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重大な河川法からの逸脱
なぜ石川県の河川課はこうもミスを重ね続けるのか?
もはや「河川管理者」なる資格を喪失している!
2003年11月20日発表として、石川県河川課のホームページに「第1回犀川水系流域委員会開催の案内が載せられている。県は委員会設置を次のように説明し、委員17名を「発表」している。
「河川法(昭和39年法律第167号)第16条の2第1項の規定に基づき、犀川水系に係る河川整備計画を策定するに当たり、治水、利水、環境等に関する学識経験者、有識者及び関係団体の代表の意見を聴くため、「犀川水系流域委員会」を設置する。流域委員会は、犀川水系の河川整備計画について意見を調整し、河川管理者に助言する。
明確に河川法にもとづく河川整備計画を策定するために設置すると説明している。しかし、流域委員会を「召集」する前に決めておかなければならない、肝心の「河川整備基本方針」がまだ決定されていないことがわかったのだ。
筆者(渡辺)は、まさか流域委員会を開催するのに基本方針が決められていないはずはないと思い、この「決定」を確認するため情報公開請求をしたところ、河川課の担当者から意味不明のことを言われたからわかったことである。
ちょっとその時のやりとりを再現してみよう。
河川課「何を公開すればいいのか、確認をしたいのですが……」
渡 辺 「流域委員会を開くということは、当然委員会の提言を受けて、基本方針が既に決定されていると思う。その決定までの手続き資料を見せて欲しいということだ」
河川課「方針については、国交省と協議を続けている。その上で決定する。だから、何を見せればいいのか? 現段階では河川法を見せるしかないが…」
渡 辺 「河川法なんて見せてもらっても仕方がない。決定されていないのに、流域委員会で河川整備計画をつくろうというのはおかしいのではないか。基本高水や計画高水が確定していないこと。今後変わる可能性もある。流域委員会で議論のしようがないではないか。無責任じゃないの? そんなことでいいの??」
河川課「……(いろいろ言い訳?をする)」
河川整備基本方針がまだ決定していないことは、こうしたやりとりでわかったことである。
県は、とんでもない禁じ手=辰巳ダム建設事業費からの捻出=で犀川水系河川整備検討委員会をつくり、1年もかけた委員会審議を経て、河川整備基本方針への提言をもらった。長い間、委員会の事務局を担当し、資料作成や審議につきあった県河川課は、やっと終わった「苦難」の道のりを回想しながら舞い上がってしまったのかもしれない。「GO!」とばかりに、河川整備計画を策定するために走った。流域委員会の開催を決めてしまった。これは河川法に照らしてみると、おかしいのだ。
河川法第16条による基本方針や整備計画が決定されるまでの流れを確認しておこう。
河川整備基本方針の作成
@ 河川整備基本方針案の作成
A 河川審議会による意見(石川県にはこの審議会がない)
B 河川整備基本方針の決定
河川整備計画の作成
C 原案作成
D 原案に対する学識経験者による意見を求める
E 公聴会の開催等、住民意見の反映
F 河川整備計画の案の作成
G 関係地方公共団体の長から意見を求める
H 河川整備計画の決定
Aの河川審議会は石川県では設置されておらず、この手続きは省略されても適法であるが、これに替わるものとして「犀川水系河川整備検討委員会」を設置し意見を求めた。この委員会は法的には義務づけられておらず、県による誠意(?)と解釈しておこう。
このように義務づけてもいない委員会を設置してまで丁寧(?)に進めたはずだったのだが、河川法からの逸脱という決定的なミスを犯しつつある。
手続きの流れを冷静に見て欲しい。現段階は
A のはずである。
河川審議会(犀川水系河川整備検討委員会)から意見をもらった段階で、まだ県は基本方針を決定していない。「河川法第16条の5」は次のように定めている。
―― 「河川管理者は、河川基本整備方針を定めたときには、遅滞なく、これを公表しなければならない。」
河川整備計画を定めるための「河川法第16条の2第1項」を再確認をしておこう。
―― 「河川管理者は、河川整備基本方針に沿つて計画的に河川の整備を実施すべき区間について、当該河川の整備に関する計画(以下「河川整備計画」という。)を定めておかなければならない。」
河川整備基本方針を定めるための「河川法第16条」も確認しておこう。
―― 「河川管理者は、その管理する河川について、計画高水流量その他当該河川の河川工事及び河川の維持(次条において「河川の整備」という。)についての基本となるべき方針に関する事項(以下「河川整備基本方針」という。)を定めておかなければならない。
5 河川管理者は、河川整備基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。」
さて、どうしたものであろうか。
おそらく流域委員会の委員17名には県知事名で委嘱状が届き、委員から承諾書などが返送されているはずである。その文面には、流域委員会開催の案内にあるように「河川法第16条の2第1項の規定に基づき、犀川水系に係る河川整備計画を策定するに当たり、治水、利水、環境等に関する学識経験者、有識者及び関係団体の代表の意見を聴くため」と書いてあるはずである。承諾された多くの委員は河川法の条文など読んだことのない方々であろう。読んでいたとしてもたぶんチンプンカンプンだったと思う。前委員会で議論した責任もあって真面目に要請に応えたのだろうが、河川法を熟知しているはずの河川工学の諸先生もこれに応じたのはいかがなものか。「工学バカ」と指弾されたときどう言い訳するのだろうか。地元新聞の編集長なる方もおられる。社会的常識を体現されているはずなのだが……。
このような問題を抱えて、流域委員会を規定のまま開催するのはどう見てもおかしい。誰もこうしたことを知らなければ「アトの祭り」で済ますことが出来るかもしれないが、今や問題が明らかになったのである。県河川課はどう言い訳をするのか。どう委員の皆さんに説明されるのか。
冒頭書いたように「重大な河川法からの逸脱!
なぜ石川県の河川課はこうもミスを重ね続けるのか? もはや「河川管理者」なる資格を喪失している!」
これが石川県河川課の実態である。雲の上に鎮座する知事は、こうしたことに気がついていないかも知れない。近く県知事に一言申し上げることにしたいと思うのだ。
(2003.11.25 渡辺寛
記)
補足
河川整備基本方針が決まっていないということは、河川整備の基本となる「計画高水」が決まっていないということである。
今日の夕刊紙に報道された金沢市議会経済企業常任委員会で、金沢市当局は犀川ダムに設定されている工業用水の水利権を石川県の要請によって見直す考え(返上)を示した。
この水利権が放棄され、貯留量が犀川に放流されるなら、河川維持流量に決定的な影響を与える。計画高水見直しは必至となる。
関連ファイル(辰巳ダムのページで次のコーナーをご覧ください)
《権利の上にあぐらをかく者/放置する者》
――あぐらをかく金沢市と無責任な石川県の考察――
●金沢市の工業用水は遊休水利権だった
●中 登史紀さんが住民監査請求(中氏のHPへ)
●稚拙な決定=「金沢市監査委員会決定」を読む
●犀川上流に辰巳ダム1個分が空いている!!
●近く金沢市に「遊休水利権保持は違法」の監査請求予定
《工業用水問題、各地で訴訟に発展!》
●秋田県が工業用水訴訟で敗訴
●徳山ダム上流、岩屋ダムで遊休水利権住民訴訟
●金沢市議会で工業用水質疑
●工業用水問題考察資料
●金沢市、新年度の工業団地造成を断念
付記
今回の流域委員会を見ていて、そういえば、昔(昭和55年)県文化財保護審査会でも同じような話があったなあ、と思い出した。
当時、審査会の委員のみなさんは、辰巳用水の文化財的価値について議論すればよかったのに、県河川課の辰巳ダムの是非論に巻き込まれ、「辰巳用水破壊やむなし」の結論を出してしまった歴史的な苦い経験がある。この愚を繰り返してはならない。そう思うのだ。
この話は、以下のファイルに載せてある。
「情報公開ものがたり」
「辰巳ダムゴーサインは幻だった」
「審議経過をみるとよくわかる!(年表から見えてくる)」
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