management without whip

ムチを捨てた飴の管理


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はじめに はじめに
第一章 身に付いてしまった6つの考え方を自覚する
第二章 力を合わせる
第三章 道を開く具体策
終わりに 終わりに
   


 はじめに

某生命保険会社のリサーチによると、会社を中途退職する人たちの表向きの理由は、給料や労働時間、仕事が合わないなど様々ですが、本当に理由は、社内での人間関係がうまく行かないことが半数以上を占めているそうです。

ほとんどすべての上司は、部下に好かれその力量とやる気を引き出そうとするのに、そして部下は能力を発揮し会社に貢献し上司に認められたいと思っています。
にもかかわらず、なぜそれが逆の方向に行ってしまうことが多いのでしょうか?

ここでは、まず第一章でその根本的な原因を探り、マイナスな状況を霧散させてプラスマイナスゼロまで引き上げる事をねらいとしています。

第二章ではその上に、ポジティブで相互利益的な関係を築ける考え方を提案したいと思います。

そして第三章では、使えばその日から状況が好転して行くような具体的かつ現実的なアクションを提案しています。

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第一章

みなさんは、かわいい犬がいるのでかわいがろうと思って、近づいていったら、突然すごい勢いで吠えられた経験はありませんか?
私には、戦術があります。それはその犬の5メートル手前でしゃがむのです、すると犬は私をフレンドか敵か判断しかねて迷います。そして私が手のひらを上に向けて犬の方に差し出すと、犬はしっぽを振り出します。どうやら犬は私をフレンドかもしれないと思い始めているようです。そこでしゃがんだまま少しずつ近づいて行くのです。すると犬は私の手のひらをなめだします。そして犬との友情に勝利します。

このように、上から行くと、犬は私を警戒し、下からアプローチすると寄ってきます。これが条件反射なのか、本能なのかはわかりませんが、ただ一つ言えることは、私たち人間も動物なので似たような条件反射あるいは本能を持っているはずです。

そこで、この章では私たちの中にある、ネガティブな6つの側面を考えてみたいと思います。

@ 攻撃的コミュニケーション
親が子供に、先生が生徒に、上司が部下に注意をするとき、熱意があればあるほどその口調はきつくなり、より強調しようとするあまり怒気を含んでしまう。
おだやかに言えばそれで事足りるはずが、相手がいけないことをやり始めるやいなや、緊張が走り無意識のうちに心が戦う準備を始めてしまう。

A 防衛的コミュニケーション
子供が親から、生徒が先生から、部下が上司から指導を受ける際に、言葉の端々から自分に対する非難や攻撃をかぎ出したり探したりして、正当化しようとしたり、反抗心を起こしたり、傷ついたり恨んだりしてしまう。

B ゼロサム発想
スポーツの世界や受験勉強の世界では、誰かが勝者になれば、その分、誰かが敗者となります。
会社側にとっての利益は、従業員側にとっての損失であり、上司と部下は利害関係において対立するものである。子供にとって、親は子供の自由を押さえつけるものである。

C win-loseとlose-win
親は肉体的に経済的に力があり子供はありません。
上司は権力や強制力があり、部下は表だって反抗できません。
そこで親や上司は、どんどん怒ります。

やがて子供や部下は耐えきれなくなって、ふてくされたり、反抗したり、殻に閉じこもったりします。
すると親や上司は、これはまずいと思ってご機嫌取りを始めます。
しかし、親や上司が我慢しご機嫌を取っても、なかなか事態が好転しないので、しゃくに障って、我慢できなくなり、再び爆発します。
そして元の木阿弥になってしまいます。

D 命令と指示待ち
良い子というのは、親や先生の言いつけを良く守る子、すなわち、出しゃばらず、冒険をせず、秩序を乱さない子です。
このパラダイムが右脳の活動を押さえ、左脳すなわち倫理や礼節さ、判断を重視した子を育ててしまう。

すると会社に入っても、何でも上司からの指示を待ってしまい、自分で考えだし、決意し、自ら行動を起こすのを、自分で押さえてしまう。
またこのようなパラダイムに捕らわれてしまった人が上司になると、自分は命令を下さねばとプレッシャーがかかり、部下から意見やアイデアを求めることがなく、甚だしいときは「俺が命令するから、おまえたちは言われたとおりにやればそれでよろしい」式になってしまう。

E 自分の型にはめる
人は誰でも、自分は客観的にかつ正確に物事を見ているつもりです。
だから人は自分の立場からだけ、ものを考え、ものを見て、自分のやり方や意見や主張を押しつけてしまいます。
win-win とは上司も満足し、部下も満足できる。それぞれの当事者が望ましい結果を得ることですね。
すべての関係において常に相互の利益を求める心と精神のことであり、お互いに満足できる合意や解決策を打ち出すことですね。
ほとんどの人は今まで見てきたように人生を強いか弱いか、勝つか負けるか、得するか損するか、と言った具合に二分法で考えがちであります。

そこで次章ではwin-winすなわちお互いを協力する舞台ととらえられる考え方を探って行きたいと思います。

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第二章 ポジティブで相互利益的な関係を築ける6つの考え方


@ 人生は日々冒険
私たちはイメージ通りに進まないと、むかついたり、怒りを覚えたりしてしまいがちです。
しかし、一方で私たちはアドベンチャー冒険を楽しむ心を持っているはずです。
いまから何が起こるのだろうか、どんな展開が待っているのだろうか?何が起こるかわからないピンチに立たされ、そこから何とか英知を振り絞って、解決の糸口を見いだしたり、はい上がったり、これは素晴らしい冒険だと思いませんか?
そうすれば営業中にどんなアクシデントが起こっても喜んで乗り越えられます。
イメージ通りに進むことだけを願っているようでは平凡でつまらない人生で終わってしまうではありませんか。
ベテランだけで固めて、一日中スムーズに進行しているだけでそれが何になりましょう。
様々なレベルの能力を持っている人たちが、チームを組んで、フォローしたりフォローされたり、この関係の中で、力がない人がよりうまくやれるように教え合うのがチームだと思うのです。

A 教える=指導=権限委譲
権限委譲というのは何かしら管理職の間で、部長が課長に権限委譲をしたりとか高級なことのように思いがちです。
しかし、権限委譲というのは、自分がうまくやれることを、自分の下の人間がうまくやれるようにおしえて新たに担当してもらうと言うことであり、その結果、その成果は自分と同等に、あるいは自分以上にうまくやれるようになれば、それこそが成功した権限委譲だと思うのです。
ですから新人アルバイトは最初は何もできませんが、とりあえずカウンターがやれるようにする。次には自分と同じ程度にできるようにする、そして最終的には、本人の能力と個性が加わって、自分以上に上手に展開してもらうのが教えることです。
ですから教えると言うことは権限委譲の一つのなのです

そして権限委譲の最大の成果は、自分がもっと上級の仕事に移行することができると言うことなのですね。
ですから教えると言うことは自分のレベルやステージがあがると言うことなのです。
教えるという事は、相手のため以上に自分のためになるのです。

B 失敗権を認める
新人はあるいは部下はミスを犯すものです。仕事は遅いです。そして精神的にも追いつめられやすく、頭の中が白くなりがちです。
これは技術や経験が不十分で自信がないから起こると思います。
振り返ってみると、このようなミスや遅さあるいは精神的な弱さは、私たちも新人の頃に全く同じ状態を経験しているはずなのです。
みんな通ってきた道なのです。
そして一つのミスは100のレッスン以上に本人が学習できるのです。
ですから新人は失敗して当たり前、普通にやれたらすごいというのを前提に考えるべきです。そうすれば新人がミスを犯しても、遅くても、立ちすくんでしまっても、私たちは喜んでフォローに入れるはずです。
ですから失敗する権利を認めましょう。

C 意見の違いを尊重する
リーダーとして、問題が起こったとき、その解決策を探すときにリーダーは自分一人で考えようとすると、どうしても自分だけの視点からになってしまいますが、部下に相談すると、思わぬ解決策があがってくるのは良くあることです。そして感心させられます。
更にもっと良いことは、同じ意見でも上司が提案した場合と部下たちの口から言わせた場合とでは、部下が自分たちで発案したものに関しては、喜んで積極的に取り組むと言うことです。
そして上司の方もこの解決案に対して、理解してもらう努力やストレスやプレッシャーから解放されて、しかも部下たちが喜んで取り組んでくれるので、パーッと霧が晴れたように気持ちが軽くなります。

D 参加させる、思いつかせる
上司が店長がどんな素晴らしいアイデアやプランを作成してもみんながそれを支持するとは限りません
しかし、そこにみんなが支持する有効な方法があります。
それはそのプランのアイデアを部下たちに出させることです。
人は誰かから押しつけられたプランは快く思わないのです。しかし自分であげたアイデア対してはみんな積極的に取り組みます。
目標を作ったり計画を作ったり段取りを考えたりするときはできるだけ部下たちに参加させるようにします。

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第三章 使えばその日から状況が好転して行くような具体的かつ現実的な5つのアクションの提案

@ ポジティブな表現を使う
だめだめ、遅い、間に合わないよ。遅いからダメなんだよ。

なかなか丁寧だね、あとはスピードアップすれば言うことないね。スピードにもう少し力の配分を傾けてみよう。

声が小さいから全然聞こえないし、こっちは注文が聞こえないから全然動けないよ。

もっと大きな声で言ってごらん。そうすれば私たちも、お客様の注文が良く聞き取れるようになり、もっとあなたをバックアップすることができるようになる。

表情が硬すぎるんだよ、あれではお客様に良い印象を与えることなんてできないよ。もっと笑顔でやってもらわなくては困るよ。

君の真剣さは一級品だね。熱意が伝わってくるよね、あとは笑顔でやれたら鬼に金棒だね。笑顔を絶やさない努力をしてみよう。

A 笑顔、怒気を含まずに話す
仕事をうまくやれずに、罪悪感を感じている相手に上司が笑顔を向けると、相手は安心して救われた様な気持ちになります。
自分が部下に対して、何か注意しておかなければならないとき、笑顔でおだやかな雰囲気で話しましょう。
そうすれば相手は心を開いてきてくれます。

上司は相手の心に刻みつけようと思って、力説するあまり、大きな声で、力を込めて、否定的な感情を込めて話すと、相手は話の内容に集中できません。
上司の顔色を見たり、上司の感情に気を取られたりして、とても話を聞くところではなくなります。
相手は萎縮してしまい、防衛的になったり、正当化しようとしたり、いいわけ逃れをしようとしてしまいます。

B 忍耐・自制心・理解
リスは何か食べ物のようなものがあったら、とりあえず飛びつくそうです。そしてそれが食べ物でなかったら、あとは去って行きます
このように何か刺激があったらすぐに反応する機能は、自然界において生き抜くために必要な能力となります。
ちょっとでも躊躇していたり、判断していたのでは他の動物に食べ物を奪われてしまうからです。
じつは人間も元々自然界の生き物なのでこの機能を持っています。
道を歩いていて、危ないと思ったらとりあえず体が勝手に反応して危険を避けようとします。相手の正体を正しく判断する前にです。
しかし、現代社会においても、人間関係の中で、この原始的な機能が働いてしまうことがあります。
相手の行動や態度に反応して、思わず怒鳴ってしまったり罵ってしまったり、ひどいときは殴ってしまったりけ飛ばしてしまったり。こうなってしまうと後で謝っても、しこりが残り後でフォローが大変です。
人間関係においては、このすぐ反応してしまう機能は、忍耐力で押さえ込んでしまわなくてはなりません。

それでもそのあと、血が沸き立ち、アドレナリンが体中を駆けめぐり、攻撃的な言葉遣い、声の調子、視線、態度がしばらくの間、残ります。
しかし、この感情を自制心で押さえ込んで、すっかり平静な状態に戻し、それから、相手の話を良く聞き注意なり指導なりに移ります。

私たちは誰でも、客観的にかつ正しく物事を見ているつもりになっていますので、間違ったことをした相手には相手の何らかの考えがあるはずです。
そこで相手に話をさせることが大切です。
間違ったことをした相手の話を、理解しようとする気持ちで聞けば、たいていは「なるほどそう言うわけであなたはそれをやったんだと、納得できます。
そして相手を受け入れれば、相手もまた初めてあなたの考えを受け入れてくれるでしょう。

C インナビュー質問をかかさない
部下とのコミュニケーションとは、単なるおしゃべりではありません。真のコミュニケーションとは質問がとても大事になります。
その質問とは、日によって、時によって答えの変わってくる心の動きに対する質問です。
たとえば、「今日はどういうところが大変だった」かとか、「いまは仕事のうちで、何が一番おもしろい」とか、「今苦手に感じている仕事は何」とか、時の経過によって変わってくる、相手の価値観に基づく答えの返ってくるようなタイプの質問です。
このようなインナビューの質問は、どんなに忙しくても、一日に1回は行う必要があります。

D 参加させる、思いつかせる
週間清掃計画や、勤務シフト作成、今月の店の目標、スローガン、物の配置場所、などはできるだけ、アルバイトを巻き込んで作りましょう。
週間清掃計画も、アルバイトたちが自分たちで計画し、決定したとなれば、自分たちでこの計画を養護しよう、実行しようと言う気になります。
無責任なものが作られてしまう、とおそれる人がいるかもしれませんが大丈夫です。
まず店側の事情や都合を話し、このようにするにはどうしたらよいだろうか、何か方法がないだろうかと相談してみてください。そうすればきっとみんな知恵を絞って解決策を出してくれます。
ですから、マニュアルや企業目的に抵触するものでbなければ、積極的に任せてみてください。
人は誰でも重要人物と思われたい、評価されたい、活躍したいと願っているのです。



E 初めが肝心です
初めには意味が二つあります。
ひとつは採用面接です。
面接の時、この人なら、技術を身につけ経験を積み信頼関係を築けば、この人なら自分と同等、あるいは自分以上に良い仕事ができ、良い接客ができると思われるタイプの人を採用することが肝心です。

そしてもう一つは、入社して最初の数日間です。このときにしっかりと企業目的を伝えておくことです。

そうすれば後は本人の才覚で、自由なアプローチの仕方で企業目的の実現のために力を尽くしてくれ、貢献してくれます。
最初に技術だけを教えて、促成栽培を急くと、後でつけが回ってきます。
できるだけタンデムシステムを使ってきちんと教えましょう。

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おわりに

発明王エジソンが白熱電球の開発のために2000回の実験をおこないそのうち1999回が失敗に終わったとき(最後に成功)エジソンは悩んでいたと言うでしょうか?不安に駆られていたと言うでしょうか?
フォードをはじめ科学者が技術開発をおこなうとき、そこに悩みや不安はあるでしょうか?
いいえ、そこには探求心や考察をめぐらすことはあっても、悩みはありません。

悩みや不安はもっと別の所にあります。エジソンや科学者に悩みがあるとすれば、実験室の外で、他人から非難されたときに発生します。おそらくエジソンの悩みは、白衣のボタンがきちんと留められていないとか、食事の仕方がだらしないとか、頭がくしゃくしゃだとか、実験の成果がなかなか上がらないことに対するイヤミや当てつけを受けることにあったのではないでしょうか?

このように悩みや不安は、すべて人間関係から発生します。
人間関係の悩みを持ったまま、生きて行くというのは大変辛いことです。まるで雪山や沼地を進む、あるいは悪天候の日に道を歩くのに似ています。

しかし、人間関係の悩み不安を解決できれば、まるで良い日和に平坦な地を進むがごとく人生を効果的(効率的ではない)に進めて行くことができるでしょう。

もしも私たちがすべての人間関係を良好にすることができれば、それだけで悩みや不安は霧散してしまいます。

かつて多くの指導者に尋ねたところ、異口同音に「飴と鞭の使い分けが大切だ」と語っていました。
しかし、その人達ももし鞭を自分に使われたら、いやな思いをし、屈辱を感じ、前向きなやる気を失うのではないでしょうか?

私たちは「北風と太陽」のlessonを忘れてはなりません。

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