伊豆大川温泉記

年末に伊豆の温泉に行きました。

2004.12.30〜2004.12.31

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たまには鈍行列車で

一年の疲れを洗い流しに行くぞ〜。

伊豆大川は伊豆熱川(バナナワニ園がある駅)の1つ手前にある。普段なら特急踊り子を利用するところだが、今回は温泉に入ることが目的で、観光はしないので、普通電車でのんびり行くことにした。

まずは東海道線で終点の熱海まで。車内はさほど混んでいない。ボックス席もまばらに空いており、そのうちの1つに座った。

茅ヶ崎あたりに差し掛かった頃だろうか、進行方向右側の窓に富士山が姿をあらわした。冬らしく、山肌の半分を雪で覆った堂々とした姿だ。
向かいに座った連れに「富士山だよ!」と教えると、連れは振り返って窓の外を見ようとしたが、その角度からは見えないようだった。先客の男性が窓際に座っていて、眠り込んで足を投げ出しているため、私と連れは通路側に向かい合わせで座っていた。私は進行方向、連れはその逆向きでしかも通路側なので外が見えない。あーもったいないなぁ。

そのうち富士山は見えなくなった。電車が進むにつれて建物が減っていき、緑が多くなってくる。やがて左側に海が見えてきた。
私達の斜め後ろの席にいた二人連れの男性の方が、やたらと津波の話をしていた。つい先日、インド洋スマトラ沖地震が起きたばかりなので、その影響だろうが、「このへんも津波が来たら危ないな」とかそんな話ばかりしていた。

連れが新聞を読み出したので、私も本を取り出した。今読んでいるのは「こんな夜更けにバナナかよ」という、筋ジストロフィー患者とボランティアの生活を記した本。だが、いつのまにか居眠りしてしまい、気がつけばもう熱海だった。
伊豆急行に乗り換えるためにホームを移動する。さすがにすごい人で、改札周辺は混雑している。伊豆急のホームに上がると、すでに電車が待っていた。タイミングが良い。しかも席に座れたし。

伊東でお昼

途中の伊東で下車して、お昼にした。
ネットで見て、行こうと思っていた店が見つからず…地図を持ってくれば良かった。まあいいや。
前にも入ったことのあるお寿司屋さん「海女屋」へ行った。チェーン店だが、ここはおいしい。地魚のお寿司のセットにしたら、私の好きな白身の魚がたくさん入っていた。連れは赤身の魚も入ったセットを注文していた。そのうちのエビだけ譲ってもらった。うぉお、甘くてムチムチしてて、なんたる美味…。店先に飾ってある花は板前さんが活けたらしい。生け花のできる板前…かっこいいなぁ。

親戚にお菓子でも贈ろうと、和菓子の「石舟庵」へ。伊豆に何店舗か支店のある、大きな店だ。伝統的な生菓子だけでなく、現代風の焼き菓子も置いてある。親戚の家にはお年寄りから小さい子までいるので、色々なお菓子が詰め合わせになったものを発送してもらった。サービス期間で送料が500円になっていてちょっと嬉しい。店内では座って自由にお茶を飲める一角もある。自分用に焼き菓子といちご大福を買った。

商店街は、年末ということもあって閉まっている店も多い。土産物屋さんは大体開いているけど。
干物のお店で乾燥わかめを売っているので、買おうかなと手にとった。しかし、産地の表示がない。うーん…この辺で採れたものなら500円出してもいいけど。中国産だったらスーパーで100円くらいで売ってるよな。乾燥わかめを手に、店頭で頭を抱える旅行者。結局、どっちかわからないので買うのはやめた。
伊豆名産の「ぐり茶」を買った。私はたいていお茶がなくなるタイミングで旅行に行き、その地域のお茶を買ってくるので、スーパーで買うことがほとんどない。ぐり茶にも色々種類があるが、私には廉価版で充分だろう。店の冷蔵ケースにはぐり茶のペットボトルまであった。初めて見たよ。

伊東駅に戻って電車を待つ。いい天気だ。風は冷たいが、日なたはポカポカしている。空には大きな雲が引き伸ばされた綿のように広がっている。

電車は河津にあるバガテル公園仕様の車両だった。伊豆急には色々なデザインの車両がある。窓の外には黄色い実をつけたミカン(か何か)の木をよく見かける。伊豆らしい光景だ。

バガデル仕様のシート

何もない伊豆大川

伊豆大川駅に到着。私達のほか、家族連れとカップルの計3組がこの駅で降りた。
ホームの中央にベンチがあり、背後の壁には雨避けの屋根がついていた。改札は、このホームを降りて線路を渡った向こう側にある。北鎌倉駅と同じ作りか。改札の手前にすでに駅員さんが立っていて、一人一人から切符を受け取る。なんかこういうのっていいね。昔は地元の駅でも改札に駅員さんがいたんだよなぁ。

駅を出ると、向かいに足湯のコーナーがあった。おおっ、時代に遅れを取っていませんな。
しかし、それ以外は何もない。斜め向かいにごく小さな商店があり、駅隣に公衆トイレがあり、その隣にどこかの宗教の案内所のようなものがあったが、他はない。畑があるだけ。
駅周辺の案内図を見ると、いくつか見るところ(わさび田とか)やコンビニなども書いてあるが、縮尺から考えると、ものすごく遠そうだ。コンビニが遠いのって、ちょっと心細い。お茶とお菓子買っておいてよかった。

伊豆大川駅

駅前から正面は傾斜地になっており、私達の泊まる「伊豆大川温泉ホテル」はこの坂の上にある。駅のホームからも見えたくらい、すぐ近くだ。畑の横の小さなアスファルトの坂道をテクテクと登って行く。

宿はできて間もないのかリフォームしたのか、きれいな建物だ。ロビーに係りの人が立っていて、チェックインの時間には少し早いが、部屋に案内してくれた。
このホテルでは自動販売機の飲み物は定価で販売していると言う。それは良心的。たいてい旅館では観光地価格で売っているのに。しかもこの宿は付近にコンビニもないからもうけ放題な感じもするが。部屋の冷蔵庫も自慢の湧き水が入っているのみで、ぼったくり冷蔵庫ではなかった。

あ…そういえば。大型ホテルならホテル内に売店があるが、ここはほんの小さなお土産コーナーがあるだけだ。それも手芸品が殆どで、お菓子など、品の良いのが3種類あるだけだった。職場のお土産、伊東で買っておけば良かったなぁ…。

温泉

このホテルには様々なタイプの部屋がある。専用露天風呂付きの部屋、普通の部屋でも和室・洋室・和洋室がある。
本当は和室が良かったが、あいにく空きがなかったので和洋室にした。部屋の半分はベッドの置いてあるカーペット敷きの洋室で、窓側の半分は畳敷きの和室になっている。中途半端かなと思ったけど、やはり完全洋室にしなくて良かった。六畳の畳スペースがあるだけで、ずいぶん寛げる。やっぱり日本人だなぁ。

窓の外には海が見える。景色はいいな。部屋の手入れも行き届いている。

お茶を入れ、いちご大福を食べて落ち着いた。いちご大福がかわいらしい形だったので写真を撮ろうと思っていたのに、忘れてパクパク食べてしまった。
TVをつけると、ちょうど紀宮様の婚約会見が始まるところだ。おめでとうございます〜。
何気なく携帯メールを確認すると、友達から「16時から『新撰組!』のアンコールで、山南さんの切腹の回が放送されるよ!」とのお知らせが入っていた。ありがとう、友よ!私が見たがっていたのを覚えていて、わざわざ知らせてくれたのだ。

「新撰組!」の前にお風呂へ。浴衣は1枚だが、タオルは大小とも3枚ずつ用意されていて嬉しい。その他のアメニティーグッズも一通り揃っている。スリッパは使い捨てのもので、これも嬉しい。浴場にマジックインキが置いてあり、自分の名前を書いておける。脱衣所に鍵つきロッカーはないので、貴重品はフロントに預けるか、部屋にあるセーフティボックスに入れるべし。

すでに先客が何人かいた。洗い場と浴場の湯船はあまり広くないが、混雑するほどせまくもない。
浴場の湯船は露天風呂とつながっており、湯船の中にあるドアを開けると、お湯につかったまま露天風呂に出られる。外に出て寒い思いをしなくてすむので、これは良いアイディアだと思った。
露天風呂は広々として快適だ。露天風呂とは言っても、小さい湯船が高い塀で囲まれて塀と空しか見えない、という所もあるが、ここはゆったりできる。お湯は透明で少し黄土色がかっている。サイトの情報によると源泉掛け流しだとか。私は温泉の良し悪しはわからないが、家のお風呂と違って身体の芯から温まるのは確かだ。
一応周りに囲いはあるが、山の上の建物(別荘とか保養所?)からは丸見えだろうな。冬だから人はいないかもしれないが。
露天風呂の外にはジャグジーの浴槽がデンと置かれており、そこにもちゃぽちゃぽ温泉が注がれている。この浴槽は小さめなので、定員は2人〜3人くらいだろう。先客が皆お風呂から上がったので、私も一人でジャグジー浴槽に入ってみた。スイッチを押したが、動かない。うーん、ジャグジーとしては使用されていないのだろうか。しかし、ここは露天風呂より浴槽の高さがある分、外の景色が見えるのが良い。
まだ夕暮れ前で、伊豆大島が間近に見える。海は空よりも青く、紺や赤紫や銀色に輝いて、その上を白地に赤いラインの入った船が進んでいく。

ごくらくごくらく。

お風呂から出て、脱衣所に置いてある湧き水を飲み干す。こうやって毎日体内の水分を循環させていたら、すごく健康になりそうだ。

宿の窓から

ごはんは努力賞

夕食をとるため、食事処へ向かう。
創作懐石料理のコースだったのだが、これはちょっと期待外れ。イヤ、マズイというわけではないが…。全体的に、色々工夫してる感じはあるんだけど、裏目に出ているというか。まず、柚子使いすぎ。香りの強い食材と一緒に柚子が入ってることもあって、殺し合いになっていた。揚げ物のあられ揚げも、食材が淡白な白身魚だったせいか、あらればかり目立って魚の味がよくわからなかった。太刀魚の焼いたのはおいしかった。
私はお湯よりご飯重視なので点が辛くなってしまったが、食い意地の張っていない人には問題ない範囲だし、店員の態度も丁寧だし、何しろ露天風呂が良いので、お風呂好きの人には良い宿と思う。

しばらくゴク休みした後、再びお風呂へ。星を見ながらの露天風呂も乙なもんですよ…って、曇ってて星出てない。
その代わり、山の上の建物に灯りが点っていた。うわ、あそこ無人じゃなかったんだ。

露天風呂でゆったりしたあと、またジャグジー浴槽につかる。大島の町の灯が黄色く輝いている。端に回転しているのは灯台の光だろう。光が小さくなり、消えたと思ったら、ぱっと大きな光になる。見ていると飽きない。

部屋に戻って、TVをつけた。ETVの「あしたをつかめ〜平成若者仕事図鑑」という番組を見るのだ。今日の内容は「しあわせなサラリーマンになる方法」というもの。あぁ…若者達の情熱が熱い。うんうん仕事頑張ろうね。

朝風呂

朝、6時半起床。お風呂の開始時間なので、さっそく行ってみる。男湯と女湯は一日ずつ交代制なので、入り口の表示をよく確認。
まだ誰も来ていないようだ。貸切状態なのは良いが、今なら誰か入ってきて私の後頭部を殴打して逃げることも可能な気がする…そんなことを考えながら頭を洗っていた。
露天風呂に入りながら日の出を待った。しかし、濃い青色の空にはまだ真っ白な月がかかっていて、日の出には時間がかかりそうだ。しかも、今日のお風呂は山に近い方で、海からは奥まっている。角度的に日の出は難しいかもしれない。
こちらにもジャグジー浴槽があったので、入った。何気なくジャグジーボタンを押したら、ガボガボと勢いよく泡を吹き出して、私は慌てた。こっちのジャグジーは機能してるんだ。先ほどまでシンと静まり返っていた露天にジャグジーの轟音が響き渡る。
だんだんと他のお客さんも入ってきた。私は露天風呂とジャグジーに交互に入ったが、日の昇る気配はない。だったら昨日、日没に合わせてお風呂に入っておけばよかったか。空の色は濃い青から青、水色へと移っていった。山の黒はまだ深く、その次に海の色が濃い。空の端は薄っすらと紅がさしてきていた。

もう限界なので部屋に戻る。日が上ったのはそのあとさらに時間が経ってからだったので、やはりタイミングが早過ぎたのだ。空はカラリと晴れ、太陽がまぶしい。今日は伊豆は雨、横浜は雪の予報が出ていたが、これから天気が悪くなるとは到底思えない明るさだ。

朝ご飯のため食事処へ入ると、干物の焼ける匂いが漂っていた。部屋食ならご飯をおひつに入れてくれるので好きなだけ食べられるが、食事処だと給仕してもらうので、ちょっと控えめになってしまう。そうは言っても、しっかり一度はお代わりしたけどねぇ。

ホテルのサイトからコーヒー無料券をプリントして持ってきていたので、ラウンジで一杯いただく。これも湧き水を使ったものだそう。その水って、どっから湧いているんだろう。
窓の外を見ると、黒猫がびっこを引きながら歩いている。空はどんより曇っていて寒そうだ。さっきはあんなに良い天気だったのに。これは、雨が降るというのも本当かもしれない。

雨から雪へ

チェックアウトの時には、雨が本格的に降り出していた。ホテルの人が「駅までお送りしましょうか」と声をかけてくれたが、駅まですぐそこなので、歩いていくことにした。

駅待合所の自販機

電車は比較的混んでいたが、隣の伊豆高原で何人か降りたため、座席に座れた。ゆっくりと熱海まで戻る。

乗り換えの熱海駅で下車してお昼にした。何度か行ったことのある、「和食処 こばやし」。人気店らしく、いつも混んでいて、ちょっと落ち着かない。繁盛しすぎるのも厄介なものだ。お魚はおいしい。生牡蠣は、もう一息。

熱海では、正月のかまぼこと湯葉巻きを買って帰った。あと、車内のおやつに「村上」という和菓子屋さんの「天の川」というおまんじゅうを2つだけ。これは上品な味だった。

東海道線に乗って、熱海を出る。車内はガラガラで、ボックス席に座った。雨が激しく振っている。うとうとして目を覚ましたら、大磯まで来ていた。外が真っ白で仰天した。この辺は雪が降っていたのか。
地元の駅に降り立ったら、とんでもない寒さだった。でもなんだか大晦日にふさわしい感じもする。

やはり冬の温泉は風情がある。次は梅の季節にでもでかけようと思った。

 

-以上-


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