北海道(白老・阿寒・知床・網走・層雲峡)初秋の自然満喫紀行

秋の北海道を訪ねました。白老・阿寒・知床・網走・層雲峡と、あちこち回りました。

2005.09.17.〜2005.09.21

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内地から脱出

飛行機に一人で乗るのは久しぶりだ。
前もって「駅すぱあと」で調べておいたとおりの電車に乗り、羽田空港に一時間前に到着する。

ANAカードで自動チェックインしたあと、Mちゃん宅へのお土産を探す。いろいろあって迷うなぁ。
ぐるぐる歩き回った末、鎌倉の和菓子屋さんのお菓子にした。十五夜にあわせて、断面図を月に見立てた栗入り羊羹とウサギ型のおまんじゅう、Mちゃんと熊本の葛料理の店に行ったことを思い出して、葛きりを買った。それと、最初中華まんをリクエストされていたけど入手できなかったので、崎陽軒のシウマイにした。

9:00過ぎ、荷物の預入れに向かう。
けっこう列が長い!しかも進みが遅い。いつのまにか、搭乗10分前になっている。近くにいた係員に、「あの、9:30の飛行機に乗るんですが」と言うと、相手は驚いた様子で「その便の預かりは終了しています!荷物を持ったまま搭乗口へ向かってください」と言う。ひー、やっぱり?連休で混んでいるのだから、もっと早く並ぶべきだった。
慌てて手荷物検査を通過する。搭乗口がけっこう遠くて、小走りで向かった。サテライトでなくてよかった。離陸時間数分前で、搭乗も最終案内となっていた。小心者でいつも早めに行動している私なのに…こんなに慌てたのは初めてだよ。

機内は左右3列中央4列で、私は左側の3列の通路側に座った。トイレに行きやすいよう、あらかじめネットで座席しておいたのだ。
右側の3列のどこかで小さい子どもか赤ん坊の泣いている声がする。そういえば、ネット予約するときに赤ちゃん連れの席のマークがあり、その周辺は若干空いていた。なるほど、赤ん坊の泣き声がこれだけ大きいものなら避けるのも頷ける。親御さんは大変とは思うが、やはり近くに座ったらキツかったかもしれない。

いつものようにコンソメスープを飲んだり、備え付けの雑誌をめくったりしているうちに、新千歳空港に到着した。やー、早い。

ヘロヘロと到着口から出てきて、人の多さに驚く。そういえば千歳は久しぶりだ。広くて人が多いのをうっかり忘れていて、細かい待ち合わせ場所を決めていなかった。まぁ、外国ではないので心配はあるまい。
うろうろしていたら、トイレから出てきたMちゃんに会えた。

千歳空港のエスカレーターの手すりに、白い恋人の広告が張ってあった。

エスカレーター 白い恋人の手すり

先にお土産を買っておいた方が良いと言われ、お土産を物色するが、お店が多すぎて何がなにやらわからない。やはりすぐには決められないので、帰りに購入することにした。
中央の広場ではロシア物産展が開かれていて、心ひかれた。

ウトナイ湖でししゃも寿司

空港の駐車場はさすがに広い。
敷地に空港からの屋根つき通路が張り出しており、所々に出入り口がある。自分がどの出入り口から入ったかわかるよう動物のマークがついているのだが、これが外側にしかなく、あまり用をなしていない。

お昼を食べるため、空港近くのウトナイ湖に寄った。
雨はまだぽつぽつと降っている。
あいにくの天気なので、湖面は灰色で波も高い。湖を取り囲むように遊歩道があるので、晴れた日に散歩したら気持ち良いだろう。

ウトナイ湖

お昼は友人がししゃも寿司を買ってきてくれていた。
この時期に鵡川で獲れる本ししゃもを使っているのだという。本ししゃもと聞いてびっくりした。一般にししゃもとして流通しているものは実はししゃもではなく、「カペリン」という別の魚なのだ。ししゃもが獲れるのは北海道の太平洋側だけで、日本固有の魚だ。多分、これまでの人生で本ししゃもは口にしていないのではないか。その中でも鵡川のししゃもは有名なのだとか。
ちなみに、ししゃもの名はアイヌ語から来ており、「葉っぱの魚」という意味だという説がある。漢字では「柳葉魚」と書く。

ししゃも寿司 ししゃも寿司

「これが本当のししゃもか…おいしい」
「でも、どんな味って表現するのは難しいね。鯵の押し寿司よりは淡白というか」と正直な感想を述べるMちゃん。
「そ、そうだね、青魚の味だね」
風が強く、ししゃも寿司のパッケージの一部が飛んでいきそうになる。
あまりに寒いので、食べて早々に車に戻った。

後日談:横浜高島屋の北海道物産展で鵡川の本ししゃもの干物を売っていたので、速攻購入。おいしかった。その後、伊豆の炭火焼の店でも「日高地方の本ししゃも」が出ていた。こんな、全国各地で「日高でしか獲れない本ししゃも」が出回っているのは不思議じゃないか?そんなにいっぱい獲れるの?

駐車場近くには、カナダでも見た裏側が白い葉を付けた木が植わっていた。なんという名前なのだろう。

裏が白い葉

白老町 ポロトコタン

本日のメインイベント、白老町にあるアイヌ民族博物館へ向かう。
礼文島の郷土資料でアイヌのことを読んだ後、川崎でアイヌの展示会を見たり本を何冊か読んで、アイヌ文化に興味を持ったのだ。
空はどんどん暗くなり、雨もポツポツからパラパラになってきた。左側の灰色の海が物悲しさを誘う。

向かいつつ気が付いたが、住所や地図をメモしてきていなかった!「備えあれば憂いなし」がキャッチフレーズの、いつも準備万端な私なのに…搭乗に遅れそうになったことといい、なんか抜けてる。
慌てた私だが、Mちゃんの「近くまで行けば表示があると思うよ〜」という言葉でちょっと落ち着いた。
白老に入ってから、「アイヌ民族博物館」はないが、「ポロトコタン」という表示があった。名前違うけど、アイヌ語なので、もしかしてそれか!?他に手がかりはないので、その表示の場所に向かってもらった。ポロトコタンに着くと、その近くに「アイヌ民族博物館」という表示があった。どうも、アイヌ民族博物館はポロトコタンの一部だったようだ。

車を降りると、駐車場付近に備え付けられているスピーカーから「ビヨンビヨンビヨン」という奇妙な音が聞こえる。これは一体?宇宙からの交信のような音だ。
そういえば…以前阿寒湖のアイヌコタンに行ったときもコタンの中でこの音がしていた。アイヌの楽器か。あ、もしかして、最近アイヌの本で読んだムックリという伝統楽器の音がこれなのか?ビヨン。
ポロトコタンの入り口より手前に、アイヌのお土産物屋さんが立ち並ぶ建物がある。じっくり見たいけど、後にしよう。

ポロトコタン(アイヌ語で「大きい村」の意)の入場料は大人750円。
入り口正面にはコタンエカシ(むらおさ)の巨大な像が立っている。

コタンエカシの像

左手にチセ(家)が何棟か並んでいる。でも、アイヌの本や写真で見たチセよりはだいぶ大きい。
あとで説明を聞いたところ、やはり実際のチセよりも大きく作られているそうだ。

チセ></p>
<p>
ポロトコタンでは、毎時15分より、コタンの解説と伝統舞踊の紹介をしてくれる。少し前に始まったところなので、解説が行われているチセに入った。<br>
中は教壇くらいの高さの小さな舞台と、木でできた長いベンチがあり、お客さんが大勢いて、立ち見もいた。ツアーの団体客が多いようだ。そして年齢層は高い。そんな客層に合わせてか、解説は綾小路きみまろを彷彿とさせる漫談調だ。ときおり、客いじりが入る。「ツアーに組み込まれてたから来ただけ」の客を飽きさせないためだろう。<br>
壁に飾られたイナウ(御幣)や女性の刺青の風習の話などのアイヌ文化の解説があった。大体本で読んで知っていた話が多かったが、刺青が辛くてムラを逃げ出した人もいた、というのには驚いた。本で読んだときは、アイヌの人は強くて刺青も耐えられるのか…と思ったけど、やっぱり人間、逃げる人もいると聞いて納得というか安心した。そりゃそうだよねー、私なら逃げるよ。
</p>
<p><IMG SRC= 解説員

そのあと、歌、ムックリの演奏、踊りなどが披露された。すごい。力強い。鶴の舞なんて、本当に鶴が踊っているようだし。独特の発声もあって面白い。
しかし、ツアーで来たらしい若者が大きい声で笑ったりチャチャを入れていて、非常に不愉快だった。どうして笑うのかわからない。興味がないなら出て行けばいいのに。そういえば、中学のとき、国語の時間に中国帰り先生が漢詩を中国語で読んでくれことがあるた。初めて聞く発音がおかしかったのか、多くの生徒、主に男子がそれを聞いて笑っていた。あの時代から精神的に進歩できなかったのがこの男というわけか…。でも、それを注意できない私も大きなことは言えない。

ムックリの演奏

解説が終わった後、出口でムックリが売られていた。あの、ビヨンビヨンと不思議な音のする竹でできた小さな楽器だ。ヒモを右手で引っ張って弁を振動させ、そこに息を吹きかけて演奏する。実演では、手の動きや息の吹きかけ方で実に様々な音を出していた。風の音や水の音など、自然の音を表現しているそうだ。 Mちゃんが売り子のお姉さんに「これって誰でもできるようになりますか?けっこう練習が必要ですか?」と聞くと、「誰でもできますよ、うまく演奏するには練習がいりますが。」と言うので、私はまんまと買ってしまった。

それから、並んでいるチセを一軒一軒覗く。
奥のチセでは女の人が木の皮を編んでいた。ござになるのだろうか。
昔のアイヌは樹木の皮をなめしたものを編んで着ていた。これをアットゥシと言い、日本語では厚司と書く。丈夫で、昔の本州の消防士さんはアイヌのアットゥシを真似た衣服を消防活動の際に着ていたそうだ。火にも強いのだろうか。

チセ内部、燭台 チセ内部、鮭燻製

刺繍体験を電話予約してあったので、どこでやるのかなとウロウロしていたら、さっきの漫談の解説員さんが声をかけてくれた。確認したところ、予約が入っていないと言う。えー、電話を受けた人は名前まで名乗っていたのに…。でも、その解説員さんのとりなしで、刺繍体験をさせてもらうことができた。
貸衣装など置いてあるチセで、若い女性の先生に教えてもらう。
黒いマタンプシ(鉢巻)にアイヌ模様を刺繍する。好きな色の糸を2本選ぶと言うことで、Mちゃんは紫とピンク、私は水色と黄色にした。
ところで私は家庭科が苦手だ。小学生の頃はフエルトで人形を作ったりして遊んでいたが、それ以降は学校以外で針と糸を持つことは稀だ。やってみて、まずは針に糸が通せない。そんなバカな。普段ボタンつけくらいはするので、そのくらいはできるのだが…太目の糸を使っているせいだろうか。結局、Mちゃんに通してもらった。そのあと、針の運び方など教えてもらうが、さっぱりわからない。Mちゃんは、最近はやっていないものの、子供のころから刺繍が趣味だったということですぐに理解し、「つまり、チェーンステッチですね」とガッテンしていた。あー、チェーンステッチね…名前は聞いてるよ。Mちゃんの助けを借りつつ、刺繍を進めた。
縫い始めや縫い終わり、曲がり角などで角(つの)のようにちょっととがった糸を縫いつけるのがアイヌ刺繍の特徴だと言う。この角が魔除けの役目になる。刺繍の文様は地域によって異なる。
チクチク縫いながら、先生役の女性と雑談。ポロトコタンに勤務している人はアイヌの人もいればそうでない人もいる、アイヌといっても混血が進んで純粋なアイヌとは限らない。アイヌ語を勉強しているけど、なかなかに難しい。など。
どこの国でも先住民族は差別される、という話も出た。MちゃんはNZに暮らしていたので、NZの先住民マオリがやはり差別されているという話をした。刺繍の先生によると、台湾にも少数民族がいるという。アイヌと他の国の少数民族との交流も盛んに行われているようだ。
今は、差別はないことになっているが、知識のない観光客から心無いことを言われることもあるようだった。コタンの解説のとき、解説員が「私達は今はこういったチセに住んでいないし、こんな服も着ていません。日本語上手ですね、なんて言われますけど…。みなさんと同じ生活をしているんですよ」と言っていたのを思い出す。
刺繍を習えたのも良かったが、実際にアイヌの文化に身近な人の話を聞けて、とても良かった。

大きな湖、ポロト 食糧倉庫

その後、博物館の展示を見る。コンパクトにまとまっていてわかりやすい。本で読んだり展示で見たイクパスイだが、実際人形が手にしているのを見て、こういう持ち方をするのかーと感心したり。
あっという間に閉館時間になってしまった。あと一時間ほしかったな…。
お土産屋も閉まっていて残念。

博物館内のトイレの男女の標識が、アイヌの衣装を着ていて可愛い。

トイレ標識女子 トイレ標識男子

友人宅のディナー

日が暮れ、雨も本格的になっている。
出るとき、空港で買った「もりもと」の「ゆきむしスフレ」を食べてみた。評判のお菓子だ。外側がスフレで、中にふわふわに軟らかいクリームチーズを挟んでいる。確かにおいしい。「マダムヨーコのチーズスフレ」に似ているな。あっちの方がチーズが程よい堅さで味が濃くて好みだね。

今日は苫小牧のMちゃんの家に泊めてもらうことになっている。
少し遅い時間になっているので、高速道路を使って帰った。
一般道に出ると、道端に何か白っぽいものがたくさん落ちている。なんだろう。 Mちゃんが寂しげに言う。「雨が降るとカエルが出て来るんだよ…。バカだよね、『ワーイ、雨だ雨だ♪』と喜んで出てきて車に轢かれちゃうんだから…」
…ヒー!!
そういえば、「白っぽいもの」の中にはピョコピョコ動いているのもある。改めて見ると、ここにもあそこにも!動いていないのはすでに息絶えているということか。あまりにもスゴい光景で、驚いた。

やがて前方に小さな建物が見え、その前の小道を右折してMちゃん宅へ進む。道の入り口が、数年の間に舗装されていた。
Mちゃん宅の前に車が止まると、家の玄関の明かりがぱっと灯った。おおっ。センサーで感知して点灯するのだろうか。文明の利器だ!と私が驚いていると、それを察したように、「自動じゃないのよ、母が気づいて電気をつけてくれたんだと思う」とMちゃんが言った。は…はは…そうだよね。
Mちゃんのお父さん、お母さんがわざわざ出迎えてくださる。お久しぶりです〜。
Mちゃんが「明日も早いし、先お風呂入ったら」と言ってくれたので、さっそくお借りする。お湯が並々張ってある!こぼさないようにこぼさないように。大小のタオルもお借りしたのだが、あまりにフカフカで、普段ヨレたタオルに慣れている私には濡らすのがもったいない感じだった…。

お風呂から出ると、Mちゃんの手製の夕食がテーブルに並んでいた。ひぇー。ホテルですか、ここは!?
カボチャの冷たいスープ、白身魚とホタテのお刺身と水菜とプチトマトのサラダ。インゲンの和え物。オーブンカツ。ジャガイモのバター煮。伊達巻。デザートはパウンドケーキにメロン。…一般家庭とは思えない豪華な夕食だ。満漢全席。我が家の食卓はこれまでも、そしてこれからもこんな状態になることはないだろう。
どれもおいしくて、ほとんど平らげたが、さすがにじゃがいもは全部は食べられなかった。悔しいです。
手作りのイクラの醤油漬けもいただいた。北海道ではこの時期、スーパーで筋子が売られている。それを買ってきて家庭で手作りするのだ。イクラ大好きな私の母に食べさせてあげたいよ…。白パン隠したハイジの気分だよ…。でも日持ちしないから仕方ないね。

食後、TVで「女王の教室」最終回を見る。こうなるだろうとは予想していたけど、あまりに安直な展開に脱力する。
Mちゃんがお風呂に入っている間、ネットで明日のドライブコースを確認する。コースを入れると走行距離と時間を割り出してくれるサイトがあって便利だ。明日は阿寒経由で屈斜路湖まで行くのだが、かなりかかるので高速道路を使ったほうが良さそうだ。
昔は夜もいつまでも寝ずにおしゃべりしていたが、ここ数年規則正しい生活をしているのと年齢のせいか、布団に入ったとたんにコトリと眠りに落ちてしまった。

〜つづく〜


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