02「国連人権教育10年」を考える
部落研ブックレット
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「国連人権教育10年」を考える
ー何が問題か
(はじめに)より
いま小・中学校あわせて30日以上の欠席者のなかで、「学校嫌い」を理由にあげているのは、8万人を超えています(1996年度文部省学校基本調査)。そして、小学生のうちで「学校に行く気がしない」という気分を抱いている子どもは、22%にものぼります。
なぜ学校が楽しくないのでしょうか。
法務省が1995年度中に受理した人権侵犯事件のうち、子どもに対する「いじめ」の件数は158件、体罰は134件となっています。また人権擁護委員のなかで選任された「子どもの人権専門委貝」が、約1万人の小学生を対象に1995年度に実施した生活調査によると、「いじめ」をうけたことのある児童は42・2%、そのうち50・8%は「いじめ」をしたことがあると答えています。そして「いじめ」を我慢していると答えた子どもが3分の1、「いじめ」を見ても何もしないが同じく3分の1、学校に行きたくない子どもの理由の16・2%は、「いじめられるから」となっています。
子どもの自殺や、また殺傷事件などは、マスコミが大きく取りあげているところです。どうしたら子どもたちが、自分らしさを失わずに自己形成してゆけるのか、子どもが育つ環境をもっと良くすることはできないのか、こう思い悩むのは、子どもをもつ親の共通したところだと思います。
一方、部落問題(同和問題)は、かつて「差別と貧困」によって植民地以下と形容されていた実態から、大きく改善され、特別措置の終結が現実味をもって議論されるところまできました。1997年3月末で国の同和に関する法的措置は基本的に終結し、5年間の激変緩和措置に移行しました。
しかし、「部落の教育格差は拡大している」とか「差別意識は依然として根深く存在している」という、ごく一部の実態を一面的に誇張することによって、「同和教育」の継続・強化が「人権教育」の「重要な課題」として行われようとしています。
文部省などは、その公的根拠として「人権教育のための国連10年」決議や、内閣官房内政審議室に事務局を置く「国内行動計画」をあげています。
全解連が今年7月18日、和歌山県で開催した第2回全国自治体交流集会では、この「国連人権教育10年」決議と「国内行動計画」を重視して「人権教育」についての分科会を設けました。
また、9月7日に開催された全解連愛知県連主催第17回部落問題県民講座でも、「人権教育」に関する特別報告が設けられました。私は、その双方で、報告する機会を得ました。
「国連人権教育10年」決議および国内行動計画については、昨年制定された人権擁護施策推進法の中でも引用されるだけでなく、各地方白治体の行政施策方針のなかにも言及されている状況が出てきています。
一見だれもが否定できない「人権教育」の促進を冠した「国連10年」の決議を、なぜ日本政府は、早々と推進体制と国内行動計画を作成したのか、この計画が子どもをめぐる課題をはじめ、人権問題解決に役立つものなのか、など今後の運動をすすめる上で、いくつかの間題点を指摘したいと、前述した2つの報告内容を改めて整理してみました。
「人権教育のための国連10年」については、すでに八木英二先生がこの9月に『「人権教育」って何だー国連人権教育10年行動計画』(部落研ブックレツト21・部落問題研究所)を刊行されており、この背景や内容、性格について詳しく論及されています。
私は、部落解放運動の立場から、実践的に、その問題点を指摘させていただきたいと思います。 拙稿ではありますが、今後の運動に多少なりとも活用いただければ幸いです。〔1997年12月25日 初版印刷・発行)
目次
はじめに
1「人権教育のための国連10年」行動計画
2「国内行動計画」策定の経過と概要
3 国内行動計画の問題点
4 部落問題解決の状況
5 人権教育に再構成された同和教育
6 財界・政府の教育政策のねらい
7「同和教育」で何が問題か
8 子どもの最善の利益を正面にすえて
9 暮らし・福祉・教育に人権と民主主義を
資料・「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画
(1997年7月4日)
発行所
文部省認可社団法人・部落問題研究所
京都市左京区高野西開町34−11
エ075(721)6108 fax075(701)2723
定価840円(本体800円+税)