
アメリカ人カップルと伯爵一家は同じホテルに住んでおり、ロビーで伯爵が先祖の話をしてカップルをひきつけている間に、イルマは全身黒タイツでカップルの部屋に忍び込み、お金のありかを示した地図を見つけます。ホテルの部屋に忍び込むのにわざわざ黒タイツを着るよりも、普通の格好をしていたほうが怪しまれないと思うのですが、体の線がはっきり見えるので、男性の観客には好評だったかもしれません。イルマはお尻が大きいし、下腹が少々出ているので、こういうタイプの役を演じる最近のスリムで中世的な体つきの女性よりも生々しくてエロチックです。
イルマが廊下に出ると、隣室で様子をうかがっていたモレノが彼女を隣室に引っ張り込み、クロロホルムをかがせて気絶させます。失神した全身黒タイツの女性が椅子に座っているのを画面前方に配置したショットは、なんか妖しげです。このあと、モレノ一味は自分たちでお金を探しに行かずに、ヴァンパイア一味にお金を探しに行かせるというもったいぶった展開になりますし、前に述べたように、そこにはもうお金はないのです。
イルマがモレノに誘拐されたのを知ったヴァンパイア大王はイルマを取り戻しに行きますが、大王を殺せという催眠をモレノにかけられたイルマは、部屋に入ってきた大王をピストルで射殺します。大王が部屋に入ってくるやいなや一発で大王を射殺するイルマはカッコいいです。
結局、アメリカ人カップルは逮捕され、お金を見つけたマザメットは賞金をもらいます。 |