タロットの歴史

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現代の遊技カードは、中国に起源を発します。

諸説として、インドの大君、アラブ人の航海士の気晴らし、ジプシーの発明等もありますが、学者の間では疑いがありません。そもそも紙自体が、中国から伝来したものだからです。

現物として、11世紀まで確実にさかのぼれますし、デザイン的には唐(六一八〜九〇八年)の紙幣を元にしているようです。

 

 

タロット・カードの発明は、長らく12世紀末に創設された巡礼保護を目的とするテンプル騎士団の功とされていました。

ですが、確証はありません。

 

 エジプトの「王道」を意味するTa−roshからきたとする説

 ラテン語の誕生から死を意味する「輪」に結びつける説

 「法」を意味するヘブライ語のTaroshからの派生したとして、カバラの神秘体系と結びつける説

 

 等がありますが、どれも曖昧、いい加減なものです。

 

 

ともあれタロットのデザインが、西欧で完成されたことは間違えありません。

しかしカードを注意深く分析すると、色々な思想や既存のカードの影響を色濃く受けて成立したことが判ります。

 

4つの組み札(1〜10)は、中国に端を発したもの。

 

4枚の絵札(11〜14)のデザインは、第一次十字軍(11世紀末)に伝来したチェス・ゲームの人物から取られたもの。

 

大アルカナ(22枚)は、一番最後に成立。文献では、1415年、若きミラノ公のために手書きのパックが作られたの皓歯に、名高き北イタリアの名家ヴィスコンティ家、エステ家、スフォルツァ家のために続々と作られています。

 

ちなみに現存する最古の大アルカナは、パリの国立図書館にあります。

「仏シャルルY世のために1392年作られた」とされてますが、これは眉唾。凝った衣装、芸術様式から、もっと新しい時代に作られたものと判ります。

 

結局、「14世紀から15世紀にかけて北イタリアのどこかで、東洋からもたらされたカードに霊感を受けた職人が作成した」という説が、可能性がもっとも高い、一番妥当であると思われます。

なおイタリアでは、オリジナルの78枚からなるパックは、ヴェネチアン(ピエモンテ)パックと呼ばれます。他に97枚のカードからなるフィレンツェ・パック、62枚のカードからなるボローニャ・パックがあります。

 

以後、タロットのカードを、「アルカナ(秘密の教え)」、アルカナのセットを、「デッキ」と呼称します。

 

 

 

「ウェイト版アルカナについて」

タロットの解説、解釈は、もっともポピュラーなウェイト(ライダー)版、The Rider Waite Tarot Deckに準拠しました。

占いの中で使われている大アルカナ、小アルカナ4枚の絵札の図柄は、和風テイストを盛り込んだため、オリジナル部分が多く、組み札は、シンボルと数字の簡略版です。

しかし欧米でタロットと言えば、たいていの人がウェイト版をイメージします。

 

ウェイト版は、アーサー・エドワード・ウェイト師の指導のもと、女流イラストレーター、パメラ・コールマン・スミス女史が、約5年の歳月をかけて完成させました(パメラ女史は、浮世絵の影響を強く受け、今日で言うころの少女漫画風の画風を好んだそうです)。

 

実際に1909年以後、市販されているアルカナ、デッキのほとんどは、ウェイト版のバリェーションになります。

なぜならウェイト版は、伝統的な絵柄を守りながら、各地で流布していたタロットを比較検討。絵柄の意味や作図ルールを集大成し、78枚すべてに象徴的な、深い理解と思想を具現した絵を施したものだからです。

 

ただし、ここに至るまでタロットは、さまざまな思想や宗教の影響を受けてきました。

キリスト教はもちろんのこと、神の神秘的直感、霊知を求めたギリシャ末期のグノーシズム、イスラム教、ケルト神話、古代ペルシャの神話まで取り込んでいます。

 

ウェイト版のアルカナの解釈は、特に古代ペルシャの予言者ザラシュストラに注目しています。専門的には「天圏流出論」という理論的な骨格を持ち、「光の神学」「生命の木」の図式で知られるカバラ神秘主義の影響を強く受けているからです。

 

ザラシュストラは、オカルト、神秘主義の歴史の中で重要な分岐点に立つ人物で、「闇の領域にある魂を光の領域へ」、すなわち呪術、妖術、邪教から「契約の宗教」とされるユダヤ、キリスト、イスラム教への流れを作った大予言者である、とされています。

 

ウェイト版は、この予言者ザラシュストラを狂言回しに、

 

 大アルカナ「ミトラ伝説」

 

4元素を象徴する小アルカナでは、

 

火(棒、ワンド)のアルカナ    「若きアレクサンダー大王の東方遠征の物語」

水(聖杯、カップ)のアルカナ   「真実の愛を求める王子の物語」

風(剣、ソード)のアルカナ    「革命運動に身を投じた若き女性闘士の物語」

地(金貨、ペンタクルス)のアルカナ「老城主が町の娘に語る人生の物語」

 

を語らせています。

 

参考文献

「タロット」 アルフレッド・ダグラス著 栂正行訳 河出書房新社 1995年

「タロット大辞典」 東條真人著 国書刊行会 1994年

 

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