酔っ払い問答

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電車の中での出来事。

途中で酔っ払いの男性が乗ってきて、私の隣に座りました。
しばらくすると、大きな声で何事かしゃべり出しました。
「ちょっとコワイ」と思いましたが、別に何をされたわけでもないのにここで立ち上がるのは失礼にあたるのだろうか…でも何かあってからでは遅いし…いや気の回しすぎ…などともんもんと考えて、その場を動けずにいました。
酔っ払い氏は、「俺だって横浜知ってるんだよ」とか、「嫁にするなら豆腐屋の娘…色は白いが水臭い」などと言っていました。
(「色は白いが水臭い」…私のことかしら)

根岸を過ぎたとき、酔っ払い氏は「あっ、次どこですか!?」と、前に立っていた会社員風の男性(50歳代?)に尋ねました。
するとその人は、「次は磯子(いそご)、磯子〜」と車内放送の真似で答えるのです。
(な、何事…!?)
酔っ払い氏も変だけど、会社員氏も変…!この二人、グル??
一瞬、懐かしの「ドッキリカメラ」かと思いましたがそうではなく、単に会社員氏も上機嫌だっただけのようです。
酔っ払い氏は、「磯子!?行き過ぎちまった!!」と大声を上げながら立ち上がりました。
すると会社員氏、「帰りをいそごうってなもんだよ」。
(………!!!)
凍り付くナキウサギ。
酔っ払い氏が「えぇ?」と聞き返すと、さらに
「帰りをいそごうって」。
繰り返さなくっていいですって!!
(他の乗客の皆さんはどんな反応をしているんだろう…)
ものすごく気になりましたが、顔を上げる勇気がありませんでした。
平静を装うために、文庫本を開いているものの、実は先ほどから一行も進んでいません。
私は間近で起こった出来事にただただ呆然としていました。

フラフラしながら自分の駅に降りると、後ろから体当たりしてくる人がいました。 振り返ると、地元の友達でした。
「なんか今、笑ってなかった?」と言うので、これまでのいきさつを話しました。
すると「"次はどこ"って聞かれたときに、なんで、"新大阪"って言わなかった!?」と責められました。
世の中、妙な人は多いですが、上には上がいるものです。

-以上-

(1999.10.25.)


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