友人を訪ねて、ニュージーランドへ遊びに行きました。
2002.04.28〜2002.05.04
私は春が嫌いだ。春の青い香りを感じると憂鬱になってしかたがない。その日もせっかくの日曜日というのに気持ちが沈んでいた。少し歩けば気持ちが晴れるかもしれないと思って、近所の図書館へ出かけた。いつもと違う本を見てみれば、気持ちが晴れるかもしれないと思って、子供の本のコーナーへ行ってみた。
図書館の、子供の本のコーナーで、「ビジュアル世界の国旗」をパラパラとめくってみたが、気持ちは晴れない。
この状態はまずい…何とか脱せねば。春のやわらかな日差しを窓越しに浴びつつ、どんどん落ち込んでいく自分をぼんやりと感じていた。
そうだ。ニュージーランド行こう。
唐突にそんな考えがひらめいた。
そうだそうだ。ニュージーランド行けばいいんだ。
そう思うと気持ちが軽くなり、さっそくニュージーランドのガイドブックを借りて家に戻ったのだった。
ところで、なぜニュージーランド(以下「NZ」)か。
実は、友達Mが昨年からワーキングホリデーでNZへ行っていて、現在はNZ中を旅行しているのだ。
先月も「遊びに来ない?」と誘われていたのだが、仕事が忙しくて行けなかった。
もうすぐ連休だし、(連休は旅行代金高いけど)ちょっと休みをプラスして行ってしまおう。
さっそくMに連絡を…と思ったが、前述の通りMは旅行中のため、定住していない。つまり連絡先がないのだ。携帯電話も持っていない。連絡方法はメールのみ。
まあいいや、メールしておけば、近々見てくれるだろう。そう思っていたら、翌日Mから電話が来た。以心伝心??
「Mちゃん、私NZに遊びに行くことにしたよ!」「え、ほんと?」
こうしてNZ行きは動き出した。
お盆は航空券が高い!それ以前に席が取れない!
NZへ直行便を飛ばしているのはJALとニュージーランド航空だけ。ネットで検索したが、行きの座席が空いていないのだ。韓国などを経由すれば座席も少しはあり、値段も安いかもしれないが、単身海外に行くのははじめての私にとって、いくらなんでもそれはオソロシイ。スウェーデン旅行のときもヘルシンキ経由だったが、それはしっかり者の妹あってのこと。
かといって、仕事の兼ね合いで旅行時期を動かすこともできず…。
ひたすら2社のサイトにアクセスしては空席状況を確認していた。旅行会社に相談して、関西空港経由ならあるかも…という話をすすめていたが、ある日、JALのページを見ていたら往復の座席が空いたタイミングがあった。
迷わず予約し、チケットを入手した。よかったよかった。
海外旅行は計画的に。
さあさあ、忙しい。未知なる国、NZへ出発だ。
会社の往復にはNZのガイドブックを読んでお勉強。これは図書館で借りた歴史や文化を学ぶためのもの。それとは別に、観光用のガイドブック「わがまま歩きのニュージーランド」も購入した。
友人がどこへ行きたいか聞いてくれたので、「NZで行きたいところ・やりたいことリスト」をメールで送っておいた。
飛行機の座席はあらかじめ通路側をお願いした。もちろん「エコノミー症候群」対策だ。私はかなりトイレが近いのだが、内側の席だとなかなかトイレに行きづらい。我慢しているうちに膀胱炎またはエコノミー症候群になること間違いなしだ。備えあれば憂いなし。これが私の座右の銘なのだ。
着るものはどうすればいいんだろう。NZは季節がちょうど反対だから、私が行く頃は秋。そんな微妙な季節に対応する服、持っていないな〜。友人の情報では「夏のカッコでも大丈夫!」とのことだったが、行く直前になって「やっぱり秋、秋の格好で!」と変更が入った。
友人は、NZの話もいろいろ聞かせてくれた。印象に残ったのは、お店に入ると、必ずといっていいほど「How are you?」と聞かれるということ。「最初は不思議だったけど、挨拶みたいなものね。聞かれた方もgoodとかfineとか自然に返せばいいだけで。」
それにしても、この友人と連絡をとる方法がないのが不安だ。
もし、何らかのアクシデントでどちらかが待ち合わせ場所に時間どおり着けなかったら?私は自力でホテルを探し、予約し、帰るまでの数日を一人で過ごさねばならない。コトバがまったく話せないのに。しかもしっかりしてないのに。
せめて、その前後だけ携帯電話を借りるか、どこかホテルに泊まって所在を明らかにしておいてくれと頼んでみたが、友人は根がおおらかな性格なので、「まあ、大丈夫だよ!」で終わってしまった。「備えあれば憂いなし」の私には胃の痛い状況だ。
心配してもしかたがない。私は楽しいプランだけ思い浮かべるようにして、懸案事項についてはなるべく考えないよう心がけた。
いよいよ旅行当日。おなじみ成田エクスプレス(NEX)に乗って、成田空港へ向かう。
あーまた一人でNEXに乗ってしまった。しかも、今回は成田に着いても一人、飛行機の中でも一人か。NZまで10時間、一人で退屈かな。
時々うとうとしながら、しかし緊張のためくつろいだ気持ちにはなれぬまま、成田空港へ到着。
さあ、いよいよ第1の関門だ(力入りすぎ?)。
1年ぶりの海外旅行なので、飛行機の乗り方を忘れている。それに前回はツアーだったし。とりあえず、カウンターに行くんだっけ?空港使用料っていつ払うんだっけ?カウンターってどこでもいいんだっけ?(←そんなはずはない)
かなり基本を忘れた状態でまずはJALのカウンターへ。
預け入れ荷物をはかりに載せると、5kg。けっこうあるなと思ったが、20kg超の荷物を複数持った人も少なくない。ま、私の場合は一週間だし。
空港には2時間前に到着したが、手続きや何やらで、あっという間に時間が過ぎた。手荷物検査も出国審査も問題なく、搭乗口へ向かった。
売店があったので、何か食べようかなと思ったが、ものすごく金額が高かったので、やめてしまった。
そうだ、旅立つ前に、親しい人に電話をかけておこう。これが最後になるかもしれない、と不吉な考えがよぎる。まずは家族へ。出掛けだというのに、ふだんどおりにイロイロ話してくる。イヤ、ちょっと声を聞きたかっただけなのだが。長距離なので硬貨がどんどん落ちていく。話の途中で切れてしまったので、かけなおそうとすると100円しかない。仕方ないので100円を入れて再度かけると、「あ、もういいんだ。気をつけていってきてね」で終わり。100円が…。次に、親しい友人にかけてみた。出ない。これが最後かもしれないのに。あとで後悔するなよ。
搭乗口へ向かう途中、外国人の女性に英語で話し掛けられた。「肉類持ちこみ禁止」のポスターを指差し、「これはどういう意味?」と質問された。「え…えええっとぉ…」。私は頭が真っ白になった。そんな難しいことを聞かれたわけでもないのだ。中学英語で答えられるはずだ!でも私は固まってしまった。すると、その女性はポスターの下にポスターと同様の内容が英語で書かれたチラシを見つけ、「ありがとう」と言って去っていってしまった。うーん。せめてそのチラシを私が先に見つけて手渡すことができたらよかったのに。…なんて不安な幸先だろう。
飛行機はJALだから、NZにつくまでは安心だ、と思っていたが、私の乗る飛行機はJALとニュージーランド航空の共同運航便で、旅客機はニュージーランド航空のもの、乗務員も外国人ばかりだった。うーんまあ飛行機の中では「紅茶ください」くらいしかコトバを発しないだろうから、そんなに心配することもないのだが、やはり落ち着かない。
しかも隣の席は外国人の女性だ。気分はもうNZだ。トイレに行きたかったら、いつでも言ってくださいね。隣席の女性に向かって、英語で言えないので、念を送ってみた。
食事のサービスのとき。隣席の外国人女性(おばさま)は飲み物にコーヒーを頼み、ミルクと砂糖5gをドバドバ入れていた。私は飲み物には砂糖は入れない。生活習慣病が怖いのだ。ふだんも糖分の入った飲み物は極力口にしないことにしている。時々無性にコーラが飲みたくなるが、そのときは我慢しない。ストレスもよくないので、我慢と妥協のバランスがけっこう難しい。
私が砂糖を使わないのを見ると、おばさまは「それ使わないならもらっていい?」と聞いてきた。えっ!まだ入れるんですかっ?困惑しつつも他にどうしようもなく砂糖の袋を差し出すと、おばさまはにこやかにそれを受け取り、砂糖5gをコーヒーカップに新規に投入した。合計10gっすよ!身体に悪いっすよ!!これが身内なら絶対注意するのだが…。
このおばさまは飲み物のサービスがやってくると必ずアルコールを頼んで飲みまくっていたので、「よく飲むなあ」とぼんやり思っていた。余計なこととは思いますが、健康のために糖分・アルコールはほどほどに。←本人に言えないので意味ないですが…。
NZへの入国者カードが配られた。ガイドブック(わがまま歩き)の記述を参考に記入する。「NZ滞在中の宿泊先」はどうすればいいんだろう。まだ決まっていない…。友人は「accommodation(宿泊施設)はあちこちあるから、今から予約しなくていいよ」と言っていた。でもここで無記入だったら入国審査のとき何か聞かれるかもしれない。それでしどろもどろになったら別室に連れていかれるかもしれない。そこでも説明できなくて不審人物として拘留されたら…。どんどんマイナス方向にシミュレーションが行われていく。とりあえずガイドブックに載っている空港近くのモーテルを記入しておいた。いちいち確認なんてしないよね。
次に、持ちこみ品の記入。持ってきたのはお菓子に漬物。生物はないし、申請の必要はないと思って「ナシ」にチェックを付けていたが、違った。NZは持ちこみ品の規制が厳しいのだ。申請せずに食物を持ちこもうとしたことが発覚すると、罰金または禁固になるという。ここでも先ほど同様のシミュレーションがグルグル行われ、慌てて書きなおした。
うとうとしたり、機内上映(ハリー・ポッターと賢者の石)を見ているうちに時間は過ぎていった。
「当機はまもなくニュージーランドオークランド空港に到着いたします。」
いよいよ!いよいよだ!私は襟を正した(Tシャツだったが)。これからだ、これからが本当の戦いだ…。
わけのわからない闘志を燃やして、私はニュージーランドオークランド空港に降り立ったのだった…。
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