「1998年度部落問題の解決をめざす国民運動」第1次中央行動に対する基調報告

一、「98年度国民運動」をめぐる情勢の特徴

1、情勢を主体的に打開する取り組み

 28年間に及ぶ特別対策は、昨年3月末をもって基本的に終息しました。こうした流れを生み出した原動力は、長年にわたる全解運をはじめ民主勢力のたたかいと逆差別現象への国民のきびしい批判の反映です。

 政府は、この基本的枠組みのもとで、事業を廃止したもの、一般対策へ移行した事業、これを除き経過措置として法的措置(15事業)をとった事業、「同和教育」「同和啓発」を「人権教育」「人権啓発」へ再構成する事業に分類しました。

 全解連は、「1998年度部落問題の解決をめざす国民運動」の中で、同和行政の終結、同和教育の廃止をめざすたたかいと運動を全国各地で組織し、10万人との対話と懇談活動、不公正・乱脈な同和行政に終止符を打つたたかい、自治体の単独事業の廃止を前提にした見直しの促進、民主的自治体の構築、身分洗いの「同和地区児童・生徒の基礎調査」廃止のたたかいなど、国民融合をめざす共同型住民運動で情勢を主体的に打開する取り組みを強化してきました。

2、たたかえば情勢が転換できる条件の成熟

 この間の情勢の特徴は、困難を恐れずたたかえば、情勢を劇的に転換できる状況が全国的に成熟してきていることです。

 @一昨年から高知県や大阪府などで同和問題を重要な争点にしてたたかわれた自治体の首長選挙で、日本共産党と無党派層との共同の輪のもとで民主的自治体がつぎつぎと誕生し、この流れは今年に入ってからも兵庫県黒田庄町や大阪府東大阪市へとつながってきています。黒田庄町の選挙では、全解連の会員が町長になり、選挙後の議会で大きく同和行政終結への流れを作り出してきています。また東大阪市では、選挙後の新たな情勢の転換のもとで、乱脈・浪費の同和行政の実態がつぎつぎと明らかにされ、これを是正する市民世論の構築に向け、積極的な取り組みが前進してきています。ここで同和行政終結、同和教育廃止を実現できれば、五十二万人を擁する大都市ということからも全国的にきわめて大きな影響を与えるものです。このように乱脈・浪費の同和行政の是正を求める世論と批判は、新たな民主的自治体を生み出す大きな力となっています。また、この民主的自治体を構築する流れは、一過性で局地的なものでなく、引き続き起きうるものであり、西日本を中心にどこの地域でも可能であることです。

 A徳島県で「解同」は、暴力的な「確認・糾弾」の名による暴力的な脅しで自治体を屈伏させ、ほしいままに地域の住民支配をしてきました。このことは、「同和」の名による「解同」の特権と利権を温存する「差別撤廃条例」が県を含め五十一自治体すべてで制定されていることがよく物語っています。全解連や日本共産党など二十団体で構成する「差別撤廃条例」反対連絡会議は、このような乱脈・浪費の同和行政に終止符を打つ立場から、県内全域を対象に自治体との懇談、県との交渉、県民世論を喚起する宣伝活動を繰り広げてきました。川島町で「解同」を批判した無所属議員の除名処分を契機に、「連絡会議」のたたかいが大きく前進し、次から次へ乱脈な同和行政の実態が暴露されました。こうした世論と運動の広がりは、県内各地で「解同」がらみの犯罪行為が摘発され、「解同」と行政の癒着の一部が明るみに出され、新たな情勢を切り開く事態となっています。この犯罪行為は、川島町での「解同」幹部の森本一族の逮捕・起訴事件、競争入札妨害で県職員二人が検挙された事件、徳島市で市職員組合書記長らの市役所職員互助会の海外旅行にからみ逮捕された不正事件など、いずれも「解同」がらみの事件ばかりです。「解同」県連は、逮捕者の尻尾切りで切り抜けようとしています。しかし、さらに県政と「解同」の癒着が明るみにだされれば、底知れぬ腐敗構造が県民の前にさらけ出されます。

 B「同和地区児童・生徒の基礎調査」廃止の運動は、この間の新たな取り組みとして大きく前進している過程にあります。全解連は、この問題の重要性から文部省とも団体交渉を行っています。この「同和地区児童・生徒の基礎調査」廃止の運動は、岡山県、埼玉県、滋賀県、福岡県などで取り組まれ、いま全国的なたたかいになりつつあります。

 文部省が実施させている「同和地区児童・生徒の基礎調査」は、同和地区の児童・生徒判定基準の不明性と人権侵害の可能性、基本的に格差が解消されてきているもとでの調査の根拠である社会性、合理性の欠落、大学進学率にみられる調査の科学性、信憑性の欠落、「同和」の判定基準を厳密にすれば、人権侵害、プライバシーの侵害に通じる可能性、同和の子とそうでない子を分け限る教育上の弊害と差別の固定化などの問題点をもっています。このたたかいは、文部省の調査ということから全国的な共通性をもっているとともに、同和教育の根幹を揺るがす性格のたたかいとなりつつあります。

 C大阪府は、「解同」の特権と利権を確保し、府民の内心にまで踏み込み、行政批判を許さない「人権尊重の社会づくり条例」制定を打ち出しています。全解連は、府下の民主勢力とともに、この府民抑圧条例の撤廃をもとめ、大きくたたかいを前進させてきました。こうした中で、大阪府は、全解連などの主張を無視することができず、「人権条例」の内容を修正する動きを示してきています。その内容は、「府民の責務」規定を「努める」規定に、「同和問題」を「社会的身分」に、「行政のチェック」規定を削除、「審議会」の新たな設置と修正してきています。この手直しは、基本的な「条例」のねらいと本質を変えるものでなく、これを姑息に手で切り抜けようとするものです。このことは、大阪府が如何にいい加減な「条例」を出したかを自ら実証したことです。このような代物の「条例」を大阪府は議会に提案すべきではありません。

 私たちは、このような実例からみても、たたかえば困難な情勢を打開でき、根本的な転換を勝ち取ることも不可能ではない時代にいま立っています。

3、いま何が争点か

 第一は、政府は、特別対策を基本的に終息させながらも、一般対策の中に同和枠や同和健先を設け、引き続き事実上の同和対策を継続させる危険性があります。

政府は、「一般対策の工夫」事業を設け、この事業には五年間に限り同和地区のみに高率補助を保障し、特別の同和枠を設定しています。また、一部の省では、一般対策としての雇用保険制度や減反政策の中で同和枠を設け、特別対応をおこなっています。

 政府は、「一般対策への移行とは、同和地区や同和関係者ということで特別の対策を講ずるものでなく、一般の施策の中で、一般の地域や一般の国民と同様に対応していくという意味である」(「同和行政四半世紀の歩み」)と言明してきました。

 「98年度国民運動」は、政府と自治体で一般対策に特別の同和枠を設け、事実上、特別対策を継続しようとする同和固定化の危険な動きと対決し、真に一般対策へ移行する重要な任務を担っています。

 第二は、政府は、「同和教育」「同和啓発」を「人権教育」「人権啓発」へ再構成するとしながら、事実上、同和問題を特別扱いしていることです。

 政府は、1996年の地域改善対策協議会の意見具申を受け、同年7月に政府大綱で「同和問題に関する差別意識の解消に向けた教育及び啓発に関する事業については、『人権教育のための国連10年』との関連において、人権教育、人権啓発の事業に再構成する」方向性を打ち出しました。

 この「再構成」は、@「同和問題に関する国民の差別意識は解消へ向けて進んでいるものの依然として根深く存在して」いるとの認識のもとに、A「教育及び啓発の手法には、法の下の平等、個人の尊重といった普遍的な視点からアプローチしてそれぞれの差別問題の解決につなげていく手法と、それぞれの差別問題の解決という個別的な視点からアプローチしてあらゆる差別の解消につなげていく手法があるが、この両者は対立するものではなく、その両者があいまって人権意識の高揚が図られ、様々な差別問題も解消されていくものと考えられる」との手法論が出され、Bこのもとで「同和教育」と冠した「研究協議会」「推進地域指定」「研究指定校」(以上、学校教育)、「調査研究指導」「指導研修事業」「推進市町村事業」(以上、社会教育)の事業を、それぞれ「人権教育」と冠した事業に「再構成」する具体的措置を文部省がとることとなりました。

 しかし、「人権教育」と称しながらも、各都府県の「人権教育のための国連10年」の推進は、「同和」との組織的関連を色濃く反映しながら進行しているといえます。これは「人権教育」への「再構成」そのものが同和問題を経緯して打ち出された上、地対協意見具申(「その中で、同和問題を人権問題の重要な柱として捉え」)の中で、同和問題を特別扱いするお墨付きを与えたことが大きく影響しています。

 第三は、本来的に権力と国民の間の問題である人権問題を国民相互の私人間の問題に矮小化し、国民の「心の問題」にすり替えようとしていることです。

 人権擁護推進審議会は、昨年5月の発足以来、すでに12回の会議を開きました。この審議会では、来年春に「人権尊重の理念に関する教育及び啓発の基本的事項」の答申が予定されています。また、「人権侵害の場合の被害者の救済施策」は5年を目処に答申が予定され、この3月には審議会内に人権救済制度検討準備委員会が設置されました。

 この審議会は、「同和問題を経緯」にしたことから、人権問題をいいながら同和問題に偏重する問題点とともに、教育、啓発に関して「国民相互の理解を深める」との枠組みがあり、人権問題を私人間の問題に転嫁する重大な問題点をもっています。こうした点から、同和特権継続の根拠にされたり、人権問題の懇意的な倭小化されたり、啓発の名による国民の内心に踏み込む権力の教化など、さまざまな危険性を包み込んでいます。

 第四は、地対協意見具申で「適正化対策」の必要性が指摘されながら、事実上、全国各地で乱脈・浪費の同和行政が放置されている問題です。

 たとえば、東大阪市では、歴代の保守市政のもとで同和行政における乱脈・浪費が放置され、逆差別現象が大きな市民的批判の対象になっています。東大阪市は、2つの同和地区が存在しますが、ここに建ち並ぶ公共施設も含めて同和関係職員が374人(同和施設だけでは、正式職員が275人、嘱託・アルバイト・パートが51人、計326人)となっています。これらの職員数は、2、3万人の町村職員に匹敵するものであり、如何に過重な職員配置になっているかが明らかです。また同時に、各種団体補助金の総額が3億1350万円となっており、この浪費を削減せれば国民健康保険料が一世帯当たり2000円減額できるものです。このような乱脈・浪費の同和行政を一日も早くやめさせ、これらの予算を住民の生活に役立てることが急務となっています。

 第五は、現在の同和教育が「同和地区の子」を特定し、分け隔ての教育を前提に成り立っているもとで、人権侵害を構造的に内包していることです。このことは、昨年に引き続き、兵庫県での人権侵害の「中・高連絡カード」問題、高知県土佐山田小学校での偏向教育問題、兵庫県での同和教育授業研究での座席表問題、文部省の「同和地区児童・生徒の起草調査」問題などで明らかです。この点で、自治体から人的・財政的に保障され、教育現場で「鯛同」の別働隊的役割を担っている全国同和教育研究協議会のあり方が大きく問われなければなりません。

4、人権擁護推進審議会と「解同」の策動

 人権擁護推進審議会は、すでに15回の会議を開催し、人権概念、政府関係省庁の説明、人権関係団体からの意見聴取、各委員の意見発表などを行ってきました。この間、全解連は、審議会の議事録の公開を実現させ、民主団体とシンポジウムを開催し、代表による意見陳述などの取り組みを行ってきました。審議会は、9月から委員による総括的な自由討議が行われ、来年に人権教育・人権啓発の基本的方策に関する答申が出される予定になっています。

 「解同」は、この審議会の答申を彼ら流に最大限活用できるよう、「人権」と称しながら地対協意見具申の弱点である「これまでの同和教育、同和行政の成果を損なわない」とする主旨を梃子に教育・啓発で国と自治体の責務を明記させることにより、これを拠り所に特権体制の維持をもくろんでいます。また「解同」は、審議会の運営上の問題点として、同和地区の視察などを求め、これを通じて同和問題を委員の間で特別視させる動きを強めています。

 全解連は、審議会の公開と公正な審議、国民参加の運営を求めるとともに、「解同」系委員の罷免、特定団体の圧力排除、同和の特別扱い反対、国民の広範な人権侵害状況の反映などを要求します。

5、自治体と「人権教育のための国連10年」

 自治体の「人権教育」への「再構成」は、いままでの「同和教育」の体制と内容を濃厚に残しながら、進行しています。このことは、自治体の「人権教育のための国連10年」への対応のあり方からも推測できます。

 政府は、「人権教育」「人権啓発」への「再構成」と関連して、「人権教育のための国連10年」の「国内行動計画」を策定しました。この国内行動計画には、国連決議の内容とも異なったものが含まれており、さまざまな問題点を持っています。@政府が国民に対して上から「人権尊重」を押し付け、教化する傾向が非常に強いことですCA国民への「教育・啓発」の推進で、あたかも人権侵害救済が可能であるかのように描き、「人権教育」を人権救済の特効薬に位置づけていることです。B本来、人権問題は、国家や社会的権力と国民の関係の問題が基本であるにもかかわらず、国民相互の理解に穣小化する傾向になっていることです。C公務員や教員などに対する研修のあり方が一方的な「教育・啓発」の対象にのみとらえられていることです。

 自治体では、「解同」の圧力も加わって「人権教育のための国連10年」の担当部局や行政機構内の横断的組織の設置、行動計画の策定などが行われてきています。ここには、自治体の同和行政が大きく影を落としています。

 @各都道府県の担当部局では、47都道府県のうちで同和対策室などの同和部局が担当しているのが茨城、栃木、群馬、埼玉、長野、石川、京都、兵庫、鳥取、島根、広島、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島の20県、「同和対策室」を「人権室」などに改変した部局が担当しているのが、干葉、東京、三重、大阪、山ロの五都府県となっている。つまり、47都道府県中、25都府県が「同和」に関係している部局が「人権教育のための国連10年」の担当部局となっています。

 A横断的な組織の設置では、千葉、神奈川、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、大阪、奈良、和歌山、鳥取、徳島、香川、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島の20府県であり、このいずれの府県も同和関係自治体です。

 B行動計画の策定状況では、すでに策定済みが神奈川、滋賀、大阪、奈良、福岡、大分の6県、これから策定に向け検討中が茨城、長野、冨山、石川、福井、静岡、三重、京都、和歌山、鳥取、島根、岡山、徳島、香川、高知、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島の20府県であり、これらのいずれの府県も同和関係自治体です。

二、第1次中央行動の目的と課題

1、目標

 「98年度国民運動」では、@事業の完了、同和行政の終結、同和教育の廃止、同和地区指定解除、乱脈行政に終止符、A共同型住民運動の前進で、暮らし、福祉、教育の充実を、B10万人との対話活動を前進させ、諸要求の結集と自治体、政府交渉の展開、C「基本法・条例・宣言」反対、同和特権の継続につながる「条例」の廃止、D「人権」の名による地域支配を許さず、人間が大切にされる地域の実現を、E消費税を3%に引き下げ、医療費を値上げ前にもどし、日米ガイドラインに反対する、の6項目を目標にして全国的な取り組みを実施してきました。

2、基本的要求

 全解連は、第1回中央委員会で「98年度国民運動」を取り組むに当たって、基本的要求項目を明確にし、自治体などへの要求運動を展開してきました。

(1)同和行政を終結させる方向性と終期を設定した計画を明確にすること。

 @行政の主体性のもとで、終期を明確にした単独事業の廃止の方向性を打ち出すこと。

その事業費を住民の暮らし、福祉、教育に役立つ一般対策に転換すること。

 A同和地区住民と自治体が一体となって、積極的に完了宣言などに取り組んでいくこと。

 B一般対策の工夫と称した事実上の「同和事業」や「同和枠」の設定などをただちにやめ、名実ともに一般対策への移行を打ち出し、暮らし、福祉、教育などの一般対策の充実をはかること。

 C法による経過措置事業の内容を精査し、浪費、不必要な事業は中止し、国の補助事業対象から除外すること。

 D「部落」を含めた地域社会全体を視野に入れ、そこに生活する住民の暮らし、福祉、教育などの条件整備を積極的にはかり、民主的な地域づくりを通じて、同和地区内外の社会的交流を促進すること。

(2)乱脈な同和行政にメスを入れ、公正、民主、公開の行政運営の確立をはかること。

 @乱脈、狼その同和行政にメスを入れ、住民の批判も許さない「聖域化」された特権構造に終止符を打つこと。

 A「解同」など特定団体との癒着構造にメスを入れ、いっさいのエセ同和行為を許さず、行政の主体性の確保をはかること。

 B隣保館、集会所などの特定団体の独占管理を許さず、一般公共施設として住民のすべてが自由に使用できるようにすること。

 C構造的に違法性をもった「解同」の「確認・糾弾」行為に手を貸さず、社会的に排除すること。

 Dすべての分野で公正、民主、公開の行政運営を確立すること。

(3)住民の批判を圧殺し、上からの教化と住民の内心に礎み込み、同和の固定化につながる、いっさいの「条例」を廃止すること。

 @人為的な「部落」の温存、固定化法である「部溶解放基本法」制定運動に迎合しないこと。また、その実現をめざす「部落解放基本法制定実行委員会」などからただちに脱退すること。

 A住民の批判を圧殺し、上からの教化と住民の内心に踏み込み、同和の固定化につながる、いっさいの「条例」を廃止すること。

(4)特別扱い、分け隔ての「同和教育」を廃止し、当たり前の教育を実現すること。

 @子どもの発言問題を「差別事象」とせず、教育的な見地から学校での自主的な解決をはかること。

 A「角宅同」の教育介入を許さず、教育の中立性の確保、教育と社会運動の分離を明確にすること。

 B特別扱いや分け隔てを教育に持ち込まず、どの子も大切にされる当たり前の教育を実現すること。同和加配教員制度を廃止し、教員を増やし、30人学級など実現させ、ゆとりとゆきとどいた教育を実現すること。「部落民宣言」の強要、「解同」理論の教育への持ち込みを許さないこと。

 C「舵同」理論を教育現場に具現している「同和教育研究協議会」への人員派遣、財政補助を打ち切ること。

 D教育の場で人権を確立するために、子どもと教師の人権が実現されること。

 E「同和地区児童生徒基礎調査」と称した「身分調査」を廃止すること。

(5)人間が大切にされる地域社会の実現をめざし、「人権」の倭小化をはかる動きをきびしく批判すること。

 @一人ひとりの住民が人間として大切にされる地域社会の実現をめざすこと。

 A「人権」の名による同和教育、同和啓発の特別体制づくりを許さず、住民の自主的な学習活動の推進のもとで、国民間に存在する偏見や差別を社会的に克服していくこと。

 B同和特権体制の温存をはかる「人権条例」制定に反対し、憲法に保障された基本的人権の侵害の実態を多面的に明らかにし、住民の人権の擁護と伸張をめざすこと。

 C国の「人権擁護推進審議会」の動向を監視し、人権の倭小化を許さず、国民の意見を審議会へ反映させるシステムの確立、人権擁護機関の民主化と体制の充実をはかること。

 D「人権教育のための国連十年」の悪用による上からの教化をやめさせ、世界人権宣言や国際人権規約などの普及をはかること。

三、政府交渉での課題

1、「一般対策への工夫」問題や一般対策に同和枠の設定

 「一般対策への工夫」事業の中には、同和枠の固定化に通じる要約も存在しています。この課題は、昨年の政府交渉でもきびしく追及しましたが、まだ各省とも明確な態度を避けています。2001年度後には、行政上、いかなる同和枠も設けさせないことが部落問題解決にとっても不可欠です。たとえば、「小規模住宅地区等改良事業制度要約」では、目的で「不良住宅が集合すること等により生活環境の整備が遅れている地区」と規定しているにもかかわらず、「同和地区」「ウタリ地区」「産炭等地域及び老朽住宅除去等事業」に限定しており、事実上の特別対策になっています。この「要綱」の目的どおり「不良住宅が集合する」地域全体に対象を拡大し、名実ともに一般対策の内容に改正すべきです。一般対策では、農水省の減反割合問題や労働省の雇用保険支給期間での特別対応が同和枠として設定されています。

2、人権教育・人権啓発への再構成

 文部省は、「同和教育・同和啓発」を「人権教育・人権啓発へ再構成」する際に、「人権教育研究指定校」とか、「教育総合推進地域事業」に改称しています。文部省は、「人権教育」と称しながら、事実上、指定する学校や地域が同和に偏重させた選定になっています。このような同和の特別対応を文部省にやめさせていくことが重要になっています。また、文部省が作成した「同和教育指導指針」は、教育論において少なからぬ「解同」理論が反映されており、これを廃止させていくことが要請されています。

3、文部省「同和地区進学状況等認査」問題

 文部省は、「人権教育」を進めながら、別枠で「同和教育」を進めるために、「関係各府県・指定都市教育委員会人権教育担当課長」宛に同和地区児童・生徒の「進学状況等調査」を依頼し実施しています。この調査内容は、「高等学校・高等専門学校進学状況」「大学・短期大学進学状況」「専修学校・各種学校進学等状況」「中学校卒業者の就職状況」「高等学校卒業者の就職状況」「退学者及び原級留置者数等状況」の6種類からなっている。親からは、こうした「調査」の発覚に対して「自分の子を勝手に同和の子に認定する調査はやめてほしい」「旧身分を洗い直すことはやめてほしい」など、きびしく廃止を求める声があがっています。この「調査」には、教育上の問題点はもちろんのこと、人権侵害に通じる違法性をもった構造となっています。

@もともと本人の了解もなく、旧身分の洗い直しを行うことは個人のプライバシーの侵害に通じる違法性をもった調査です。ただ、差別のきびしい時代に格差の是正措置を論じる必要性から調査が実施された場合、そこに一定の社会性が存在し、阻却要件をそなえ調査が可能であった時代もありました。A同和地区の混住化の進行、地区内外の結婚の増大のもとで、「同和の子」を正確に判断、識別するのが不可能となっており、調査上の判断基準の明確性が欠落しています。B地区内外の格差が基本的に解消しているもとで、この調査の目的の必要性、社会性が欠如し、部落の固定化に通じる調査になっています。C調査内容に高校まで含まれており、多数の中学校区から生徒が来ることから、卒業中学から入学高校に自ずと「同和地区の子」を認定した通知が必要となり、個人のプライバシー侵害につながる危険性を内包しています。D調査の正確性を要求すれば、人権侵害に通じるとともに、ずさんな調査になれば調査そのものの信ぴょう性に大きな問題が出てきます。E調査を通じて児童・生徒を「同和の子」と「一般の子」と区分けし、子どもらの世界に分断を持ち込み、重大な弊害を教育につくり出すことです。

4、自治体の単独事業

 自治体の単独事業では、政府として全国的状況をどのように把握し、分析しているかを明確にさせ、「解同」などが「部落差別がある限り同和行政は必要」とする主張の誤りを論破しながら、政府答弁を引き出していくことです。また、政府の単独事業の見直しの方向性と逆行している長野、三重、大阪、京都、奈良、鳥取、福岡などの諸府県に対する具体的な指導を求めていく必要性があります。

5,不公正・乱脈な同和行政の是正

 全国各地では、同和行政をめぐって時代に逆行する不公正・乱脈な行政のあり方が大きく問われています。たとえば、先述した徳島県での実例、和歌山市での大型作業場問題、大阪市での浪費的市営住宅建設問題など、このような全国各地の不公正・乱脈な同和行政の実態を政府に具体的に明らかにしながら、地対協意見具申及び政府大綱でも指約されている「適正化」対策の取り組み状況と責任ある対応を強く求めていく必要があります。

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