「8者合意」の即時破棄を
 誰も身動きできない学校現場
 広島県「解放教育」糾明全国調査
 県教委の「日の丸・君が代」押しつけ
 「解同」らの横暴まざまざと

 三月二十五日〜二十六の両日、全解連は県立世羅高校の校長が卒業式での「日の丸・君が代」をめぐるあつれきのなかで自殺した事件の真相究明と、その背景となっている「解放教育」の実態解明のため、国民融合全国会議、中央人権共闘会議とともに広島で現地調査行動をおこないました。この行動には、全解連の中野初好中央執行委員長、国民融合の大同啓五事務局長、人権共闘の土井大助代表委員、日本共産党の林紀子参議院議員をはじめ、十一府県から八十人が参加。調査団は世羅高校の保護者や、世羅高校の属する尾三(尾道・三原)地区高校校長会を含む七方面にわたって調査・懇談、県と県教妻には別掲の要求事項を持って交渉、二十六日には県庁職員に向けてビラ配布の宣伝行動を展開、午後には調査結果をもって県政記者クラブで記者会見をおこないました。

 「何か正しいのかわからない。管理能力はないのかも知れないが、自分の選ぶ道がどこにもない・・・。」以上の遺書を残して広島県立世羅高校の石川敏浩校長が自殺したのは、卒業式前日の二月二十八日でした。弔問した全解連の中野委員長に、遺族は「事件後いろいろな動きがあり、死の真相を明らかにしてくれるに違いないと期待しています。恨みを晴らしてくれるよう密かに願っています」と語ったということです。
 調査団は小・中・高の長会、尾三地区の校長会、高校のPTA連合会、そして世羅高校の保護者や地域住民、三次市の父母・圧民との懇談をおこない、調査を進めました。
 広島県立高校校長協会の岸元学会長は、三月十日の参議院予算委員会での参考人質疑で次のように証言しています。
 「石川校長は、二月二十四日から二十七日まで連日連夜八回にわたり、校内・校外で一日五時間もの会議交渉をもたれた。そのなかで、『あくまで国歌斉唱を実施するなら、従来三脚で掲揚されていた国旗も引き降ろす。授業の補修や駅伝の世話などの学校の運営に一切協力しない』と反対された」「昭和六十年の『八者合意』に関係団体とも連携という一節がある。関係団体とは部落解放同盟県連のことで、この連携の言葉が卒業式での解同県運の介入を許す結果をまねいた」 現地調査ではこの事実を確認。まさに学校現場には県教委の「日の丸・君が代」押しつけとともに、「解同」や教職員団体の横暴が吹き荒れ、この背景に県教委・「解同」を含む八者の合意があったのです。そして、調査のなかでさらに重大なことが明らかになりました。
 ▽高校では、県高教組、広同教、「解同」県連の三角同盟によって、校長も教員一人一人も身動きできない。この三角同盟に楯つけば、教育委員会が後ろから鉄砲を撃つような状況になっている。
 ▽職員会議でも誰がどんな発言をしたか、「解同」に報告される仕組みになっている。三角同盟の見解と違う意見を言ったら最後、この教員は糾弾される。
 ▽新任の校長は、高教組分会との間で「人事協定」を結ぶ習慣になっており、「解同」の介入を公認するものになっている。県教委もこれを是認してきた。
 ▽広同教には、学校単位で加盟しているため、校長も会員ということになっている。年度末ごとに「同和教育の総括」を求められ、三角同盟から吊し上げられるのを恐れている。
 今回の悲劇は、「解同」に屈服して県・県教委自身もその構図のなかに身を置き、楯つく教員に後から鉄砲を撃ちかけてきた八者合意の犯罪性をまざまざと示しています。

 知事・県教育長あて申し入れ6項目
1、「解同」の教育介入への道を合法化させた「八者合意」をただちに破棄すること。
2、「解放教育」の押し付けをやめさせ、教育の中立性を確保し、政治運動・社会運動と教育の明確な分離をはかり、具体的な事実に即して偏向教育の実態をただちに是正すること。
3、今回の校長自殺事件の背景を解明し、県教委の責任の所在を明確にすること。
4、卒業式・入学式への「日の丸・君が代」の権力的な強要をただちに中止すること。
5、自由に意見交換ができる教育環境を樹立し、学校への違法な「確認・糾弾」行為をいっさい排除すること。
6、部落問題解決に逆行し、県民はもとより部落住民の願いにも背く「同和教育」「解放教育」を廃止すること。

 「解放教育」の猛威
 合法化した「八者合意」
 反動的文教政策貫徹へ
 自民党勢力が利用

 広島県では、七〇年代から学校介入、公教育破壊の暴力・糾弾が激発、「解同」小森派による戸手商業高校事件、八次小事件などが引き起こされており、全解連の把握では、この過程で十五人もの教師が自殺、あるいは蒸発するにいたっています。こうした異常な「解放教育」の猛威を、県・県教委ぐるみの構造的体制につくりあげたのが、八五年に知事、県議会議長、教育長、「解同」県連、県教組、高教組、広同教、高同教の八者間で結ばれた「八者合意」です。
 「関係団体との連携」をうたったこの文書は、まさに学校介入の合法化、教育行政の自主性放棄の法制化とも言えるものです。

 父母・県民の批判やうらみは水面下で満ちていた…
 例えば福山市では、「同和地区児童・生徒の進路保障をめざす」として市教委に「学力総合プロジェクト委員会」が設置され、市同教、解放保育運、「解同」市協など連携のもとに、保・幼・小・中の一貫した「解放保育・教育」体制を確立。学校(所・園)における「差別事件」のとりくみについては、「関係行政機関、関係支部との緊密な連携」をとって、「総括学習会」「事件解決学習会」と称する糾弾会を行う仕組みが出来上がっています。「解放教育」に対する父母・県民の批判やうらみは水面下に満ち満ちていました。
 これにたいして、この批判を反動的文教政策貫徹の立場から利用したのが県下の自民党勢力です。昨年五月には文部省本省による「調査」を引きだし、学習指導要領の本格実施と「日の丸・君が代」の強要を含む異例の是正指導がおこなわれる事態になりました。
 今回の事件を引き起こした卒業式においても、県教委は昨年十二月十七日と今年二月二十三日の二回にわたって「日の丸掲揚、君が代斉唱」の職務命令を出し、自民党県議団は卒業式に出席して実施状況の点検をすることまで口にしていたのです。
 このように、県教委は自らも加わった「八者合意」の中に身を置きながら、法令上も教育上も何の根拠もない「日の丸・君が代」を、何がなんでも実施させる強権的対応に走ったのが、今回の悲劇を生んだ最大の要因です。同時に、校長や校長会への強圧で自らの意図を押しつけてきた「解同」の無法も厳しく糾明されなければなりません。それは学校と教育の自主性を破壊する点では、県教委の権力的押しつけと変わるところがないものです。
 広島県の藤田雄山知事は、三月十五日の定例記者会見で、文書自体は問題ないとして「八者合意」を当面見直す考えのないことを明らかにしました。

 地方公務員法に違反すると学校畏れ人の処分を強行
 一方、県教委は二十三日、学習指導要領にもとづき卒業式で「君が代」を斉唱するよう命令したにもかかわらず、結果的に斉唱しなかったのは命令に従う義務を定めた地方公務員法に違反するとして、学校長二十一人の処分を強行しています。
 県も県教委も、「八者合意」にしがみついて教育の自主性を放棄したまま、学校現場への「君が代」強制の姿勢をより強固に表したものです。入学式を前に、第二、第三の犠牲者が出てもかまわないとさえいえる態度です。ここには、教育行政や特定の勢力、あるいはその筋議によって教育が破壊されているという広島県の教育が持っている最大の問題を是正しようという姿勢は微塵もありません。
 「解同」県連は、自分たちが校長会に強要して書かせた県教委への「要望書」を機関紙に載せ、自らの横暴を棚に上げて強制が校長を死に追い込んだと、責任を県教委に押し付けています。
 しかし、父母、PTA、住民のなかでは、文部省の是正指導を経て「日の丸・君が代」の押しつけにいたったことに戸惑いながらも、問題の根源にある「解放教育」問題は何も解決されていないと批判が渦巻いています。それゆえ、知事の「八者合意」是認のコメントには落胆の声も出はじめています。いま、「八者合意」に焦点がにつまりつつあり、変化のきざしか生まれています。
 広島県における偏向教育の克服と教育の自主性回復と正常化へ、とりくみは始まっています。

   8者懇談会合意文書
 「広島県における学校教育の安定と充実のために」
 全日、本県学校教育の安定と充実は、すべての県民の願いである。これに応えるために、教育に係わるわれわれは、お互いにそれぞれの立場の尊重と相互信頼の上に立ち、教育基本法第10条の精神である教育の中立性を尊重し、次のことを基本に置いて、更に教育の健全化のために、それぞれの役割を尽くすものとする。
(1)教育の質的向上と青少年の健全育成のため、教育関係者は学校教育問題協議会(三者懇)の場などを通じて、懸命に努力し、関係書はこれに協力する。
(2)学校においては、子供の教育を基本に置いて、校長をはじめ教職員が一体となって努力し、民主的で秩序ある学校態勢ガ確立されるよう努める。あわせて、父母、地域社会の意見を謙虚に聞き、学校の運営に全力をつくす。
(3)われわれは、教育諸条件の整備を一体となって進め、適切な教育環境づくりに努める。
(4)同和教育の推進に、われわれは一致して努力する。差別事件の解決に当たっては、関係団体とも連携し、学校及び教育行政において、誠意をもって主体的にて取り組み、早期解決に努める。また、激発する差別事件の現実に鑑み、社会啓発に全力をあげる。
(5)全国的に見られる生徒の自殺事件、いじめなど人間疎外の状況、校内暴力など荒れの現象、更に喫煙、シンナーなどに見られる自暴自棄の現象については、その緊急性と重要性に鑑み、本県における教育健全化対策の重要な課題として位置づけ、生命・人権の尊重と主体的な生き方の確立を目指して、積極的に取り組む。
(6)今後、われわれは、適宣話し合いの機会を持ち、相互理解と意志の疎通に努め、本県教育の推進のために努力する。
 昭和60年9月17日
 広島県知事 広島県議会議長 広島県教育委員会教育長 部落解放同盟広島県連合会 広島県教職員組合 広島県高等学校教職員組合 広島県同和教育研究協議会 広島県高等学校同和教育推進協議会

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