「アレなアニメの館」
アレなアニメの感想など。
(御注意!ネタバレ有です)
 
A・LI・CE
時代: 1999
監督: 前島 健一
時間: 85分


1)はじめに

 月へと向かった少女がタイムスリップして辿り着いた未来、独裁者が造り出したコンピューターが支配する世界を舞台に主人公が元の時代に還るべく奮闘する様を描くアクションSF。
 全編3DCGで描かれる。


2)物語

 白亜の雪原を疾走するエア・バイク。運転するのはロボットの、後ろに乗るのは人間の少女。彼女ら二人は攻撃を仕掛けてくる何者かに負われていた。追手を振り切れず雪柱に衝突、意識を失ってしまう少女、彼女らに留めをさそうとする追手達だったが緊急の連絡を受け引返してしまう。そしてその一部始終を目撃する少年。
 意識を回復した少女は助けてくれた少年の家でここがラップランドである事を知り困惑する。救援を求めようにも少女の携帯電話は圏外。しかも少年の家には電子機器などが一切無く、救援を求める為には近隣の村まで移動しなければならないという。少女は取るものも取敢えず村に向かうがそこは無人、少年によれば人々は既に兵士に連れ去られてしまっているという。止む無く少年の家に戻ってお互いについて話し出す二人。
 少女の名は「亜利寿(アリス)」、少年は「ユアン」。亜利寿は月観光ツアーに参加、シャトルで大気圏脱出中に光に包まれ気がついたら雪原に墜落していたという。そこへ突如現れた兵士に攻撃を受け、スチュワーデスロボットのSS1X(マリア)と共に逃げていたと。方やユアンによれば今は2030年、コンピューターを用い独裁を敷いている「ネロ」なる者が少女を襲ったのと同じステルス兵を操り人々を連れ去っていた。人々が何処へと連れ去られるのか誰も知らず、それを追いかける者も還ってこなかった。ユアンの村もかつて人々が連れ去られたが、たまたま別の場所にいた為難を逃れたのだと。そしてネロは人々がコンピューターを使用する事を何故か一切禁じていた。二人の話が一段落する頃、部屋にはユアンが修理したスチュワーデス・ロボット、マリアの姿もあった。

 一方、携帯電話の電波を探知して突如現れた人々、彼らはネロと戦っている解放軍であるという。ユアンの手により改造を施されたマリアの力を借り、解放軍からも逃れる事に成功する二人。

 追手から逃れ無人の村に残されたパソコンにより情報を集めるマリア。記録されていた新聞によるとなんと人口は最盛期から激減、2025年には予想された数を大きく下回り既に10億にまで達していた。そして、アリスは2010年に体調を崩し入院していたという。しかもアリスが入院している場所は現在ネロが管理しているのだった。一体アリスが飛び越した時間の中で世界に何が起こったのか。

 アリスは入院している現在の自分に遭い、事を真相を知るべく旅立つ。だがその間もアリスを狙う解放軍、そしてステルス兵達。アリスは無事に未来の彼女自身に出逢えるのか、そしてネロとは一体何者なのか、世界に何が起こったのか・・・。


3)感想
 本作「A・LI・CE」はまずもって全編3DCGにて製作されている点がセールスポイントになっていたようです。流れとしては同じくCR−GAGAプロジェクトの「VISITOR」と関連付けるのが宜しいかもしれません。勿論その第三段である「海のオーロラ」とも比すると、3DCGの変遷について考える題材になるでしょう。CR−GAGAプロジェクト三部作とでも申しましょうか。

 同時期の作品として例えば海外では「アンツ」や「トイ・ストーリー」等が挙げられ、予算や日程など多くの点を鑑みれば比するのが妥当かは躊躇われる部分が無きにしも非ずですが、やはり観客的立場からすれば並べて考えてしまうのは止む無しといった所でしょう。しかし忌憚無く申し上げれば「VISITOR」はやや作りが荒っぽいですし、「海のオーロラ」は声の演技と音楽に気が行ってしまい画面を楽しむには少々辛いものがあり、さすれば総合的に観て最も作品として各所のバランスが取れているのが本作と感じます〜つまりこれら三部作の中からお奨めを一本を選ぶとしたら「A・LI・CE」が最も相応しいでしょう。

 物語はタイムスリップと当時もてはやされた”エコロジー”やらを組み合わせたもので、強引な展開が散見し細かい部分に荒が見え隠れするものの、大きな疑問符が付くという場面は少なかったように感じます。この点でも同三部作中最もバランスが取れているといえるでしょう。先鋭化した”エコロジー”概念の行き着く先を示しているかの如くの物語中核部分は(ネタバレになるので仔細は記述しませんが)見事な切り口で、はっきりと描いたその気概はなかなかのものといえます。

 画面では本作「A・LI・CE」は「VISITOR」と比較してキャラクターのフィギュアっぽさを抑えており、3DCGとして手堅めの表現を試みたと感じられます。アニメのキャラクターをよりリアル風にした位置付けで、いうなれば”バーチャル・ビューティー”的とでも申しましょうか(注記01)。当サイト管理人からすると、CR−GAGAプロジェクト三部作中最も受け入れやすいキャラクター・デザインです。また、一連の作品の中では多くの方々に安心して御紹介できそうです(注記02)
 全体的に「ゼビウス・劇場版」「VISITOR」「海のオーロラ」を観た後ですと、なんとも安心できる品質です。もっとも、その分こじんまりしているといえなくもないないのですが(注記03)

 以上を鑑み、本作「A・LI・CE」は、「VISITOR」、「海のオーロラ」及び「ゼビウス・劇場版」の内何れかを観なければならない場合に、最も手堅い選択であるといえます。また、3DCGの発展史に興味のある向きにもお薦めできるでしょう。

おまけ:
マリアのCVは國府田マリ子さんが、主人公アリスの親友、ユミのCVを”ミヤムー”こと宮村優子さんが担当です。

4)必要ないと思いますが一応の注記
01)物語中、スチュワーデス・ロボットのマリアは破壊されてしまったり改良を施されるなどして実に二回も姿形が変わります。最後の三番目の姿が何処かで見たような〜テライユキですか〜感覚を覚えました。もっとも映画などの芸術作品は相互に引用、参照をして進化してゆく部分が多々ありますから、あまり指摘するのは野暮というものかもしれません、内心ニヤリでいいのでしょう、きっと。
02)「VISITOR」はストレートな人形的表現がややプラスチッキ−で生煮えですし、「海のオーロラ」は独特の風合い〜というより正直いってグロテスク〜で好みの分かれるところです。
03)そう考えると同時期の作品「VISITOR」「海のオーロラ」はともかく、「ゼビウス・劇場版」は哀しいものがあります。

4)DVDパッケージ

190KB



記述:2003-05-08