日本地震学会ニュースレター(2005年9月号)投稿
自治体防災力支援メディアを開設−2カ月のテストに協力を
時事通信社編集委員(防災担当) 中川和之
たまたま記者になって以降、地震そのものの取材や地球科学の取材をする機会が多く、知己があった深尾会長(当時)に誘われて12年前に会員となりました。10年前の兵庫県南部地震では直後から実家もある阪神間で取材をし、その後の神戸勤務を経て、ただの取材者としてではなく、地震防災に貢献したいとの思いで、なゐふるmlや地震火山こどもサマースクールに関わってきました。
さらに、私が個人としてではなく、時事通信社が持っている力を防災に役立てたいと考えて、ここ数年来で企画してきた主に地方自治体向けの防災施策立案を支援するメディアが発足します。今年9−10月の2カ月間、テスト配信期間とし、広く防災に関わる関係者に利用した感想をWeb上でのアンケートで協力していただきたいと考えています。その結果次第で、来年早々にも正式発足させる予定ですので、地震学会の皆さんにもご協力をお願いします。
このメディアを発足させた背景を少し説明させてください。
専門家と市民との情報を媒介するメディアにいて、かねてから防災対策を担うべき自治体の担当者が、あまりに防災に関する基礎的なリテラシーがないことが気になっていました。
阪神大震災後、各地の活断層調査を自治体が国の財政補助を受けて実施するだけでなく、研究発表も行うことが求められました。知人だったある県の防災担当者が、「なぜ、素人の俺が発表しなければならないのか」と、当時の科技庁のやり方に疑問を呈したのに対し、「では、住民にその内容を担当者が説明できなくていいのか」とやんわりたしなめたことがあります。
担当記者のリテラシーがよく話題になりますが、自治体の担当者で地震の研究者とある程度、意思疎通が出来る人は、今でも数えられるほどしかいないのではないでしょうか。
例えば、自治体の担当者向けの情報としては、総務省消防庁のeカレッジ(http://www.e-college.fdma.go.jp/)は、基礎的な解説情報としては良くできていますが、毎日のニュースで伝えられることなどとの関わりまでは整理できず、住民からの問い合わせに対応が求められる自治体担当者がすぐ役立つところまではできません。
一方で、私の所属する時事通信社は、行政向けの情報提供を得意分野としてきました。これは、敗戦後、国策通信社だった旧同盟通信社を、(社)共同通信社と(株)時事通信社に自主解体した際に、「新聞社向け情報サービスは共同、企業・行政向け情報サービスや出版などは時事」と業務範囲を切り分けたところに端を発しています。
1956年創刊の「官庁速報」(日刊)は、中央省庁・地方自治体での必須アイテムとして知られ、そのコンテンツも含めて2000年にリリースした行財政Webサービス「iJAMP」は全国の全ての都道府県・政令市・中核市・県庁所在市で利用され、官庁速報を含めて一般市では7割、町では約3割、村では約2割が読者となっています。
ご覧になって頂ければ分かりますが、解説記事などのほか、防災に関係する50余のジャンルに各地の自治体の取り組み事例を分類しています。解説記事は、学会の諸先輩方に執筆を依頼することも予定しています。
市民向けではなく、防災担当者向けという例のないメディアです。事業の宣伝めいた案内になってしまいましたが、皆さんのお知恵も借りて作っていきたいと考えています。テストにご協力をお願いします。(時事通信社 中川和之)