中国の青島(ちんたお)に友人と行ってきました。
2000.08.11〜2000.08.15
目を覚ますと、友人は既に起きていて、窓辺で青島の街を見下ろしながら煙草を吸っていた。
天気はどんより曇り空だった。
「青島も泣いている…」。
思わず笑ったが、友人は笑いを取るつもりはなかったらしい。
名残惜しいので、青島の街を散歩することにする。
外はむしむしとしていた。
青島はツアーで来たら2、3日でまわってしまうようなところだと思う。でも、のんびり見て歩くと、1週間あっても足りない。
バスが普及していて、とても交通の便が良かった。タクシーを使っていたら、動きにくいし、結構な出費になっていただろう。
太極拳や剣の舞をやっているグループがいる。
壁に赤い文字を書いているおじさんがいる。映画で、スローガンを書く場面などあるが、実際に目にするとは。でもあまり上手な字ではなかった。
建設中の建物がいたるところにある。どれも大規模だ。このうちのいくつかは完成を見ないのではないか。そのくらい、廃墟も多かった。
11:00、ロビー集合。空港に送ってもらうため、行きと同じメンバーが集合するはずだった。
私達は10分前にはロビーのソファに座って待っていた。チェックアウトも済ませてある。典型的な「早めに行動する日本人」だ。
だが、他の人たちは時間になっても、5分過ぎても、降りてくる様子はなかった。なぜ?異国だからこそ、日本人の心意気を見せてほしかった。
ちなみに、迎えのガイドさんもバスも現れなかった。まあ、中国だから…。
15分くらい過ぎたころだろうか。行きと同じガイドさんが「おはようございま〜す」とやってきた。「バスがまだ来ていないんですよ。しばらくお待ちください」。間に合うのか、そんなんで。
日本人の一行もスーツケースを引っ張ってやってきた。これからチェックアウトらしい。
「いやしかし、なっちゃんが中国平気だったのは驚きだよ」。
そういう友人も、日本ではけっこう几帳面な人だ。しかし中国で1年も生活していたのだ。
最初はカルチャーショックがあったらしい。お風呂の修理を依頼しても、「明日行く」と言われて1週間以上待たされたり…。
バスの中で、「青島はどうでした?」とガイドさんが話しかけてきた。「中国のどんなところが気に入りましたか」。
「どんなところ」??う〜ん。私達は二人とも考え込んでしまった。
「中国」といえば…「トイレがスゴイ」「おつりを投げる」「横入りする」「横断歩道が危ない」…思い浮かぶのはあんまりプラスでないイメージばかりだ。
でも二人ともけっして中国が嫌いなわけではない。むしろ、ちょっと中毒になりそうなほどなのだ。
たまに来るのが良いのかな。
普段、「〜すべき」「〜なければならない」という意識(たとえば、「時間前には集合すべき」)で生活しているので、中国の「てきとー」な感じが新鮮なのかもしれない。
ガイドさんにはうまく伝えられそうになかったので、とりあえず、「歴史があるところです」と答えておいた。
しかし、今の日本に暮らしているから中国を新鮮と感じるが、一昔前は日本も同じようなものだったらしい。
おつりを投げて渡したり、無愛想だったり、横入りしたり。かつての日本でも普通のことだったのだ。だから中国のことをとやかく言うことはない(とやかく言っていないけど)。
飛行機は何度乗っても緊張する。
「行ったは良いけど、阿倍仲麻呂じゃあね」と私が振ると、友人は「帰れても鑑真とかね」。
私は常に手許に筆記用具を用意している。万一に備えているのだ。飛行機が離陸するときは「今度こそ死ぬかもしれないな…まあ、なかなか楽しい人生だった」と毎回、しみじみしてしまう。
※阿倍仲麻呂…遣唐使。何度か帰国を試みるが、航海に失敗し、異国の地で果てる。
※鑑真…唐から日本にやってきた僧。遭難して失明した。
数日ぶりの日本だ。
友人は、「あああ〜帰ってきちゃった」と悲痛な声をあげていた。
「まあまあ…中国が恋しくなったら、空港に来れば?『ふるさとのなまりなつかし』で…」と慰める。
とりあえず、空港内の喫茶店でお茶をした。
友人は中国で買った煙草を吸っている。昨日も今朝も同じ物を吸っていたが、今朝までは中国で、今は日本だというのが不思議だ。
友人は青島空港で自分のお土産としてライターを買った。日本円にして600円もする。銀色の本体に竜が巻きついていて、火をつけると赤いランプがついた上、炎が2本あがるという代物だ。友人はこれに「竜ライター」という名前を付けて、帰国翌日から自慢してまわったそうだ。※「さむ〜い」とか言わないように!!
しばらく、ここ数日を振り返って話をした。
「次はさ、インドとか行ってみない?」と友人が言った。い、インド。旅行好きな人って絶対インド行きたがるんだから。「う〜ん。インドは…きびしいな」ことばを濁していると、さらに。
「じゃあさ、チベットとかは?」どうしてそう仏に近づきたがるのか、友よ。「一緒に後世を祈ろうよ!!」とまで言う。「でも、チベットって小乗でしょ。女性は成仏できないんじゃないの。それに私お金持ちじゃないし」。ちょっと話を変えてみたが、「いや、今は女性もOKらしいよ」。うう〜ん。OKと言われても…。「空気薄そうだし、やめとく。私には中国のトイレが限界」と話を打ち切った。
友人は中国の果ての砂漠地方も旅している。けっこうハードな旅に慣れているのだ。体力のない私がついていくのはとても無理だ。
それにしても今回の旅行、友人には本当に何から何までお世話になった。私が御礼を言うと、友人は、「北京ダックが食べたくなったら、いつでも声をかけて!」と力強く言った。次は台湾へも行きたいなあ。
私達は近い再会を約して別れ、それぞれ京急ライナーとリムジンバスの乗り場へ向かった。
〜おしまい〜
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