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中央競馬のメインコースである芝コースは使用する毎に荒れていきます。開催ごとに芝を張り替えられればいいのですが・・・、なかなかそうは行きません。このため、コース移動と言うものを行います。ここではそのコース移動について、中山競馬場ではどのように行われているのかを見てみたいと思います。



■・・・コース移動はなぜ行われる?

人間が徒競走を行う競技場のトラックは白い線ではセパレートされていて、短距離走などの競技者はそこを走らなくてはいけません。それに対し馬が競走をする競馬場のコースはセパレートされていません。このため、競馬は人間の競走とは違って、スタートした後、他の馬の進路をカットするようなものを除いてコースの移動は基本的に自由。コースのどこを走るかは騎乗しているジョッキーの判断ということになりますが、競馬場のコースが楕円形で作られていることを考えると、やはりインコースを通った方が距離的には有利であることは確か。ジョッキーは問題がなければ極力インコースを通る努力をする事でしょう。ただこの影響で、インコースの芝は他の芝コースの部分よりも早く状態が悪くなります。主催者側はこのインコースの芝の状態悪化を防ぐために「コースの移動」をと言うものを行うのです。

■・・・ラチとコース移動

馬が殺到するインコース。そのインコースの芝の状態悪化を防ぐために行われるがコース移動です。しかし「コースの移動」とは言っても、芝コースを丸まるどこか違う場所を移すというわけではなく、「芝コースにあるラチと呼ばれるコースを分ける柵≠フ内側のものを移動すること」を言います。

左の写真は中山競馬場の4コーナー地点を写したもの。競走馬たちはこれからカーブを超えて最後の直線に向かうところですが、馬たちの内側に白く見える柵がラチになります。このラチは競馬場に外側と内側を分ける2つあり、内側にあるラチを移動してコース移動を行う事になります。このラチを移動したものを仮柵移動柵と言い、競馬場ではそれらを芝コースの決められた場所に設けることによって馬の走る場所を物理的にずらし、内側の芝が荒れるのを軽減するのです。競馬場のコースの大きさには各競馬場によって「大きい・小さい」があるため、競馬場によってコースの数は違いますが、中山競馬場の場合、コースは内から0メートル地点にラチを設けるAコース内から3メートル地点に設けるBコース内から6メートル地点にラチを設ける(Bコースから3メートル地点)Cコースの3種類があります。この3種類のコース移動ですが、開催中に荒れが目立ってきたからと言う理由でただ闇雲に行われているというわけではなく、過去の経験からコース移動する時期を考慮して規則的に行われています。











中山競馬場では年に5回の競馬が開催されます。この開催が進むにつれて芝は痛んでいきますので、コース移動などで極力芝の痛みを軽減させるなどの方法を取っていますが、それでもやはり芝は荒れてしまいます。かと言って、開催ごとに芝を大幅に手入れをするのは予算や手入れの期間などの問題があり非効率。このため、中山競馬場の芝は競馬を開催しない5月から9月までの間に大規模な芝の手入れをした後、有馬記念や皐月賞時にどれだけ良好な芝状態を保っているか・どれだけ良好な馬場状態で行えるかと言う事を念頭において、コース移動が行われ、1年を乗り切ることになります。しかし、以前は今ほど芝の育成技術が進んでいなかった事コース形態の問題などもあり、A・B・Cと3つあるコースを最大限に活用して芝を保護しなくてはいけませんでした。しかし、この芝保護を目的とした頻繁に行うコース移動にも問題があったのです。

AコースからBコース、また、BコースからCコースに移動するの場合は、走る場所が外にズレていくだけなので問題はないのですが、CコースからBコースへ、BコースからAコースなどという、外から内へズレていくコース移動を行った場合、仮柵を取った時に内側の芝だけ状態の良い場所が出来る事になります。走る距離の一番少ないインコースの芝が一番いい状態であると言う事は、その部分を走れる可能性が高い逃げ馬や先行馬が一番の恩恵を受ける事になり、一部の馬だけに有利に働くことになります。

この仮柵を取った場所は仮柵を取った場所だけ芝の状態がよく、芝生がベルトのように見えるためグリーンベルトなどと呼ばれるようになり、以前までの中山競馬場は開催中に外から内へ移動をしなくてはいけなかった事で、度々このグリーンベルトが出現していました。特に皐月賞と、開催時期を第5回から第4回へ移したばかりのスプリンターズSの時にグリーンベルトが出現し、それを味方にしたダイタクヤマトセイウンスカイが優勝。皐月賞のレース後に「大きいレース前に仮柵を外すのはおかしい」とスペシャルウィークに騎乗していた武豊騎手が嘆いたという話は有名ですが、芝の育成技術向上と数年前に芝1200メートルのスタート地点の幅員を広げた後の中山競馬場では、グリーンベルトが出来ないようなコース変更が考えられ、コース移動による有利不利の出現を減らしています。これからもコース移動の順番は変わる可能性はありますが、厳冬期に行われる有馬記念をどう乗り切るか考え抜かれて現在のものになっているため、しばらくこの移動で固定されるのではないかと思います。



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