中国の青島(ちんたお)に友人と行ってきました。
2000.08.11〜2000.08.15
お土産を買おうと街に出た。
途中、友人がフィルムを買うためにカメラ屋さんに入った。
会計のために100元札を出すと、店員さんは、札を電灯に透かしたり、引っ張ったりしたと、念入りに調べていた。さらに、その札を手に他の店員と何やら相談している。
私達はいやな予感がして顔を見合わせた。
戻ってきた店員は「これは受け取れない」というふうに、友人にその100元札を戻してきた。
私達は硬直した。「まさか、偽札!?」。
「そんな、ホテルで両替したんだから…」偽札のはずがない、と私が言い終わらないうちに、友人はポケットから別の100元札を取り出して、店員に渡した。
「コワいよ〜。こんなところで公安呼ばれて、外国人が偽札持ってたなんて言われたら、一発でしょっぴかれる」と小声で言った。
新しい100元札は合格だったようで、私達は無事店を出ることができた。
その後、別の場所でその100元札を使ったが、特にとがめられることもなかった。確かに色合いが少し違ったようだが…単に古くなって変色しただけだと思う。
最近できたばかりという大きなデパート「PARKSON」でお土産を買いまくる(といってもたかがしれているが)。 私は例の通り文房具売り場で大はしゃぎして、友達をあきれさせた。
ウェルカムドリンクの券を使ってしまおうということで、ホテル内の「アフリカバー」という店に入った。
聞いてみると、無料になるのは一人だけだと言う。けちだなあと思いながらメニューを見ると、コーヒーが一杯20元もする。300円足らずだが、中国の金銭感覚に慣れてしまったので、ものすごく高く思える。だって、ラーメンが5杯も食べられるじゃん。
高価なコーヒーを飲み終え、レジに行くと、店員が友人に何か言ってきた。
友人がトホホ顔で説明してくれた。「コーヒーいくらかわかんないんだってよ。『もう行くの?』って聞くから、『もう行くよ』って言ったんだけど」。そんな…。
それから店員同士でああでもないこうでもないと話し合ったあと、ようやくメニューに書いてあることに気づいたのか、メニューを持ってきて会計を済ますことができた。
「いやしかし、これが中国だよ。それにしても、こんな高級ホテルで『中国』を体感できるとは思わなかった」。
その後、トイレで再び『中国』を体感することができた。
個室のドアを普通に開けようとしたら、中から「アー!」という声が。ホテル内のトイレだからと油断していたが、この人はカギをかけずに入っていたようだ。思わず「し失礼しました!!」と思いっきり日本語で謝ってしまった。未遂だったけど。
ドアが閉まっていた場合、「使用中」になっていなくても、「そ〜っ」と開けるように気をつけよう。
また、奇妙に思ったのはホテルの従業員が皆「レスリー・チャン」みたいなイングリッシュネームだったことだ。
フロントの係員が「ジュリー・ワン」、掃除のお兄さんが「デイビッド・ジャン」喫茶店の店員が「アンナ・チョウ」といった調子だ。
中国ではこれも「いんたーなしょなる」なホテルの条件なのだろうか。
まあ、ここの従業員は美形ぞろいなのでさほど違和感がないが、高嶋正伸が「ジェフリー・アカガワ」だったり、石ノ森章太郎の息子が「アンドリュー・キタノ」とかだったら笑ってしまうと思う(失礼)。
最終日ということで、今夜は「豪華な夕食」を目指すことにした。
「豪華」と言ったら、やっぱり北京ダック。でも青島だから北京ダックはないかもしれない。
友人は私がものすごく北京ダックを食べたがっていることを知っているので、「どこかにあるはずだよ!探そう」と言ってくれた。私としては、青島での4日間が楽しかったので、もし北京ダックがなくてもそれはそれでいい、と思っていた。
しかし、日ごろの行いの良さといおうか。動物的勘といおうか。
私達が泊まっているホテルの前のレストランに、私は「何か」を感じた。「あの店はどうかな。目の前だし」。
入ってみると、なんだかご〜じゃすな雰囲気が漂っていて、「い、いいんすかねえ。あっしら庶民がこんなとこに…」と言う気持ちにさせられた。
「あっ、あったよ、北京ダック!!」友人が叫んだ。本当だ!!メニューにその名が。
また、魚や野菜などが並んでいて、材料を選んで注文することもできた。
私達は北京ダックのほかに、蒸し餃子、貝、ほうれん草の湯(たん=スープ)を注文した。
途中、覚えのないスープが運ばれてきたので、どうしようかと思ったが、北京ダックにもれなくついてくる品物だった。皮と身を取った骨の部分をスープにしたものである。そういえば、中華街でも北京ダックセットを注文すると、皮以外の部分をスープやチャーハンにしてくれる店があった。
北京ダックは本当においしかった。私のあまりの喜びように、友人が自分の分も少し分けてくれた。ありがとう。さすが、大人だなあ(1歳しか変わらない)。
日本なら北京ダック1枚が500円。青島では北京ダック1セットの他おなか一杯食べて86元(1500円もしない)だ。
その他の料理もすべておいしかった。中国、万歳!!
食事を終えて立ちあがると、小姐がレジに案内してくれた。
小姐は、私達に日本人かと尋ねた。
友人がそうだと答えると、その人は、「あなたの中国語はとても良い」と誉めてくれたとのこと。なんて温かい人だ…!!
「すごい嬉しい〜!!最後の夜にこんな嬉しいことがあるなんて!!ありがとう青島って感じ!!」友人は大感激だった。
ホテルとジャスコ前の露店商店街の間に広場のような空間がある。
そこでは、なぜか夜毎ダンスパーティーが行われている。
20代以降の男女が社交ダンスを踊るのだが、一体どういう集いなのだろう。ちなみに皆ダンスが特別上手というふうでもない。しかも、普段着だ。ダンス同好会などではなくて、その日の気分で飛び入り参加のように見える。朝の太極拳に対して、夜の社交ダンスなのだろうか。
見ているだけでかなり楽しい。
キメのポーズにこだわる男の人。
身長差がありすぎて、女性がぶらさがっている状態のペア。
勢い良く回転しすぎて、「どいて、どいて〜!!」と叫びながら突進していくペアもいる。
中にひときわ目を引く初老の男性があった。
うまい。もうそこだけ空気が違うのだ。ダンス暦50年のベテランかもしれない。私は勝手に彼を王老子(わんらおし)と呼ぶことにした。
何曲か終わった後、王老子は休憩に入ってしまった。
すると、また別のダンスの達人が現れた。
首のあたりがのびたTシャツを着てめがねをかけている。彼を李老子(りらおし)と呼ぶことにした。
二人とも、小太り&頭髪のさみしくなったごくふつうのおじさんなのだが、踊る姿はとてもすてきだ。きっと、このへんではとても尊敬されている先生で、「青島の双璧」とか呼ばれているに違いない。
「一芸に秀でている人」に弱い私は、即刻「弟子入りしよう」と思った。
でも、日本人だから、簡単には許してくれないだろう。家の前で1週間くらい座り込もうか。それとも、やはり三国志にならって「三顧の礼」かな。練習の暁にはこの広場で「青島ダンス界デビゥ」…。
私の頭の中がくだらない考えでいっぱいになったころ、李老子は自転車に乗ってお帰りになった。もちろん、道路を斜め横断して…。
うーん。まだまだ李老子の教えを請うレベルには達していないわ(←というか、習ったこともない)。日本に着いたら、成田の本屋で「ケイコとマナブ」を買って帰るわよ。
最後の夜に、とてもよいものを見せてもらった、と友人と私は大満足でホテルに戻ったのだった。
友人は日本に帰らなくてはならないことをものすごく悲しんでいた。
「帰りたくないよ〜」とベッドの上で暴れ出した。
手のつけようがないので、そっとしておこう。
「ここに残る。一人で日本に帰って」とか、言い出しかねない…。
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