不登校について

1,不登校とは
 文部科学省の定義によれば、「心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により年間30日以上欠席した者のうち、 登校しない、あるいはしたくともできない状況にある者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」だという。

2,現状(平成13年度)
小学生 2万6,511人(275人に1人、0,36%)
中学生 11万2,211人(36人に1人、2,81%)
合計   13万8,722人、 1,2%

 全公立小・中学校中、平成3年に39,3%だったのが、平成13年には57,6%と増加しており、
半数以上の学校に不登校生徒が在籍していることになっている。

 小学6年〜中学1年と中学1年〜2年に最も大きく増加していることが分かる。
 私自身のスクールカウンセラーとしての経験では、夏休み明けの新学期に多発する印象がある。

3,不登校になったきっかけ
 「学校生活に起因」  36,2%
 「家庭生活に起因」  19,1%
 「本人の問題に起因」 35,0%
   その中でも、
   「本人の問題に起因」 28,6% 「友人関係をめぐる問題」 19,7%
   「親子関係の問題に起因」が9,7%
    そのうち、 中学生の場合は、
    「学校生活に起因」の割合が最も高く、「本人の問題」がそれに続いている。

4,不登校の関連で指摘される諸問題
  学習障害(LD)や注意欠陥/多動性障害(ADHD)等のため人間関係がうまくもてず、学習のつまづきのために不登校へ至るケースがある。
  また、保護者による虐待の問題は、近年深刻の度合いを増している。

5,高校中退者・留年者
  朝日新聞(2002年12月25日・朝刊)によると、公立校・私立校を合わせて計10万4、894人で、 在籍者に占める割合(中退率)は、2,6%にのぼっており、中退者全体の52,9% が1年生であった。 留年者数は計2万5、627人で、在籍者の0,6%であった。

6,自殺者
 同じく同紙によると、公立の小、中、高校で134人(前年度より13人減)が自殺。原因がハッキリしないものが多いが、 統計上は父母による叱責や家庭不和、精神障害が目立つ。




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 対人恐怖症について

 この神経症は、欧米には少なく、日本において顕著にみられるものだ、というのは専門家の一致した見解である。
 対人恐怖症とは、まさに「対人」恐怖であり、対人関係の病なのである。対人恐怖症者は、自分自身を信頼できず、自己主張が苦手である。その特徴として、殆どのひとが思春期前後に親友を持ったことがない、ということである。
 「青年期」(笠原 嘉著・中公新書)には、対人恐怖症の方が苦手とする対人状況が次のように記されている。

1、まず、「半知り」の人たちが苦手である。たとえば、級友、上下級生、先生方、近所の人たち、親戚の人たちなど。親とか兄弟といった親しい人間の前では、赤面やどもりはない。また、それとは逆に都会の雑踏にいるひとたちや見も知らぬひとには緊張も不安も感じない。同一人物でも初対面時はまだ良いが、慣れてくるときに二度目にあうときからがいけない。恐怖を覚えるようになるのである。

2,「半知り」の人たちの中でも年寄りとか赤ん坊は気にならない。また、年の離れた大人の人たちなども問題はない。だいたい似た年齢の人たちが苦手である。異性は特に苦手だが、同性でも同年齢だと緊張してしまう。

3,小人数のグループにいるだけで息が詰まる。同年輩の人で数人から十数人くらいが円座になるともう駄目だ。ちょうどクラブの集まりとか修学旅行などの班がそれにあたる。意外と大集団を前に話したりするのは平気なのに。

4,二人のときは良いが、三人になると不安になる。二人だけなら異性とでも話せたりするが、三人になると、同性だけでも緊張してしまう。二人はまだ社会ではないが、三人集まると社会ができる。二人でいるところにもう一人加わるだけで耐えられなくなる。相手が誰であるかは関係ない。その人にどう思われるかが気になってしまうのである。つまり、「三者関係」に弱い。 「三人状況」とは人間社会の原動的単位構成なのである。

5,対人恐怖の人は、漫然たる雑談的関係を避ける傾向がある。特に決まった話題がない雑談では、間がもてない。「間は魔」になってしまうのだ。そのため、時に対人恐怖の人は、間をあけないようにいたずらに饒舌に振る舞うことがある。「おしゃべりの対人恐怖」というパラドックスに陥ってしまうことになる。間が持てるということは何らかの成長とパラレルだと言って良いだろう。患者は、病状が良くなるに連れて、治療者の前で沈黙できるようになる。沈黙の末に苦心して選んだあとに語られる言葉だけが治療の場面で意味を持つことは良く知られている。




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 神経衰弱状態をめぐって

 学生時代に読んだ西丸四方著「精神医学入門」(南山堂)を久しぶりに開いてみた。初版は1949年になっているが、1972年発行の増訂第17版である。当時、自ら朱線を引いた所を抜粋してみよう。

1,実際何の病気もないのに、あるいはささいな故障を大げさに考えて、何か重大な病気にかかっているのではないかと心配するのは、心気(Hypochondoria)という。

2,見るのも、聞くのもぴんとこない、人を見るとヴェールでも通したようで、平べったく絵のように生気がない。仕事をしても現にしているという実感がない。ここに私が今座っていてもそれが近く感じられず、他人が座っているようだ。たましいがないようだ。話しをしても心がなく口が動いているだけだ。離人(depersonalization)という。

3,これから述べる「強迫」(Zwang)は、道を歩いていると細長いゴミが気になり、いちいち拾ってそれが何であるかを確かめないと気が済まない。つぎからつぎへとゴミを確かめなければならないので道を歩いていても苦しいが、確かめずに見過ごすことはできない。夜、寝てから戸の鍵を掛けなかったのではと心配になり、さっき掛けたことはちゃんと知っているが、 もしかしたら掛けていなかったのではないかと心配を抑えることができない。それで、起きて見に行く。ちゃんと掛かっている。床にはいるとまた、鍵を掛けていなかったのではないかと心配にとりつかれる。どうにもならない。また見に行く。 こういうことを20回も30回も繰り返すので、寝付けなくて困る。

4,汽車(今日なら飛行機と言うところだが、当時はまだ汽車の時代であった)に乗ろうとすると恐ろしい。何も恐ろしいことはないことは知っていながら恐ろしさを抑えられない。仕方がないから乗らずに歩いていく。恐怖(phobia)である。(それには、閉所恐怖、高所恐怖、広場恐怖などがある。)

 以上、簡単に述べたこれらの諸症状をもって来所される方が増えているので、参考までに学生時代のテキストから抜き出しておいた。




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 アルコール依存症について

 この病と私のつきあいは長い。かつて24年間の病院臨床を通して、アルコール依存症者と関わってきたが今でも愛知県春日井断酒会の顧問を引き受けている。これについて書き出すと紙面がいくらあっても足りないくらいであるが、ここには豆知識だけを記載しておく。

1,世の中に大酒飲みは多いにもかかわらず、この病は本人よりも家族や周囲の人が困って相談に来ることが多いのである。 周囲がいくらたしなめても効果はないどころか逆効果になることが少なくない。ここには中村希明氏が紹介しているジョンス・ホピキンス大学のアル中自己診断法カードを紹介しておく。自己チェックの参考にしてもらえればと思う。(新・アルコール症読本・講談社より)
 
 @酒を飲んで仕事をサボることがある。
 A飲んで家庭に波風が立つことがある。
 B飲んで人から不評をかう。
 C飲んだ後で深く後悔する。
 D毎日、同じ時間に飲みたくなる。
 E飲まないと眠れない。
 F翌朝また飲みたくなる。
 G外で一人でも飲む。
 H飲むと家庭のことに無関心になる。
 I酒のため経済的危機に陥ったことがある。
 J怖じ気を除くために飲む。
 K自信を付けるために飲む。
 L不安から逃れるために飲む。
 M飲むと友人を見下したくなる。
 N飲むと仕事の能率がひどく下がる。
 O飲むと向上心がなくなってしまう。
 P飲んで完全に気を失ってしまったことがある。
 Q飲んで仕事上のミスをしたことがある。
 R飲んで医者にかかったことがある。
 S酒のために病院へ入院したことがある。

  各項目に当てはまる所に○を付けて貰うわけであるが、4から6つの○がついたらあなたは立派なアルコール依存症です。あなたは大丈夫でしょうか?本人が否定した場合でも家族からみてどうでしょうか?不安な方は専門医を受診してみてください。医者へ行くのに抵抗がある方は当研修所に相談くださっても構いません。来所の際は、あらかじめ電話で予約した上で、できるだけ家族同伴でお越しください。

2,家族同伴には訳がある
 
 多くの場合、本人の酒害に家族も巻き込まれている。そこで、まず家族の回復が必要だからである。詳しくは専門書(たとえば、斉藤学氏の著作が分かりやすく参考になろう)家族に対しての助言をいくつか思い付くまま挙げておこう。

 @本人の飲酒を止めさせるために、なだめたり、脅したり、懇願したりはしない。
 Aそこで、本人を監視したり、干渉的になってはいけない。
 Bさらに、これは非常に大切なことであるが、本人の不始末を家族が代わって引き受けないこと、つまり、
  冷たいように感じるかも知れないが、責任は本人にとらせる。
 C言ったことは実行するし、できないことは言わない。
 D本人の暴力に屈してはいけない。必要ならば、近所の協力や警察に助けを求める、など。

 以上、アルコール依存症についての家族の対処などの豆知識を述べたが、これは、摂食障害、ギャンブル依存症、薬物依存症、買い物依存症、異性依存症など、嗜癖と呼ばれる問題行動についてもある程度共通したことが言える。




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