「アレなアニメの館」
アレなアニメの感想など。
(御注意!ネタバレ有です)
 
ギルステイン
年代: 2002

制作:

ギルステイン製作委員会
監督: 冨永 恒雄


1)はじめに

 人間を改造して作り出された怪物「ギルステイン」が跋扈する、世界が私企業に支配された近未来。人の心を持ちながら改造された青年が、企業の支配から世界を開放しようとするレジスタンスと共に戦う、クリーチャー・バトル・SF。クリーチャーは3DCGによって描かれ、従来の2Dのみでの表現とは異なる映像を目指して製作されている。


2)物語

 西暦2088年、世界は私企業である「株式会社ヤシロ・アコロジー」に支配されていた。企業の管轄する地域は今日的な生活が維持されているものの、 その治安はヤシロ関連の警備会社が代行。教育をはじめ生活の総てがヤシロに利益になるか否かで価値が判断されていた。 一方、管轄区域外は一面の荒れ野となっていた。
 少女「サビ・スアド」はヤシロ・アコロジーの管理区域から脱出を試みるが、怪物に襲われる。地下の廃墟に逃げ込んだサビはヤシロに反発するレジスタンスに出合う。彼等と行動を共にしている怪物を見、助けられた事を忘れ思わず銃を突きつけるサビ。だが、レジスタンスから、その怪物だけは人間の言葉を解し、心をもっていると制止される。
 怪物は、かつてヤシロ・アコロジーに務めており、極秘計画「カドケウス・プロジェクト」に携わっていた「カオス・ディスター」。この計画は火星で発見されたウィルスを人体に投与、生物兵器へと変化させるものであった。カオスは目的を知り、中止させる為公表を狙ったものの親友でもあるメンバーに裏切られウィルスを投与され研究材料まにされてしまった。研究途上であったためか人の心を持ったまま怪物になったカオスであったが、怪物「ギルステイン」となって得た力で研究所を脱出、逃亡中にレジスタンスに助けられていた。
 ようやく打ち解けたサビは、自分が生学博士のオライアン・スアドの娘であり、その父が二週間前にヤシロに連れ去られていた事を話す。レジスタンスはハッキングにより「カドケウス・プロジェクト」が最終段階に達しており、スアド博士はその完成の為に融解された事を知る。独りヤシロに潜入、父を助けようとするサビにカオスも同行しようと伝える。時期が来た事を悟り、レジスタンスも遂に蜂起する事を決める。
 廃墟となった地下鉄を伝い、ヤシロに突入するサビとカオス、続いてレジスタンス達。だがレジスタンスの前に立ちふさがったのは、ヤシロに潜り込んでいたかつての同朋、今は既に人でないギルステインの「シーナ」だった。
 サビは父を救えるのか、カオスは復讐を成し遂げられるのか、レジスタンスの攻撃は実を結ぶのか。だが、「カドケウス・プロジェクト」は彼らの予想をはるかに超えた存在として成長していたのだった・・・


3)感想

 異形のクリーチャーを3DCGで作画、2Dの背景とキャラに組み合わせて画面を構成する意欲作です。
 本作においては核となるクリーチャーのデザインを好きになれるかが鍵となります。
クリーチャーが「おぞましさ、怖さ」を狙った表現であったなら、例えば2DですがOVA「イクサー1」等過去の作品と比較するのは容易でしょう。本編中の台詞にすらあるのですが、ギルステインである主人公カオスがカッコ良く見えるように努力した跡が散見します。このように本編はこれまでの作とは狙っている点が異なり、3Dを選んだ事も含め新たな試みといえます。尚、デザインがカッコいいか否かという点については好みもあるので一概にこれこれと感想を述べるのは難しいものがありここでは触れません。

 今日の3Dの水準では表面のヌルヌル感、あるいはデフォルメによる形の勢いといったものが表現されづらく、また、総ての部分に焦点が合ってしまうので違和感の出る事があるようです。また、3Dを2Dに上手く溶け込ませていた「ゾイド」であっても作品後期の方が自然な感じになっていった記憶があります。3Dと2Dとの併用はまだまだ技法的に発展途上にあるのかもしれません。しかも「ゾイド」は「機械生命体」という設定でしたが、本作は通常の有機的な存在です。表面ツルツルのゴム人形がポンポン動く風情にならないようにするには大変な技術や労力が必要なのでしょう。クリーチャーの動きに限定すれば、製作費が尽きたのか時間切れとなったのか原因は判りませんが、クライマックスの格闘場面でコマ送り的になっていたのは悲しいものがありました。

 物語は大急ぎで進みますので、ある程度台詞に頼らないとならない部分も散見しますが、勢いで乗り切ってしまったのは正解といえましょう。2Dの作画の質も場面によって変化しますので次はどのような絵がでてくるのかドキドキしながら見られる事とあいまって、とりあえずダレる事態は避けられます。恐らくは2Dの作画に関しては押さえなければならない場面と、諦めているところとの取捨選択がなされているのでしょう、明らかな差を感じることがままありますが、ここぞという時に悲しい思いをする事は少なかったように感じます。

 さて、本作は渋谷・道玄坂の「シブヤ・シネマ・ソサエティ」にて公開されていました。入り口は階段を下ってすぐ、ロビーといえる程の空間が無く入替制でもあったので外で待ちましたが、冷房が殆ど効かず暑かった事を記憶しています。劇場では中綴じのパンフレットが無い代わり、といってはなんですがブリスター・パック入りのフィギュアが販売されていました。フィギュアは魅力的なのですが、そこに掛けるエネルギーを、物語世界の柱の一つと思しき映像作品を作り込む部分に注入した方が宜しかったのでは、などど余計な想いを巡らせてしまいました。

 繰り返しになりますが、本作はクリーチャーのデザインが好きになれる向きにはお勧めできる一編といえるでしょう。加えて3Dクリーチャーのアニメ上における表現に興味のある御仁にも宜しいかもしれません。


4)チラシ

160KB

200KB


記述:2002-09-10